運命の相手 〜 確率は100 if story 〜

11. コンサート

11-8 コンサート前日

side ヒカリ

「じゃ行ってくるね」「しっかりやんなさいよ」「兄ちゃんがんばって！」「見てるからな」家族に送り出されて香山さんの車に乗り込もうとしたら制服姿のアキが走ってきた。「よかった、間に合った。ヒカ、俺がついてるから」「うん！ありがと。がんばる」アキと家族に見送られて車が走り出す。

今日は会場でのリハーサル。本番と同じタイムスケジュールでとりあえず通しでやってみる。ＭＣもちゃんと練習。高橋さんと平野さんが俺が話しやすいように話題を選んでくれて、つっかえながらもなんとかこなす。アンコールしてもらえることも考えて、２時間のリハを終えた。俺たち３人が休憩している間もスタッフの人たちは調整中。「休んでていいのかなぁ」「いいのいいの。このあとまた修正されたところやり直すんだから、今はしっかり休むのが光理君の仕事」そっか、休むのもお仕事なんだ。「ほら、差し入れ食べよう」「うん！」

『でね、保護者の人たちとご飯食べて、今日はホテルなんだよ』『ん、お疲れ。風呂入ったんか？』『うん』『そか。ほな早よ寝なあかんな』『えー！もうちょっとお話しする』『ハハ、じゃヒカリが眠たなるまでお話ししよか』『あのね、関係者席は１階の１番後ろなの』『ちょい遠いなぁ。せやけどずっと見とるよ』シキくんの優しい声。俺のこと大事に思ってくれてるのが伝わってくる。俺も伝えたいな。俺の歌、聴きに来てくれてありがとう。みんな大好き…


side アキ

［俺がんばるから見ててね］おはようのスタンプと短いメッセージ。［大丈夫。なんの心配もしてないよ］がんばれのスタンプを返す。「アキ、準備できたの？前田さんちに行く時間だよ！」「今行く！」ヒカの家に集合して会場まで電車で小一時間。総勢１０人の御一行様だ。「おはようございます」なんて挨拶し合って、姉ちゃんは広瀬さんに興味津々。「アキ、ヒカの彼氏カッコいいじゃん」「声がでけえよ」「じゃ行きましょうか」俺たちはヒカの晴れ舞台に向かって歩き始めた。