運命の相手 〜 確率は100 if story 〜

1. 出会い

1-9 デビュー決定

side ヒカリ

事務所に入って３ヶ月。両親とともに社長に呼ばれた。「なんだろ…。クビだったらどうしよう」「そしたらまた別の道を探せばいいさ。光理はまだ高校生なんだから」そんな覚悟をしながら会った社長に告げられたのは、デビュー決定の知らせだった。「…ウソ…」「嘘なものか。これから曲選びをしてレコーディングに撮影、半年後の発売を予定しているよ」父さんと母さんが「よろしくお願いします」と頭を下げる。慌てて俺もそれに倣った。

「紹介しよう。光理君のマネージャーだよ」「香山です。よろしく」「かやまさん…。えと、前田光理です」香山さんは父さんたちにも「遅くなる時は送り届けますのでご安心ください」なんて伝えてる。優しそうな人でよかった。「光理君は喋るのはあまり得意じゃないだろう？当分は歌だけのつもりだが、歌番組でも話を振られることがあるのは見たことあるだろう。だからサポートをつけようかと思うんだ。光理君は見たことあるかな」そう紹介されたのはバラエティなんかで時々見かける２人。なんだっけ…そだ、高橋さんと平野さん。「ギターとピアノのユニットでね、音楽で出してあげたかったんだけど、喋りで人気が出ちゃって」「僕らももう今のままでもいいかな、って思ってたんだけどね。光理君の歌を社長に聴かされて、この子とならこっちからお願いしたいくらいだ、ってね」母さんが「よかった…光理１人なんて無理…」と呟いた。すみませんね、いつもぼーっとしてて。

こうして俺はデビューに向けて動き出した。違う、動き出したのは俺の周り。俺はいつもどおりアタフタしながらついていくだけです。