不器用な恋愛

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続編~その後~

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<大輝>
   明日は千夏の誕生日だ。俺は前から決めていた計画があった。あとは千夏を誘うだけ!勇気を出して千夏に声をかける。
「 千夏、明日はあいてる?」
「 うん!あっ、でも綾帆… 」
綾帆?綾帆がどうしたんだ?俺はきっとすごく不思議そうな顔をしていたんだろう。千夏が
「 あのね、綾帆と私、実は誕生日を毎年祝っていてね、それで… 」
「 そのことだけど、明日は綾帆、俺が借りるから。」
横から蓮の声がした。最近、綾帆になにかとつきまとっているみたいだ。よくわからねーけど、前に喋ったとき、嫌なやつだと感じた。まあ、綾帆が大丈夫ならいいんだけど…。
「 そ、そうなの?えっと…。」
千夏が戸惑っている。そりゃそうだよな。こいつなんか信頼できねー。
「 そうなのー。なんか祝ってくれるらしいわ。だから千夏、今年はバラバラにしよっか?」
「 う、うん。そうだね。」
あー、そうか。綾帆と千夏の誕生日は同じ日だった。すっかり忘れていた。改めて千夏に
「 千夏の明日、俺にくれない?」
と言った。千夏が笑顔でうなずく。よかった。


<千夏>
   明日は私の誕生日。誕生日は毎年綾帆と2人で祝ってた。理由は私の家も綾帆の家も誕生日を祝ってくれる人がいないから。でも今年は大輝が祝ってくれる。綾帆が1人になったらどーしよと思ったけど、蓮が祝うらしい。蓮は最近、他の女子との噂もほとんどないし、綾帆につきまとってるし、何考えてるかわからない。けど、綾帆が幸せならいい。もし綾帆に何かしたら許さないから!
それにしても、すごく緊張してきた。何着たらいいんだろう。どうしよう。私1人じゃ何も決められない…。そうだ。綾帆に電話しよう。
「 どーしたの?千夏。」
「 綾帆ー!明日、どうしたらいい?もーわかんないよー泣 」
「 はいはい。わかった。落ち着きな。」
綾帆がなだめてくれる。綾帆がいないと私、ほんとーにだめだめだ…。
「 綾帆がいないとなんもできないー…あっ、そうだ!綾帆、泊まりに来てよ!服とかなんでも貸すから手ぶらでいいし!前みたいに 」
綾帆は小さいころよく、私の家に泊まりに来ていた。綾帆の家は両親共働きだし、私の家はお父さんの成果もあって、そこそこお金に余裕があって広い家に住めている。今日はちょうどお父さんもいないし…。
「 いいよ~。ちょうど私も服とか困ってたんだよねー。ありがと、千夏。」
   綾帆がきた。早速綾帆に悩みを打ち明ける。
「 …で、とにかく緊張しちゃってさ…。あと、服とかもどーしたらいいのかわかんなくて…。」
「 とりあえず服から決めよっか。」
綾帆の提案でタンスの中を広げてみた。
「 大輝はー、かわいい?って感じが好きそうじゃないー?フリフリみたいな~。」
綾帆がかなり笑いながら微妙にバカにしたいい方をしてきた。でも、確かにそうかも。
「 そうかも…。女の子って感じが好きそうだよね…。私に務まるのかな。」
改めて不安になってきた。
「 だーいじょーぶ!私なんかと比べたら千夏は女子ーキラキラって感じだからー!千夏、これとこれにこれあわせたら?」
綾帆が選んだ服は白いもこもこふわふわしたパーカーの下にデニム生地のミニスカート、黒のニーハイに茶色のふわふわブーツ。
「 定番コーデだけど、千夏ぴったりだし、大輝はそんなこった服よりこっちの方がいいんじゃ…ないかなあ?」
「 ほんと綾帆さいこー!超かわいい!」
私は綾帆に抱きついた。
「 私も服借りていいー?」
もちろん!私が大きく頷くと綾帆はかっこいい感じの男子っぽいコーデをすぐに揃えた。
「 もっと女の子な感じじゃなくていいの?」
私は不思議だった。
「 まさかー、カップルのデートじゃないんだし~。で、千夏相談乗ってほしいことはなに?」
私はその後、明日の不安とか、そもそも付き合ったことに対する不安を綾帆に打ち明けた。綾帆は全てを解決してくれた。気がついたら私は寝てしまっていた。


