確率は100

13. 旅はつづく

礼服はなにを選ぶ？

ついに式当日。さすがの俺も昨夜はできひんかった。今夜がホンマの初夜やで…緊張して勃たへんかったらどないしよ…んなわけないか。ヒカリと居って俺が勃たへんわけないわ。「…リュー、いくら身内だけだからといっても、その顔はやめなさい」新郎の控え室で付き添う父ちゃんに叱られてもた。ヒカリは母ちゃんと新婦の控え室に居る。「いや、すまん。せやかてヒカリの式服姿を想像したら…可愛ええやろな…ドレスやろか？タキシードかな？母ちゃんも男やんか、母ちゃんはどうやった？」「母さんはドレスだったよ。それはもう美しかった」父ちゃんは照れたように笑うと「ヒカリ君は可愛らしいからね、楽しみだなぁ」「ああ！誰にも見せたない！俺だけでええのに！」「ハハハ…リュー、ヒカリ君を閉じ込めないように気をつけなさい」ホンマ、どっかにしまいこんでしまえたらええのに。

「よく似合ってるわ」ドレスにするかタキシードにするか聞かれたけれど、俺はタキシードを選んだ。だって俺、男だし。ドレスなんて似合わない。「お母さんは？ドレスでしたか？」「うん。でもこうして見るとタキシードもいいよねぇ。そうだ！ヒカリ君……」お母さんの提案に耳まで熱くなるのがわかる。「リューには内緒ね」シキくんへのサプライズがもうひとつ。

お母さんに手を取られ大広間に向かう。足が震えてうまく歩けない。「ヒカリ君、大丈夫。リューが待ってるよ」そうだ、シキくんが待ってる、行かなきゃ！執事さんがドアを大きく開けた。