運命の相手 〜 確率は100 if story 〜

11. コンサート

11-1 俺の友だち

side アキ

ヒカから発売前のアルバムとポスターをもらった。俺たちは高３になって、ヒカはコンサートの準備やら何やら、俺も予備校や模試でヒカに会うのは久しぶり。「アキとこんなに会わなかったの初めてじゃない？」「ん、ヒカ忙しいもんな」「父さんがね、アキは勉強があるんだから邪魔したらだめ、って」「そんなことねぇよ。気にすんな」…受験よりヒカが優先だし。言わねえけど。「それよりコンサート！うちの家族も、って良かったの？」「もちろん！皆で来てよね」「姉ちゃんなんかすげえ喜んでたぜ。うちわ作るって」「えー！アイドルみたいじゃん…俺ファンサとかできるかなぁ…」「俺にやってみろよ、練習練習」ヒカが俺に小さく手を振る。俺は大きく振り返して「このくらいだろ？」ヤケになってブンブン手を振り合って俺たちは笑った。

「岩崎さんが作ってくれたのこれ？」「うん。いい歌だよねぇ」「さすがだな、ヒカに合ってる。この前、母ちゃん興奮して帰ってきたぜ」「うちも！アンタの親でほんとによかったって何回も言ってた」ヒカんちのおばさんを岩崎さんがコンサートに招待してくれてうちの母ちゃんと行ったんだよな。「…俺も来てくれた人にあんなふうに喜んでほしいな」「ヒカならできるよ。俺が見守ってるしな」「ん、いつもありがと。やっぱりアキ大好き」微笑むヒカに思わず手を伸ばしそうになって拳を握りしめた。

「これから衣装合わせなんだ。アキも一緒に行こ」誘われて事務所へ。「アキ君久しぶり。勉強どうだい？」香山さんは俺の第一志望を出ているから、学内の様子などを教えてもらったり解答のポイントなんかを聞いたりと世話になっている。「今のところ順調です。このままいけば後輩になれるかも」「そっか、楽しみだな。がんばって」そこに着替えたヒカが現れた。「うわ！ヒカ似合う！超カッコいいじゃん！」「ほんと？俺カッコいい？」「俺には負けるけどな」この衣装でステージで歌うヒカを想像したら、なぜか目の奥が痛くなった。「…がんばれよ」なんとか絞り出した声が震えたことに気づかないで。「…いつだってアキが俺の１番の友だちだからね」バカなくせに俺のことだけはよくわかっているヒカが笑った。