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2. 縮められない距離
2-1 ファミレス
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side シキ
「駅前にファミレスがあるんです。そこでいいですか?」「なんでもええよ。焼き肉とかでもええんやで?奢ったるよ」「え、そんな、悪いです。自分で払います」「お祝い言うたやろ。年上のメンツっちゅうやつや。黙って奢られとき」困った顔も可愛ええ。こんな可愛ええ子おんねんなぁ…。「…じゃあお願いします」「ん。好きなもん頼み」選んだのは2人とも目玉焼きハンバーグ。「あ、一緒だ。えへへっ」…あかん、もう無理。がんばってくれ、俺の理性。
注文をして料理を待つ間に自己紹介。「えっと…俺、前田光理っていいます。高1です」「光理君か。君にピッタリの名前やな。俺は広瀬志貴。29歳や。すまんな、こんなオッサンに急に誘われて驚いたやろ」「ん…ビックリしたけど…でも俺も広瀬さんと話してみたかったから…」「え?ホンマ?」「…もう会えないだろうな、って思ってて…今日いてくれたから嬉しかったです」はにかむ笑顔。「…俺も会えて嬉しいわ」みるみる赤く染まる頬。あかん、ホンマにあかん。相手は子どもや、年なんか半分やぞ。ハンバーグが運ばれて微妙な空気は流された。
「ライス、おかわりでけるで。頼むか?」うん、と頷く。ほっぺにはハンバーグが溜め込まれ可愛く膨らんどる。ライスを注文し「食べ盛りやなぁ。細っこい体しとんのに」ングングと飲み込んで「広瀬さんの方が細いですよね。俺は結構筋肉あるんですよ」とシャツをちらりと捲る。「ハンバーグでパンパンやないの」「エヘヘ、そうかも」ようやった、俺の理性。ヤバい、ギリギリやったで。この子いつもこんなに無防備なんやろか。大丈夫なんかいな…
食後にコーヒーを頼む。「俺、アイスコーヒー好きなんです。広瀬さんはビールとかじゃなくて良かったんですか?」アルコールなんか入れたら理性が仕事放棄するやろが。「普段は飲むけど…今日は未成年と一緒やからな」「あ…すみません。ありがとうございます」「ええんよ。かまへん」
「広瀬さん優しいからつい甘えちゃった。ごちそうさまでした」なんぼでも甘えてくれ…なんて言えるわけないわな。はぁ。メシが終わってしもた。「…あの…」「ん?」「…俺の歌、どうでしたか?」「そらもう、すごく良かったで。ファンクラブなんかあんのかいな、絶対入るわ」「…まだそういうの決めてるところなんです。あの…連絡先、聞いてもいいですか。お知らせします」ホンマか…。連絡先を交換し店を出る。「遅くなってもうたな。すまんかった」「とんでもないです。ありがとうございました」「気をつけて帰りや、心配やから着いたら連絡くれ」送ってやりたい。いや、連れ帰りたい。あかんやろ!ひとつおじぎをして去っていく後ろ姿を見送った。
「駅前にファミレスがあるんです。そこでいいですか?」「なんでもええよ。焼き肉とかでもええんやで?奢ったるよ」「え、そんな、悪いです。自分で払います」「お祝い言うたやろ。年上のメンツっちゅうやつや。黙って奢られとき」困った顔も可愛ええ。こんな可愛ええ子おんねんなぁ…。「…じゃあお願いします」「ん。好きなもん頼み」選んだのは2人とも目玉焼きハンバーグ。「あ、一緒だ。えへへっ」…あかん、もう無理。がんばってくれ、俺の理性。
注文をして料理を待つ間に自己紹介。「えっと…俺、前田光理っていいます。高1です」「光理君か。君にピッタリの名前やな。俺は広瀬志貴。29歳や。すまんな、こんなオッサンに急に誘われて驚いたやろ」「ん…ビックリしたけど…でも俺も広瀬さんと話してみたかったから…」「え?ホンマ?」「…もう会えないだろうな、って思ってて…今日いてくれたから嬉しかったです」はにかむ笑顔。「…俺も会えて嬉しいわ」みるみる赤く染まる頬。あかん、ホンマにあかん。相手は子どもや、年なんか半分やぞ。ハンバーグが運ばれて微妙な空気は流された。
「ライス、おかわりでけるで。頼むか?」うん、と頷く。ほっぺにはハンバーグが溜め込まれ可愛く膨らんどる。ライスを注文し「食べ盛りやなぁ。細っこい体しとんのに」ングングと飲み込んで「広瀬さんの方が細いですよね。俺は結構筋肉あるんですよ」とシャツをちらりと捲る。「ハンバーグでパンパンやないの」「エヘヘ、そうかも」ようやった、俺の理性。ヤバい、ギリギリやったで。この子いつもこんなに無防備なんやろか。大丈夫なんかいな…
食後にコーヒーを頼む。「俺、アイスコーヒー好きなんです。広瀬さんはビールとかじゃなくて良かったんですか?」アルコールなんか入れたら理性が仕事放棄するやろが。「普段は飲むけど…今日は未成年と一緒やからな」「あ…すみません。ありがとうございます」「ええんよ。かまへん」
「広瀬さん優しいからつい甘えちゃった。ごちそうさまでした」なんぼでも甘えてくれ…なんて言えるわけないわな。はぁ。メシが終わってしもた。「…あの…」「ん?」「…俺の歌、どうでしたか?」「そらもう、すごく良かったで。ファンクラブなんかあんのかいな、絶対入るわ」「…まだそういうの決めてるところなんです。あの…連絡先、聞いてもいいですか。お知らせします」ホンマか…。連絡先を交換し店を出る。「遅くなってもうたな。すまんかった」「とんでもないです。ありがとうございました」「気をつけて帰りや、心配やから着いたら連絡くれ」送ってやりたい。いや、連れ帰りたい。あかんやろ!ひとつおじぎをして去っていく後ろ姿を見送った。
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