確率は100

７. 初めてのふたり

２人の暮らし

昨夜は結局５人で語り明かしてしまった。俺との出会いを聞いたカミナさんたちに囃されてヒカリが歌う。騒いでいたお姉さんたちもいつのまにか静かに聴き入っとる。「リューが惚れたのもわかるわ…」とカミナさん。「せやろ、ヒカリの歌は最高やねん」そんなことないよぉ、と照れとるのがまた可愛ええ。ロールさんは、ホゥ、と息をついて「心が洗われるようです」と呟いた。キールさんなんて、目に涙を浮かべとる。「みんなヒカリの歌を好きになってくれて良かったな。せやけど１番好きなのは俺やぞ」わかってる、とヒカリが笑った。

「王都でゆっくりしなよ。２人で暮らせる部屋を紹介してあげよう」キールさんとギルドへ。王都のギルドは当然デカい。役所も兼ねてるんやもんな、どんだけの人が暮らしとるか、っちゅうハナシや。「シキくんもギルドで依頼を受けたりするんでしょ？」「せやで。ほら、依頼が貼られとるやろ」「掃除の手伝いなんかもあるんだ」「ギルドは市役所みたいなもんなんやて。せやから町の人もおるやろ」「ホントだ、おばあちゃんが話してる」なんて会話をしていると「お待たせ。部屋に案内するよ」とキールさん。「日当たりのいい広めの部屋だよ。リュー君は依頼で稼いだお金、けっこう貯めてるだろう？余裕で払えるよ」たしかに住み込みにさせてもろてたおかげで金はある。ヒカリとの愛の巣や、ケチケチせんとこ。いわゆる１ＬＤＫ、家具も備え付けや。大きめのベッド。決まりやな。とりあえずひと月分の家賃を払った。