<綾帆>
   千夏に誘われてお泊まり会。千夏は話しながら寝てしまった。わたしも寝ようかな。ぶぶっ。ラインがきた。あっ、蓮だ…。
「 明日はお前の人生さいこーの誕生日にしてやる。覚悟しとけよ( ̄+ー ̄)笑 」
ぷはっ  思わず笑ってしまった。なんの覚悟だよ、なんの顔文字だよっ。でも笑いながら私はすごく幸せな気持ちになった。なんだろ…。蓮の前で泣いてから毎回蓮はなんだかんだと私のことを気にかけてくれている。今回だっていきなり自分勝手な誘い方だったけど、蓮がいなかったら1人で誕生日を過ごさなきゃいけないとこだったし…。正直、今蓮を好きかどうかはわからない。わからないけど、蓮のおかげで最近救われてる気がする。蓮に返事を返して私も寝ることにした。明日が少し楽しみだ。


<蓮>
   いきおいで綾帆を誘ってしまった。ほんとうはもっと丁寧に誘うつもりだったんだけどな~。まあ、オッケーしてくれたしいいか。緊張してきた。今まで女子とデートなんて何回もしたけど、こんなに緊張するのははじめてだ。ぶぶっ 綾帆からラインが帰ってきた。
「 すっごく期待してますー笑笑 超楽しみ~笑 」
よしっ!気合いが入った。明日の準備を3回確認して布団に入った。


<千夏>
   さっきまで映画を見ていた。すごく感動するラブストーリー。大輝は前もって私が大好きなタイプの映画のチケットを取っていてくれた。さすが大輝。ほんとうにすごい。で、今は水族館にいる。
「 え、これ触れるの??」
アシカが足下によってきた。かわいい~!パシャ
「 千夏のかわいい顔ゲット!」
またやられた~~っ。今日は朝から大輝のスペシャルコースで案内してもらっている。それでさっきからずっと大輝に写真を撮られている。悔しい~っ。今日はずっとやられっぱなしだからいつか仕返ししなくちゃ。


<大輝>
   今まではずっと千夏も楽しんでくれている。ほんとうによかった。千夏が幸せそうな顔を見ているだけでほっとする。水族館も堪能したところで喫茶店に向かった。少し小さいけど可愛らしい喫茶店。中には何組かのカップルがいた。
「 かわいい~っ!」
千夏も気に入ったみたいだ。
「 あの、予約していた加山ですが… 」
千夏に聞こえないように店員に言った。
「 かしこまりました。少々お待ちください。」


<千夏>
   次はかわいらしい喫茶店だった。ほんとうにかわいい。私はずっとキョロキョロと辺りをみていた。店員となにか話していた大輝が戻ってきて窓側の席に案内される。さあ、何を食べよう。メニューを見て…。あれ?メニューがない??
「 お待たせしました~。」
特大のホールケーキが運ばれてきた。ケーキには「 千夏、お誕生日おめでとう!」と書いてある。大輝と店員さんがバースデーソングを歌ってくれる。やばい…
「 おめでとう!千夏ー!」
こらえてた涙が溢れてきた。嬉し涙だ。こんなのははじめてだった。
「 千夏、ろうそくの火消してくれる?」
大輝に言われて私は涙目のまま思いっきり火を吹き消した。


<大輝>
   千夏が泣いていた。多分、嬉しくてだよな?まだもう一ヶ所いく場所がある。俺はむしろそっちに緊張していた。ケーキを食べ終わるとディナーセットが運ばれてきて、食べ終わり少しゆっくりした後俺は立ち上がった。
「 千夏、最後にもう一ヶ所行きたいとこがあるんだけど… 」
   千夏の家に着いた。千夏が驚いた顔をしている。俺は深呼吸をしてからインターホンを鳴らした。すぐにお手伝いさんみたいな人がでてきた。
「 あの、電話していた加山です。」
「 はい、案内します。千夏さまおかえりなさいませ。千夏さまも一緒にあわれるんですか?」
「 はい。」
千夏が何か言おうとしたのが見えたけど遮った。そのまま千夏の父親の部屋まできた。
「 入れ。」
千夏の父親がいった。
「 失礼します。」
俺が中に入ると千夏はすごく文句を言いたそうな顔をしながら入ってきた。俺はもう1度深呼吸をしてから父親の顔を正面から見て
「 はじめまして、千夏のお父さま、俺は加山大輝と言います。千夏の彼氏です。今日はお願いがあってきました。」
「 君が…。」
「 俺、今はまだまだ弱いけど、もっといろんな面で強くなって必ず千夏を守れるようになります。千夏を幸せにします。必要なら会社だって継ぎます。そのくらい勉強も頑張ります。だから、その時がきたら千夏を俺にください。」
「 大輝…。」
千夏が何か言いかけて、口をつぐんだ。
「 そういう以上は祐樹くんよりもいい働きをしてくれるんだろうね?」
「 はい、必ず…。それで、」
「 千夏には手を出すな。と言いたいんだろう?」
「 …はい。」
「 もうては出さん。それはこいつが祐樹くんとの婚約を解消してほしいと頼みに来た時から決めている。こいつはもう俺のものではなくなったからな。… 大輝だったか?好きにしたらいい。またその時がきたら挨拶しにこい。その時考えてやる。」
「 …!  ありがとうございます!」
   ドアの外までくると俺は指輪を渡した。
「 今はまだ右手な。左手はまた今度…。」
「 ありがとう、、大輝ー。」
千夏が泣き出した。そんな千夏を俺は抱きしめた。そしてどちらからともなくキスをした。


