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11. いざアインネートへ
見つからなくても
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「ん。行こか」とシキくんは手を差し出した。「あれ?」すぐに引っ込めた手を不思議そうに見つめるシキくん。「いや、なんでもない。すまんな」腑に落ちない顔で歩き出す。俺に話しかけようとしたのかな、右を見て、戸惑っている。いつもすぐ側にいる俺が一歩後ろを歩いてるからかな。だったらいいのに。俺、シキくんの隣にいたいよ。ずっとそばにいる、って約束したよね。忘れちゃうなんて酷いよ。わかってるよ、失い虫のせいだって、頭ではちゃんとわかってる。でも心がぐちゃぐちゃして、シキくんを自由にさせてあげたい、でもやっぱり一緒にいたい、自分の気持ちがわかんない。
「なかなか見つからへんな。ヒカリ…君も探してや」ヒカリくん、か。他人行儀な呼び方。今の俺はシキくんにとって他人だもんね。もしこのまま見つからなかったら。シキくんが俺を思い出す前に他の人のものになってしまったら。…そんなのやっぱり嫌だ。シキくんは俺のもの。見つからなくても…またイチから俺を好きになってくれればいいのに…。
「絶対に見つけてきて。とても大事な薬なの」て奥さんにきつく言われとる。何の薬やろ。知らんけど、とても大事、なんやろ。見つけなあかん。…それにしても何か忘れとる気がすんねん。それこそ『とても大事』な何か。だいたい俺はなんでフィアナに居るんやった?帰省の途中やったやろか…。そもそも何でアインネートを出た?そこまで考えたところにラビッツ、あかん、ヒカリ君守らな!あたりまえのように彼を庇って剣を振る。「大丈夫か?」「うん、シ、リューくんありがと」ニコッと笑ってまたしゃがみ込み探し始める。笑顔が可愛ええ…ん?俺、誰かにずっと可愛ええ可愛ええ言うとったような…。んなわけないか、この俺が。ヒカリ君の襟元からのぞく青い剣?ん?見たことあるような。「あ!」ヒカリ君が声をあげる……なんやったっけ、俺、すごく好きな声…。
「シ、リューくん!これかな」いけない、ついシキくん、って呼びそうになっちゃう……俺、見つけちゃった。これでシキくんが俺のこと思い出してくれる。でもいいのかな、ほんとにシキくんはそれでいいの…?
「なかなか見つからへんな。ヒカリ…君も探してや」ヒカリくん、か。他人行儀な呼び方。今の俺はシキくんにとって他人だもんね。もしこのまま見つからなかったら。シキくんが俺を思い出す前に他の人のものになってしまったら。…そんなのやっぱり嫌だ。シキくんは俺のもの。見つからなくても…またイチから俺を好きになってくれればいいのに…。
「絶対に見つけてきて。とても大事な薬なの」て奥さんにきつく言われとる。何の薬やろ。知らんけど、とても大事、なんやろ。見つけなあかん。…それにしても何か忘れとる気がすんねん。それこそ『とても大事』な何か。だいたい俺はなんでフィアナに居るんやった?帰省の途中やったやろか…。そもそも何でアインネートを出た?そこまで考えたところにラビッツ、あかん、ヒカリ君守らな!あたりまえのように彼を庇って剣を振る。「大丈夫か?」「うん、シ、リューくんありがと」ニコッと笑ってまたしゃがみ込み探し始める。笑顔が可愛ええ…ん?俺、誰かにずっと可愛ええ可愛ええ言うとったような…。んなわけないか、この俺が。ヒカリ君の襟元からのぞく青い剣?ん?見たことあるような。「あ!」ヒカリ君が声をあげる……なんやったっけ、俺、すごく好きな声…。
「シ、リューくん!これかな」いけない、ついシキくん、って呼びそうになっちゃう……俺、見つけちゃった。これでシキくんが俺のこと思い出してくれる。でもいいのかな、ほんとにシキくんはそれでいいの…?
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