172 / 195
12. 初めてのダンジョン
陽気に遊んでいます
しおりを挟む
「あの歌なんなん?」「フフッ、あのね、一緒に遊ぼう、って呼ばれて来た、って。だからもう帰らなきゃだめだよ、って教えてあげたんだよ」「やっぱりそうやったん。懐かしいわ、あれが流れたら帰って宿題すんねん」「うわー、シキくんて偉い!俺は帰っておやつ!」父ちゃんは軍の人に用があるとかで、2人で笑い合いながらアインネートに戻る。「…ダンジョンにいるの、淋しいのかな」「…そうかもしれんな。だからって俺だけ帰したりせんといて。一緒に帰ってくる、て約束しとこ」シキくんと俺の唇が重なった。
「無茶しちゃだめだよ」と泣きそうな顔をしているお母さん。「ヒカリ連れてちゃんと帰ってくるわ」とシキくんが答えて俺たちはダンジョンに向かった。昨日と同じ人が見張りについていて「あ!こちらへどうぞ」と入口まで送ってくれる。「昨日はあの後も明るいままだったんです。でも中は…」ちょっと覗けばそこはやっぱり夜の闇だった。「ダンジョンは広いんか?」「内部の形が定まっていたころは地下3階まで。出てくる獣も初心者向けでした。おかしくなり始めた頃は地下5階になったり上への階段ができたり、初心者にはキツイ魔獣が出たことも。今、内部がどうなっているのかわからないのです。どうぞお気をつけて」シキくんは頷いて「よし、行こか」と俺の手をとった。
ランタンを灯す。魔力は節約しとかなあかん。索敵に反応はない。ヒカリは「こっち?あれ…あっち?」なんてキョロキョロしとる。「どないしてん」「んー…ファンドたち、やっぱり遊んでるのかも。なんか楽しそうなんだよねー。ツライとか苦しいとか、全然聴こえてこないの。あ、ほらまた」とヒカリが指差す。俺にはランタンに照らされたダンジョンの壁しか見えへんけど、ヒカリには陽気なファンドが見えとるという。陽気なユーレイってなんやねん。「…俺、このファンドたちを天に還すの…?」唖然としたヒカリの声に俺も頭を抱えた。
「無茶しちゃだめだよ」と泣きそうな顔をしているお母さん。「ヒカリ連れてちゃんと帰ってくるわ」とシキくんが答えて俺たちはダンジョンに向かった。昨日と同じ人が見張りについていて「あ!こちらへどうぞ」と入口まで送ってくれる。「昨日はあの後も明るいままだったんです。でも中は…」ちょっと覗けばそこはやっぱり夜の闇だった。「ダンジョンは広いんか?」「内部の形が定まっていたころは地下3階まで。出てくる獣も初心者向けでした。おかしくなり始めた頃は地下5階になったり上への階段ができたり、初心者にはキツイ魔獣が出たことも。今、内部がどうなっているのかわからないのです。どうぞお気をつけて」シキくんは頷いて「よし、行こか」と俺の手をとった。
ランタンを灯す。魔力は節約しとかなあかん。索敵に反応はない。ヒカリは「こっち?あれ…あっち?」なんてキョロキョロしとる。「どないしてん」「んー…ファンドたち、やっぱり遊んでるのかも。なんか楽しそうなんだよねー。ツライとか苦しいとか、全然聴こえてこないの。あ、ほらまた」とヒカリが指差す。俺にはランタンに照らされたダンジョンの壁しか見えへんけど、ヒカリには陽気なファンドが見えとるという。陽気なユーレイってなんやねん。「…俺、このファンドたちを天に還すの…?」唖然としたヒカリの声に俺も頭を抱えた。
2
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
おとなりさん
すずかけあおい
BL
お隣さん(攻め)にお世話?されている受けの話です。
一応溺愛攻めのつもりで書きました。
〔攻め〕謙志(けんし)26歳・会社員
〔受け〕若葉(わかば)21歳・大学3年
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい
翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。
それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん?
「え、俺何か、犬になってない?」
豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。
※どんどん年齢は上がっていきます。
※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる