孤独王

ラギ

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五年二組の掟

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全校集会が終わり、教室に戻ってきた僕たちは自分の席に着く。席に着くとすぐにクラスは生徒たちの声に包まれる。数分後に高橋先生が教室に入って来た。
「みんな!全校集会お疲れ様!じゃあ、まだ授業時間だけどもう少しで終わるしトイレ休憩にしようか!次の授業開始前には自分の席に戻っておけよ!」
その言葉にみんなは返事をして一斉に席を立って廊下に出ていった。
それから15分ほど経つと授業開始のチャイムがなった。立ち歩いていた生徒はそれぞれの席に戻る。そうしてガラガラッと音を立てて高橋先生はが戻ってきた。
「よし!みんな戻ってるな!じゃあ、早速だけど授業を始めようかな!最初だから先生が挨拶しようか!それじゃあ、起立!」
ガタガタッという音とともに生徒全員が立ち上がる。
「気をつけ!礼!」
その言葉に合わせてみんなはお辞儀をした。すると高橋先生が言った。
「違う違う!礼って言ったらお願いしますでしょ?はい、やり直し!」
そして僕たちは挨拶をやり直す。すると高橋はまた大きな声で言った。
「声が小さいんじゃないか?もっと出せるぞ!君たちならできる!はい、やり直し!」
そして僕たちは挨拶を再びやり直す。
「気をつけ!礼!」
「お願いします!」
生徒たちの大きな声に先生は笑顔をで返した。
「お願いしますっ!!」
先生一人の声で生徒全員の声を書き消した。どことなく教室全体が揺れた気がした。すると扉をコンコンコンッと叩く音が聞こえ、それと同時に高橋先生が呼ばれて教室から出ていった。僕たちは立ったまま先生の帰りを待っていると。30秒かからず高橋先生は帰ってきた。
「はい、じゃあみんな座っていいぞ!」
まだ声は大きいが最初に比べるとどことなく小さい。
「先生どこ行ってたの?」
とある生徒が言った。
「あぁ、隣の五年一組のクラスの佐藤先生にうるさいと注意されてましたw」
その言葉にクラスは笑いの渦に包まれた。その直後コンコンコンッとドアをノックする音が聞こえ、クラスに再び静寂が戻る。
「高橋先生!」
と女性の声がした。きっとあれが佐藤先生の声なのだろう。そうして高橋先生は再び教室から出ていった。先生がいなくなってから数分。なかなか戻ってこない。
「ちょっと、先生帰って来ないけど大丈夫かよ」
「佐藤先生、怖いって聞いたけど」
「あのババアいちいちうるせぇからな」
などという会話が聞こえてくる。さらに待つこと5分。高橋先生が死んだ魚のような目をして帰ってきた。
「先生大丈夫かよ?」
その生徒の言葉に高橋先生は怯えた声で返した。
「あぁ、大丈夫。心配いらないよ。サトウセンセイコワイ…」
あまりにも変わり果てた先生の姿にクラスのみんなもさすがに返す言葉もなく、静寂が続いた。
「あっ、でも元気は大事だから。これからうちのクラス五年二組は元気をモットーに頑張っていきましょう…」
言っていることとやっていることが合わない高橋先生の言葉に僕たち生徒は佐藤先生を絶対に怒らせてはいけないと思うのだった。
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