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1章 贖罪の憤怒蛍
2 ロンガ
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よく晴れた蒼穹の下、ロンガの人々の騒がしい日常が流れてゆく。冬明けの祭りが近いだけあり、いそいそと街の飾り付けや屋台の設置に勤しむ者も多い。
そんな大通りの中、三人は並んで歩く。シャルロットを挟む形でのんびりと街を散策する。最初に宿に寄って荷物を預けてからの、完全に観光モードだ。
名目上は多発する行方不明者の捜索および情報収集だが、せっかくのミセリアからの計らいだ。この機を無駄にせず、真の目的である気分転換を成し遂げるのだ。
こっそり息巻くレイの横で、シャルロットが小さく息をつく。
「本当に坂道が多いんだね。不思議な感じ」
「元々、街が出来る前は丘陵地帯だったみたいだよ」
「なるほど……」
そんなとりとめもない会話を浅く繰り返しつつ、十数分ゆっくりと歩いた後――のんびりでも坂道では意外と体力が削られるなぁと思いながら――、辿り着いたのは象牙色の建物だ。ここが例の博物館らしい。ルシオラが迷わず入っていく様子を見るに、レイはそう思った。
入館の手続きを済ませた後、薄暗い建物の奥へと進む。
「実はこのロンガ、過去に精霊ビエントの襲撃がいくつかあった際もこの博物館だけは手を付けなかったそうだ。昔、女神がまだ表世界から姿を消す前の時代から残る遺物が保管されているからかもしれないな」
「へぇ。女神さまが居た頃って、相当前の話でしょう? よく残ってますね」
「こういう物は後世に役立つこともあるからな。それに、現代では失われてしまった情報を読み解くことも出来る。――少し、確認したいことがあってな。俺はその遺物を見てくるから、二人は自由に見て回ってくるといい」
そう口にしたルシオラの袖を引き、シャルロットはむっと口を僅かに尖らせる。
「だめだよ。私たちはお兄ちゃんの監視役でもあるんだから。ね、レイ?」
「そうだね。みんなで行きましょう」
「……そういえばそうだったな」
すっと視線を逸らしたルシオラの口元には苦笑が浮かんでいた。
それから案内板を見ながらほんのりと暗い通路を進む。壁際にガラス越しに飾られた昔に作られたとかいう食器や石造、割れた――おそらくはアミュレットなどの装飾品の数々。
ふと視界が明るくなったことに気が付き、レイは上を向く。
広い空間だ。天井付近に設けられた大きな窓から光が差し込み、部屋を照らしているのだ。通路から出た正面には壁画らしきものが飾られている。高身長であるルシオラよりも頭二つくらい背が高く、幅は三人が両腕を伸ばして端から端までギリギリ届くかどうか、という大きさだ。
「これが、ルシオラさんの見たかったものですか?」
「まぁそうだな。数年前、この壁画を見たことがある。ここ最近の事件を通してもう一度見たくなったんだ。前は特に何も感じなかったんだが、今見たら新しい発見があると思って」
この壁画は、人間たちが戦争を繰り広げている最中に描かれたものだとされている。
女神らしき女性の絵を中心として、武器を持った人間たちがびっしりと下の方に描かれていた。少し不気味に思ったのが、その人間たちのさらに下に所々剥げた黒の背景に武器を持たない人間たちが倒れて積み重なっている部分だ。
背景の黒はつる草のように文様を描きながら上へと描かれ、女神へと絡まっているかのように見える。
「昔はこれを、人間の血が女神を悲しませているという解釈をしていた。だが、本当は瘴気を表していたのではないかと、そう思った」
「……」
「瘴気は人間の負の感情から生まれると聞く。人間の醜い戦争だ、当時は今よりも瘴気が色濃かったのだろうな。――昔から、残された人類は未来の俺たちへと警告を残していたんだ。だが、歴史から瘴気はやがて忘れ去られていった。一番大事な、人間の罪だというのに」
そこまで語って、ルシオラはシャルロットを見る。兄の視線を受け止めた少女は、丸く綺麗な瞳を僅かに震わせた。
「シャルロット、お前は瘴気に触れたと聞いた。――大丈夫、なのか?」
なるほど、とレイは口には出さずに納得する。
