確率は100

９. Ａランクになりたい

ヒカリは俺のや！

「この時間ならヒカリの歌に間に合うんちゃう？」「ホント？聴きたい！急ごう！」と早足で教会へ。首尾よく間に合って聞き惚れる。今日の歌はデビュー曲になるはずだった励ましの歌。なんや、街の人、ずいぶん居んねんな。悩みを抱えた人がこないに居るんか。「ヒカリ君の歌が評判になりまして、歌だけ聴きにくる人もいらっしゃるんです」ロールさんの言葉で納得。さすがは俺のヒカリ。着実にファンを増やしとる。ん？あそこでニヤニヤしとるのは双剣の兄ちゃんやんか！釘さしとかな！

「こんなとこで何しとんねん」「リュー！…違う違う、怒るなよ。たまたま店で見かけてさ。あ、俺ン家、王都でメシ屋やってんだよ。でこの前のお礼にデザートつけたわけ。そしたらリューの母ちゃんが歌に誘ってくれたんだ」「料理人やったん？」「依頼に出ないときだけな、店を手伝ってる。いや、ヒカリの歌、良かったよ」「俺のヒカリを呼び捨てすんなや！」「ヤベッ、わりぃ。ヒカリ君な。あ、俺、ガハン。じゃあな。ヒカリ君によろしく」「よろしくせんでええ！」アハハ、と笑って帰っていくガハン。あの野郎、まったく油断も隙も無い。ヒカリは俺のや！誰にもやらんぞ！「シキくん！聴いてたの？」「ヒカリ！」周りを威嚇するように抱き寄せると口笛がとんでくる。あらあら仲良しねぇ、なんてどこかの婆さん。「ちょっとシキくん！ダメだってば！」ヒカリは大慌て。あぁ可愛ええ。「リュー、あんた、もしかして魔力…」カミナさんの声にハッとする。あかん、自覚してもたら、軽いめまい。「こちらへどうぞ」とロールさんに案内されたのは救護室？「鍵をかけておきますからね」その言葉を合図にヒカリの唇をむさぼった。