<蓮>
   同日。俺と綾帆は遊園地にきていた。綾帆はめちゃくちゃ絶叫マシーンに強かった。こわーい…ってなるとは思ってなかったけど、予想外すぎた。そろそろ周りが暗くなってきたときには俺はボロボロだった。
「 だーいじょうぶですかー?」
綾帆が俺に声をかけてきた。そして
「 はい、今日のお礼。」
と言って缶ジュースを渡してきた。
「 サンキュー。うめー。」
あっと言う間に飲み干してしまった。そんな俺を綾帆は横目で見てから、
「 そろそろ帰る?」
と聞いてきた。
「 まだあと1つ乗らないといけねーやつがあるだろー?」
そう言って俺は観覧車に向かって歩き出した。
   「 きれい…。」
綾帆は観覧車の窓から外を見ていった。遊園地中がイルミネーションにつつまれている。一応この遊園地のめだまだった。俺は違う目的だけど…。
「 … これやるよ。誕生日プレゼント。」
俺はストラップを渡した。綾帆が驚いたような顔をしてこっちを見る。
「 ほんとうはアクセサリーがあげたかったんだけど、俺今は彼氏じゃねーし、、、気に入らなかったらつけなくていいから…。」
俺は心配そうに綾帆を見ると、綾帆はストラップをスマホにつけて笑顔で
「 ありがと。これ、すっごくかわいい!」
と言ってくれた。その笑顔を見て俺はもう1つやりたかったことをやろうと決めた。
「 俺、中学校のとき、お前と別れて高校入ってからもお前のことはなんとなく気になって、理由はわかんなかったんだけど、、その時友達のために無理して笑って傷ついてるお前をみて笑顔にしたいって思った。俺は、綾帆が好きだから。」
綾帆が驚いたようにこっちを見る。その綾帆のおでこにキスをした。


<綾帆>
   朝から1日中、蓮は私が乗りたいと思うアトラクションに片っ端から付き合って乗ってくれた。だんだん蓮がへばっているのがわかった。でも中学校のときの仕返しだ。アトラクションにもだいたい乗り切った。蓮が疲れ果ててるのを見て私はジュースを渡した。今日1日楽しかったし、無理やりアトラクションに付き合ってくれたお礼だ。その私に対し、蓮があと1つ乗らないと、、と連れてこられて観覧車に乗った。窓から見えるイルミネーションが綺麗だ。そこでストラップを渡された。水色と銀色のはいったビーズがちりばめられてる、かわいいストラップだった。そして蓮に告白されて、おでこにキスされて今に至る。
   蓮が少し照れてる。そして、
「 返事はまた今度でいいよ。」
と言った。そのあと家まで送ってくれた。
「 …じゃあな。」
そう言って歩き出した蓮を見て
「 蓮!今日1日ありがとねっ。」
と叫んだ。蓮は振り返って笑顔で手を振ってそれから走り出した。
「 今日はありがとう。すごく楽しかったよ(*^^*)ストラップもありがとー!」
寝る前にラインを送った。それから少しだけ考えてから
「 告白もありがとう。うれしかった。私はまだいろいろ整理ついてなくて、蓮のこともまだちゃんと受け入れられてないけど、整理つけて返事できるようにするから。」
すぐに返事が来た。
「 俺も楽しかった。焦んなくていいから、ゆっくり考えろ。クリスマスも期待しとけよ。」
クリスマスかー、きっと千夏と大輝は2人で行くだろうし、蓮と行けたら楽しそうだよね。今日みたいに…。最後の蓮の笑顔が離れない。蓮にキスされたとこがじんじんする。私はそれ以上を考えずに寝た。

続く
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