瘴気で作られた壁、障壁をシャルロットが一部浄化したことは肉親であるルシオラにも伝えられている。その時に彼はこの壁画について思い至り、女神が苦しむ様を描いたこれを見てシャルロットと重ねたのだろう。
確認したいこととはこのことか。
シャルロットは緩くかぶりを振って、笑顔で答える。
「私は大丈夫。レイが傍にいてくれたし、ミセリアが守っていてくれたから。みんなの進む道を切り開けたから、良かった。そう、良かったの」
「……なら良いが。ただ、無理だけはしないで欲しい。お前までいなくなってしまったら、俺は」
「お兄ちゃん」
一瞬、少女の顔から笑顔が消えた。
「それは、私も同じだよ」
やっと、一緒にいられると思ったのに。
声にならない嘆きが聞こえたような気がした。
***
それからというものの、気を取り直して観光……というわけにはいかず。重苦しさが増した空気の中、レイは息苦しさを感じてしまう。
感情を顔に出さないようにすることには慣れている。以前、森で暮らしていた時はそのようにして生きてきた。しかし、あれからしばらく時間が経っている。親しい人がつくり出す空気感にはどうにも抗えず、笑顔を保つことも難しい。
日が暮れるまでの一日、三人であちこち歩き回り、その最中にどうにか場を盛り上げようと奮起していたレイだが、それも空しく撃沈している。シャルロットもルシオラも反応はしてくれるのだが、上の空状態が続いてしまっているのだ。
そんな三人が宿に戻って食事を取り終わった時の話だ。
部屋割りは男女で分かれている。レイとルシオラで一部屋、シャルロットで一部屋。男二人が同室なのは女性であるシャルロットへの配慮と、ルシオラの監視目的が一応の理由である。
「レイくん」
「は、はい」
手持ち無沙汰になりお茶でも淹れようかと思い始めていたレイへ、ルシオラから声がかかる。
宿名物だという大浴場での入浴を済ませた後だ。ルシオラの長い髪は髪紐が解かれ、真っ直ぐに背を流れている。普段はきつく結っているため、こうして髪を下ろして眼鏡を外すと随分と印象が変わるのだな、と心のどこかで思う。
「君には感謝しているんだ」
「えっと」
「妹と共に居てくれたこと」
未だ準備に騒がしい街を窓から眺めつつ、ルシオラはそう言う。
「知っていることだとは思うが、俺たちには両親がいない。精霊に殺された。セラフィも精霊に奪われて、俺は精霊を許せずにいた。それで頭がいっぱいになっていた。だからこそ気づけなかったんだ。あの子が、本当は寂しい思いをしていること」
「……」
「あの子は良い子だから大丈夫だと、一人家に置き去りにして俺は仕事……いや、罪を重ねてきた。きっと分かってくれると傲慢にも思っていたんだよ。その隙にあの子も精霊に危険な目に遭わされてしまったんだがな」
自嘲気味に唇が弧を描く。ルシオラは窓から視線を逸らし、レイへと向ける。
備え付けのソファに腰掛けていたレイの背筋が自然と伸びた。
「ここ数ヶ月、あの子の様子を見ていて思った。君があの子の心を埋めてくれていたのだと。最初は胡散臭い奴だと思っていたが、実際に話してみれば君も優しい子だと分かったさ。あの子が懐くのも分かる」
「違います、優しいのはシャルロットの方なんです。俺はただ、彼女に助けられてばかりで」
「多分、君がいてくれるというだけでシャルロットは救われているよ。君はもう、あの子の一部だから」
一拍呼吸を置いた後、ルシオラは笑む。
「だから、君はどうかあの子の側にいてあげてくれないか。俺は今こそこうして話ができるが、所詮大罪人。時が来れば、離れざるを得ないから」
「……はい。約束しましたから」
ふと思い出した。
ラエティティア王国の霊峰で、精霊ビエントの襲撃を受けてしまったときのこと。
なんとか退けて、その後に涙を流した彼女の顔と言葉を今でも忘れられない。
『一緒にいてください』
それだけで良いのだ、とストンと腑に落ちる。
「そういえば、君はどこ出身なんだ?」
「あ……えっと、森暮らしです。一応はシアルワ領ですけど、シャルロットに出会う八年前からはそこで暮らしていました」
「ほう? それ以前はどこで?」
「……それが、覚えていないんです。何も」
「そうか、すまない。悪いことを聞いたな」
「いえ。それよりも」
安堵した直後の質問で一瞬大きく心臓が跳ねたが、なんとか笑みを形作る。
