確率は100

春夏

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9. Aランクになりたい

杖は重いです

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「おはようございます、ロールさん」「いらっしゃい、さっそく始めましょうか」シキくんの傷を治してから、治癒魔法がちゃんと発動するようになった。もう歌わなくてもできる。

午後は教会に来る人たちの話し相手をしている。司祭さんから「ヒカリ君は『共鳴しすぎない』力をつけたほうがよさそうだね。教会の大事な仕事のひとつは、いろいろな悩みや事情を抱えた人の話を聞いてあげることなんだ。癒し魔法は死者の魂にだけ作用するわけではない。話を聞いて1日に1度歌ってくれないか。その辛さや苦しみを自身のものにしてはいけないよ。共感はする、でも共鳴はしない。その練習だ」と難しい課題を出された。恋人と別れた、という話を聞けば、シキくんと別れることになっちゃったらどうしよう、って泣きそうになったし、乱暴されて殺してやりたい、という話を聞けば、俺も憎しみでいっぱいになってしまった。難しい。でも対象が1人じゃないせいか、俺は意識を保ちながら歌うことができている。ただ歌っているだけだから魔力の消費も少ない。天還の儀の時は俺の意識と関係なく歌ってしまって、魔力切れになっちゃってシキくんにいろいろシてもらっちゃったんだよな…。恥ずかし。でも切れてなくてもシてるじゃん…やっぱりカミナさんともこうだったんじゃ?むー、自分がこんなにヤキモチ焼きだったなんて知らなかった。

「いいですね。治癒魔法、うまくなりましたね。ではこれからは朝のうちに治癒魔法を軽く確認して、午前の間は杖を教えましょう」ロールさんが褒めてくれる。やっぱり優しい。「これが私が使っていた杖です。持ってごらんなさい」…重っ!重いんですけど!
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