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12. 初めてのダンジョン
還さなきゃ
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また夜の闇。ホンマに調子狂うわ、と舌打ちしそうになる。その時ヒカリが歌い出した。なして?陽気なヤツラやなかったん?!宥めるような、背中を撫でてもらっとるようなメロディーが止んだ時、フロアが明るくなった。「…シキくん…やっぱり良くない…ここのボス、やっぱり還さなきゃ…」ヒカリの瞳には決意が宿っていた。
「いっぱい遊んだから帰る、って、でも帰してもらえない、って泣いてた」「ん…」「ここにまた人が来るようになったら、みんなで叩いて遊ぼう、って」「叩いて…?」「そのためにみんなを呼んだんだ、って」ヒカリが怒っとる。「呼ばれてきた魂たちはね、小さいうちに死んじゃったり…幸せに人生を終えたのにうっかり残っちゃった人」「おう」「他の人を傷つけたりしたくない、って泣いてた」ヒカリを抱きしめる。「楽しんでるなら還さなくてもいいんじゃないか、って思っちゃったの」せやな。陽気なファンドたち。「でもそんなことさせられる前に還してあげなくちゃ」「ああ」「ボスにも悪いことさせたくない!シキくん、一緒に来て」「頼まれんでも。断られたって着いていくで」ヒカリが泣き笑いの顔で俺の手を握る。「もう聞こえないふりしない。シキくん、俺を離さないで」「あたりまえや」
明るくなったフロアには獣が住めるようになるんかな…。闇のフロアはファンドだらけで俺が剣を使うことはほとんどなかった。昨日の草原や今のこの階では俺の出番がちょくちょくある。邪魔や、俺はいま、ヒカリを連れていくっちゅう大事な仕事を任されとんねん。俺たちの邪魔はさせへん。俺の瞳にもきっと決意っちゅうもんが宿っとるやろ。
「いっぱい遊んだから帰る、って、でも帰してもらえない、って泣いてた」「ん…」「ここにまた人が来るようになったら、みんなで叩いて遊ぼう、って」「叩いて…?」「そのためにみんなを呼んだんだ、って」ヒカリが怒っとる。「呼ばれてきた魂たちはね、小さいうちに死んじゃったり…幸せに人生を終えたのにうっかり残っちゃった人」「おう」「他の人を傷つけたりしたくない、って泣いてた」ヒカリを抱きしめる。「楽しんでるなら還さなくてもいいんじゃないか、って思っちゃったの」せやな。陽気なファンドたち。「でもそんなことさせられる前に還してあげなくちゃ」「ああ」「ボスにも悪いことさせたくない!シキくん、一緒に来て」「頼まれんでも。断られたって着いていくで」ヒカリが泣き笑いの顔で俺の手を握る。「もう聞こえないふりしない。シキくん、俺を離さないで」「あたりまえや」
明るくなったフロアには獣が住めるようになるんかな…。闇のフロアはファンドだらけで俺が剣を使うことはほとんどなかった。昨日の草原や今のこの階では俺の出番がちょくちょくある。邪魔や、俺はいま、ヒカリを連れていくっちゅう大事な仕事を任されとんねん。俺たちの邪魔はさせへん。俺の瞳にもきっと決意っちゅうもんが宿っとるやろ。
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