ずっと忘れていた自らの空虚さを隠すように。
「お祭り、みんなで楽しみましょうね」
「そうだな」
何事もなく、その夜は穏やかに過ぎていった。
そんな大通りの中、三人は並んで歩く。シャルロットを挟む形でのんびりと街を散策する。最初に宿に寄って荷物を預けてからの、完全に観光モードだ。
名目上は多発する行方不明者の捜索および情報収集だが、せっかくのミセリアからの計らいだ。この機を無駄にせず、真の目的である気分転換を成し遂げるのだ。
こっそり息巻くレイの横で、シャルロットが小さく息をつく。
「本当に坂道が多いんだね。不思議な感じ」
「元々、街が出来る前は丘陵地帯だったみたいだよ」
「なるほど……」
そんなとりとめもない会話を浅く繰り返しつつ、十数分ゆっくりと歩いた後――のんびりでも坂道では意外と体力が削られるなぁと思いながら――、辿り着いたのは象牙色の建物だ。ここが例の博物館らしい。ルシオラが迷わず入っていく様子を見るに、レイはそう思った。
入館の手続きを済ませた後、薄暗い建物の奥へと進む。
「実はこのロンガ、過去に精霊ビエントの襲撃がいくつかあった際もこの博物館だけは手を付けなかったそうだ。昔、女神がまだ表世界から姿を消す前の時代から残る遺物が保管されているからかもしれないな」
「へぇ。女神さまが居た頃って、相当前の話でしょう? よく残ってますね」
「こういう物は後世に役立つこともあるからな。それに、現代では失われてしまった情報を読み解くことも出来る。――少し、確認したいことがあってな。俺はその遺物を見てくるから、二人は自由に見て回ってくるといい」
そう口にしたルシオラの袖を引き、シャルロットはむっと口を僅かに尖らせる。
「だめだよ。私たちはお兄ちゃんの監視役でもあるんだから。ね、レイ?」
「そうだね。みんなで行きましょう」
「……そういえばそうだったな」
すっと視線を逸らしたルシオラの口元には苦笑が浮かんでいた。
それから案内板を見ながらほんのりと暗い通路を進む。壁際にガラス越しに飾られた昔に作られたとかいう食器や石造、割れた――おそらくはアミュレットなどの装飾品の数々。
ふと視界が明るくなったことに気が付き、レイは上を向く。
広い空間だ。天井付近に設けられた大きな窓から光が差し込み、部屋を照らしているのだ。通路から出た正面には壁画らしきものが飾られている。高身長であるルシオラよりも頭二つくらい背が高く、幅は三人が両腕を伸ばして端から端までギリギリ届くかどうか、という大きさだ。
「これが、ルシオラさんの見たかったものですか?」
「まぁそうだな。数年前、この壁画を見たことがある。ここ最近の事件を通してもう一度見たくなったんだ。前は特に何も感じなかったんだが、今見たら新しい発見があると思って」
この壁画は、人間たちが戦争を繰り広げている最中に描かれたものだとされている。
女神らしき女性の絵を中心として、武器を持った人間たちがびっしりと下の方に描かれていた。少し不気味に思ったのが、その人間たちのさらに下に所々剥げた黒の背景に武器を持たない人間たちが倒れて積み重なっている部分だ。
背景の黒はつる草のように文様を描きながら上へと描かれ、女神へと絡まっているかのように見える。
「昔はこれを、人間の血が女神を悲しませているという解釈をしていた。だが、本当は瘴気を表していたのではないかと、そう思った」
「……」
「瘴気は人間の負の感情から生まれると聞く。人間の醜い戦争だ、当時は今よりも瘴気が色濃かったのだろうな。――昔から、残された人類は未来の俺たちへと警告を残していたんだ。だが、歴史から瘴気はやがて忘れ去られていった。一番大事な、人間の罪だというのに」
そこまで語って、ルシオラはシャルロットを見る。兄の視線を受け止めた少女は、丸く綺麗な瞳を僅かに震わせた。
「シャルロット、お前は瘴気に触れたと聞いた。――大丈夫、なのか?」
なるほど、とレイは口には出さずに納得する。
瘴気で作られた壁、障壁をシャルロットが一部浄化したことは肉親であるルシオラにも伝えられている。その時に彼はこの壁画について思い至り、女神が苦しむ様を描いたこれを見てシャルロットと重ねたのだろう。
確認したいこととはこのことか。
