10 / 50
ー第9話ー
しおりを挟む
(そ、そうだった!)
カインは今頃になってようやく当たり前のようにそこにあった疑問を思い出した。
(俺が死なない理由もわかった。いきなりスキルランクが上がったというのも納得した。じゃあここは何だ?死ななかったなら俺は自分の作業台の上で目を覚ますはずだ)
「今頃思い出したって顔だね。安心しなよ、説明するから」
どうやら顔に出てしまっていたようだ。赤面するカインをよそに、男の子はあたりを歩き回りながら説明を始める。
「ここはインヘリット・ルーム。偉大なる初代鍵師が作り出し、継承された職人たちによって蓄え強化され続けた特別な部屋だ」
「継承・・・継承だって!!」
ガタッと音を立ててカインの椅子は後方へすっ飛んだ。それほどまで勢いよく立ち上がったカインは詰め寄るように男の子へ距離をつめる。
「馬鹿いうなよ!それじゃ何だ、鍵師という職業は継承職だって言うのか!ジョブランクEの鍵師が!?」
ー継承職ー
世にあふれる職業の中でも一際重宝される特殊職と呼ばれるものが存在する。同時刻において同じ職人が存在しない唯一無二の『稀少職』、そしてもうひとつがこの『継承職』である。
その名のとおり先祖代々受け継がれる職業であり、ほかの職業と違って神職授与を待たずして判明する職業だ。重要な職業であることが特徴で、国王や役人、大臣、貴族などがこれに当たる。
当然ジョブランクもSになるが、血統で決まるこの職業は継承以外で発現することがほぼ無い。そういう意味ではランク外とも呼べる職業だ。
それがEランクの鍵師にも該当するなど、これまで苦汁を飲まされ続けてきたカインにとっては戯言もいいところである。
しかし、男の子の目は消してふざけてなどおらず、表情から真実を述べていることがカインにも伝わっていた。
だが、認めたくは無かった。
(それじゃ何で俺はこんな目に・・・なんで泥水すすって生きてかなきゃならなかったんだ・・・)
うなだれるカインに男の子はぽんと腰をたたいた。
「悪いけれど真実だよ。呪うならこの意味の無い格付けと世界を呪ってくれ・・・」
男の子はぽすんと中央のソファに腰を沈める。
「そんな君にとってのご褒美・・・なのかわからないが、これからいう話は君にとっていい話さ」
そういって男の子はどこから取り出したのか、幾つかの鍵をテーブルに置く。
「さっきも言ったけどここは歴代鍵師たちの技術の結晶、その展示室さ。無事に正しく鍵師を継承してくれたカインの内に現れた意識世界の部屋。君に受け継がれた能力が見える形になって現れていると思っていい。歴代正当後継者たちはそれはもう化け物のような熟練度で・・・今の君もそうだけど。ただ鍵を開けたり閉めたり作ったりなんてレベルじゃない。空間や概念の施錠や開錠、離れた扉同士を亜空間接続して一瞬で移動したり、鍵にまつわるあらゆることを実現させる超人。その一部はすでに君に受け継がれている」
「・・・ごめん、何を言っているのかぜんぜんわかんないや」
「あははっ!そうだよね。彼らの力は理解を超えている。特に初代なんてね。僕も正直口で説明できる自身はないよ。まぁそこはおいおい実践で覚えて行ってほしい」
「さて、これからが本題!僕が君に伝えたかったことだ」
(あれ、まだ本題じゃなかったの?)
カインは今頃になってようやく当たり前のようにそこにあった疑問を思い出した。
(俺が死なない理由もわかった。いきなりスキルランクが上がったというのも納得した。じゃあここは何だ?死ななかったなら俺は自分の作業台の上で目を覚ますはずだ)
「今頃思い出したって顔だね。安心しなよ、説明するから」
どうやら顔に出てしまっていたようだ。赤面するカインをよそに、男の子はあたりを歩き回りながら説明を始める。
「ここはインヘリット・ルーム。偉大なる初代鍵師が作り出し、継承された職人たちによって蓄え強化され続けた特別な部屋だ」
「継承・・・継承だって!!」
ガタッと音を立ててカインの椅子は後方へすっ飛んだ。それほどまで勢いよく立ち上がったカインは詰め寄るように男の子へ距離をつめる。
「馬鹿いうなよ!それじゃ何だ、鍵師という職業は継承職だって言うのか!ジョブランクEの鍵師が!?」
ー継承職ー
世にあふれる職業の中でも一際重宝される特殊職と呼ばれるものが存在する。同時刻において同じ職人が存在しない唯一無二の『稀少職』、そしてもうひとつがこの『継承職』である。
その名のとおり先祖代々受け継がれる職業であり、ほかの職業と違って神職授与を待たずして判明する職業だ。重要な職業であることが特徴で、国王や役人、大臣、貴族などがこれに当たる。
当然ジョブランクもSになるが、血統で決まるこの職業は継承以外で発現することがほぼ無い。そういう意味ではランク外とも呼べる職業だ。
それがEランクの鍵師にも該当するなど、これまで苦汁を飲まされ続けてきたカインにとっては戯言もいいところである。
しかし、男の子の目は消してふざけてなどおらず、表情から真実を述べていることがカインにも伝わっていた。
だが、認めたくは無かった。
(それじゃ何で俺はこんな目に・・・なんで泥水すすって生きてかなきゃならなかったんだ・・・)
うなだれるカインに男の子はぽんと腰をたたいた。
「悪いけれど真実だよ。呪うならこの意味の無い格付けと世界を呪ってくれ・・・」
男の子はぽすんと中央のソファに腰を沈める。
「そんな君にとってのご褒美・・・なのかわからないが、これからいう話は君にとっていい話さ」
そういって男の子はどこから取り出したのか、幾つかの鍵をテーブルに置く。
「さっきも言ったけどここは歴代鍵師たちの技術の結晶、その展示室さ。無事に正しく鍵師を継承してくれたカインの内に現れた意識世界の部屋。君に受け継がれた能力が見える形になって現れていると思っていい。歴代正当後継者たちはそれはもう化け物のような熟練度で・・・今の君もそうだけど。ただ鍵を開けたり閉めたり作ったりなんてレベルじゃない。空間や概念の施錠や開錠、離れた扉同士を亜空間接続して一瞬で移動したり、鍵にまつわるあらゆることを実現させる超人。その一部はすでに君に受け継がれている」
「・・・ごめん、何を言っているのかぜんぜんわかんないや」
「あははっ!そうだよね。彼らの力は理解を超えている。特に初代なんてね。僕も正直口で説明できる自身はないよ。まぁそこはおいおい実践で覚えて行ってほしい」
「さて、これからが本題!僕が君に伝えたかったことだ」
(あれ、まだ本題じゃなかったの?)
0
お気に入りに追加
25
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる