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来客
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「——だからここが——なって——そうすると——」
机に顔を伏せてるせいで先生の声が途切れ途切れに聞こえる。
一時間目が始まってから六時間目の今までずっとこの状態だ。
顔なんて上げられるはずがない。
クラス皆の前で給食費を盗んだのがばれて、挙句の果てに拓達に裏切られて、学校という社会の縮図に見放された僕の顔なんて誰が見たいと思うのだろうか。
もうこのクラスに僕の居場所は無くなった
勇気を出して声掛けて作った友達も、気付けば僕を悪者の道に連れ込んでしまう偽りの″トモダチ″だった。
よくよく考えると今まで友達のいなかった奴がいきなり三人も友達を作れる事自体おかしかったんだ。
最初から僕は一人になる運命。たとえ無理して友達を作ったとしても″自分が偽りだったらその友達も偽り″なんだ。
「——ここでさっき出てきた面積を——」
……まだ先生の声が聞こえる。
いつになったら授業が終わるんだろう。
時計を見ようにも見られない。
カツカツカツとリズムよく響くチョークの音。
途切れ途切れに聞こえる先生の声。
普段と何も変わらぬ日常のひと時が、いつもより長く感じた。
***
キーンコーンカーンコーン
終業を告げるチャイムが天井のスピーカーから鳴り響く。
「はい。それでは授業を終わります。……小鳥遊くんは一緒に校長室に来なさい」
「はい……」
チャイムと共に聞こえてきた先生の声に応じて、俯いたまま席を立つ。
僕は周りからの冷たい視線を身体中で感じながら教室の出口に向かって早々と歩き出した。
すると右斜め前、拓の席に差し掛かった時、進路を塞ぐ拓の足が僕の視界に入ってくる。
……拓と話す事なんて、もう無い……。
そのまま無視して通ろうとしたその時だった。
拓が僕の耳元でボソッと呟いた。
「俺達、″トモダチ″……だよな?」
「ッ……‼︎」
あの日と全く同じ言葉。
何が友達だ……。ふざけるな……。
僕は湧き上がってきた感情を拳に抑え込む。
相手にするな……表情を見せるな……。
僕は拓に目もくれる事なく、教室を後にした。
***
東校舎の三階に位置する四年三組の教室を出てすぐの階段を下りると、東校舎と西校舎を繋ぐ立体通路の向こうに『校長室』と書かれたプレートが見えた。
「入って」
校長室のドアの前まで辿り着くと先生がドアを開けて中に入るように僕に促す。
「失礼します……」
恐る恐る入ると、中から聞き覚えのある声が飛んできた。
「璃都……」
そこにはこちらを怪訝そうに見つめる男性が一人ポツンと来客用のソファーに座っていた。
「え……?」
あまりにも意外な来客に僕は目を見開く。
なんで……ここに……。
机に顔を伏せてるせいで先生の声が途切れ途切れに聞こえる。
一時間目が始まってから六時間目の今までずっとこの状態だ。
顔なんて上げられるはずがない。
クラス皆の前で給食費を盗んだのがばれて、挙句の果てに拓達に裏切られて、学校という社会の縮図に見放された僕の顔なんて誰が見たいと思うのだろうか。
もうこのクラスに僕の居場所は無くなった
勇気を出して声掛けて作った友達も、気付けば僕を悪者の道に連れ込んでしまう偽りの″トモダチ″だった。
よくよく考えると今まで友達のいなかった奴がいきなり三人も友達を作れる事自体おかしかったんだ。
最初から僕は一人になる運命。たとえ無理して友達を作ったとしても″自分が偽りだったらその友達も偽り″なんだ。
「——ここでさっき出てきた面積を——」
……まだ先生の声が聞こえる。
いつになったら授業が終わるんだろう。
時計を見ようにも見られない。
カツカツカツとリズムよく響くチョークの音。
途切れ途切れに聞こえる先生の声。
普段と何も変わらぬ日常のひと時が、いつもより長く感じた。
***
キーンコーンカーンコーン
終業を告げるチャイムが天井のスピーカーから鳴り響く。
「はい。それでは授業を終わります。……小鳥遊くんは一緒に校長室に来なさい」
「はい……」
チャイムと共に聞こえてきた先生の声に応じて、俯いたまま席を立つ。
僕は周りからの冷たい視線を身体中で感じながら教室の出口に向かって早々と歩き出した。
すると右斜め前、拓の席に差し掛かった時、進路を塞ぐ拓の足が僕の視界に入ってくる。
……拓と話す事なんて、もう無い……。
そのまま無視して通ろうとしたその時だった。
拓が僕の耳元でボソッと呟いた。
「俺達、″トモダチ″……だよな?」
「ッ……‼︎」
あの日と全く同じ言葉。
何が友達だ……。ふざけるな……。
僕は湧き上がってきた感情を拳に抑え込む。
相手にするな……表情を見せるな……。
僕は拓に目もくれる事なく、教室を後にした。
***
東校舎の三階に位置する四年三組の教室を出てすぐの階段を下りると、東校舎と西校舎を繋ぐ立体通路の向こうに『校長室』と書かれたプレートが見えた。
「入って」
校長室のドアの前まで辿り着くと先生がドアを開けて中に入るように僕に促す。
「失礼します……」
恐る恐る入ると、中から聞き覚えのある声が飛んできた。
「璃都……」
そこにはこちらを怪訝そうに見つめる男性が一人ポツンと来客用のソファーに座っていた。
「え……?」
あまりにも意外な来客に僕は目を見開く。
なんで……ここに……。
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