シャルロットは緩くかぶりを振って、笑顔で答える。
「私は大丈夫。レイが傍にいてくれたし、ミセリアが守っていてくれたから。みんなの進む道を切り開けたから、良かった。そう、良かったの」
「……なら良いが。ただ、無理だけはしないで欲しい。お前までいなくなってしまったら、俺は」
「お兄ちゃん」
一瞬、少女の顔から笑顔が消えた。
「それは、私も同じだよ」
やっと、一緒にいられると思ったのに。
声にならない嘆きが聞こえたような気がした。
***
それからというものの、気を取り直して観光……というわけにはいかず。重苦しさが増した空気の中、レイは息苦しさを感じてしまう。
感情を顔に出さないようにすることには慣れている。以前、森で暮らしていた時はそのようにして生きてきた。しかし、あれからしばらく時間が経っている。親しい人がつくり出す空気感にはどうにも抗えず、笑顔を保つことも難しい。
日が暮れるまでの一日、三人であちこち歩き回り、その最中にどうにか場を盛り上げようと奮起していたレイだが、それも空しく撃沈している。シャルロットもルシオラも反応はしてくれるのだが、上の空状態が続いてしまっているのだ。
そんな三人が宿に戻って食事を取り終わった時の話だ。
部屋割りは男女で分かれている。レイとルシオラで一部屋、シャルロットで一部屋。男二人が同室なのは女性であるシャルロットへの配慮と、ルシオラの監視目的が一応の理由である。
「レイくん」
「は、はい」
手持ち無沙汰になりお茶でも淹れようかと思い始めていたレイへ、ルシオラから声がかかる。
宿名物だという大浴場での入浴を済ませた後だ。ルシオラの長い髪は髪紐が解かれ、真っ直ぐに背を流れている。普段はきつく結っているため、こうして髪を下ろして眼鏡を外すと随分と印象が変わるのだな、と心のどこかで思う。
「君には感謝しているんだ」
「えっと」
「妹と共に居てくれたこと」
未だ準備に騒がしい街を窓から眺めつつ、ルシオラはそう言う。
「知っていることだとは思うが、俺たちには両親がいない。精霊に殺された。セラフィも精霊に奪われて、俺は精霊を許せずにいた。それで頭がいっぱいになっていた。だからこそ気づけなかったんだ。あの子が、本当は寂しい思いをしていること」
「……」
「あの子は良い子だから大丈夫だと、一人家に置き去りにして俺は仕事……いや、罪を重ねてきた。きっと分かってくれると傲慢にも思っていたんだよ。その隙にあの子も精霊に危険な目に遭わされてしまったんだがな」
自嘲気味に唇が弧を描く。ルシオラは窓から視線を逸らし、レイへと向ける。
備え付けのソファに腰掛けていたレイの背筋が自然と伸びた。
「ここ数ヶ月、あの子の様子を見ていて思った。君があの子の心を埋めてくれていたのだと。最初は胡散臭い奴だと思っていたが、実際に話してみれば君も優しい子だと分かったさ。あの子が懐くのも分かる」
「違います、優しいのはシャルロットの方なんです。俺はただ、彼女に助けられてばかりで」
「多分、君がいてくれるというだけでシャルロットは救われているよ。君はもう、あの子の一部だから」
一拍呼吸を置いた後、ルシオラは笑む。
「だから、君はどうかあの子の側にいてあげてくれないか。俺は今こそこうして話ができるが、所詮大罪人。時が来れば、離れざるを得ないから」
「……はい。約束しましたから」
ふと思い出した。
ラエティティア王国の霊峰で、精霊ビエントの襲撃を受けてしまったときのこと。
なんとか退けて、その後に涙を流した彼女の顔と言葉を今でも忘れられない。
『一緒にいてください』
それだけで良いのだ、とストンと腑に落ちる。
「そういえば、君はどこ出身なんだ?」
「あ……えっと、森暮らしです。一応はシアルワ領ですけど、シャルロットに出会う八年前からはそこで暮らしていました」
「ほう? それ以前はどこで?」
「……それが、覚えていないんです。何も」
「そうか、すまない。悪いことを聞いたな」
「いえ。それよりも」
安堵した直後の質問で一瞬大きく心臓が跳ねたが、なんとか笑みを形作る。
ずっと忘れていた自らの空虚さを隠すように。
「お祭り、みんなで楽しみましょうね」
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