確率は100

10. 旅の始まり

誓いのキス

「まったくもう！ギルド長に笑われた！俺、恥ずかしい！」「しゃあないやろ。俺はあそこでヒカリひん剥いてアンアン言わしたいの我慢したんやぞ」「!!バカ、もうほんとにバカー！」バカ、スケベ、変態、と罵りの単語を並べながら、それでいて俺の手を離さないヒカリ。その調子で家まで歩き部屋に入ったところで「他に言うことあるやろ」「…えへへ。大好き」「知っとる」笑い合う。

「旅に出る前にどうしてもＡランクになりたかったんよ」「うん。ほんとに凄いよね。おめでとう」「ヒカリも。よかったな」「…あのね、俺、やれる気がしてきた。湧き出しのファンド、いつものよりずっと怖かった。意地悪なこと、いっぱい言ってた。すごく怒ってたんだよ」先を促すように頷く。俺の方が泣きそうや。ヒカリはこれから先、どんだけ嫌な思いをさせられるんやろ。「自分がされたことやり返してやる、って、でも本当はやりたくないんだ、ってどっちの気持ちも聞こえてきて…そしたら俺、またわかんなくなっちゃったんだ」気づかぬうちに流れていた俺の涙を吸い取って「でもね、シキくんが呼んでる、俺のこと呼んでくれてるのが聞こえてきて」今度は俺がヒカリの涙を吸い取る。「だから俺ちゃんと帰ってこれた」「いくらでも呼んだる。ずっと待ってる。だから帰ってこいや」「うん。待ってて。約束…」ヒカリの目が閉じられて俺たちは誓いのキスを交わした。