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第4章
それ以上でも、それ以下でもない30
しおりを挟む男の指がぬめりを伴って体の中に入ってくる。
息をしろ、息をするんだ。苦しくて苦しくて。指が的確にヒカリの中を動き、突く。
男がもう一本タバコに火をつけて、吸い始めた。凭れ掛からせたヒカリの体はもう抵抗しないと踏んだのだろう。
片手で器用にタバコに火をつける。
そうか、火を飛ばすことができるから片手でタバコに火がつけられるんだ。
たばこのにおいが変に甘ったるくて顔を背けると、男がたばこ臭い口でまた口付けてきた。
「ひぅ」
「前やった時よりわかりやすくなってるな。お前の同居人はこうなってるの知らないのか。ほら? 触るとわかる。ここの、お前が、気持ちよくなってる、しこり。これが前より触ってくれって出てきてるだろ。その割にお前のここ、受け入れる穴の方な。だいぶ受け入れてないな。ずっと受け入れているとやらかいんだよ」
冷静にヒカリの体を確認していっている。
自分の知らないことを確認されて何も言えない。だってそこは自分でも知らない所だから。
「ふっ、う…」
「相変わらずここは元気がない……」
くわえたばこをしている男が空いている手でヒカリの陰茎に触れて眺める。
すりすりと撫でるような手つきだ。少しだけ芯があるのを確かめるようにクニクニとつままれる。灰が落ちそうになると手を離すが、再びクニクニ触っている。
でもやっぱりヒカリの先は項垂れているままなことを揶揄された。
お尻の穴に指が4本はいってぐぷぐぷいうまでレオニスは飽きずにずっとヒカリの陰茎に触れていた。
抵抗しようとして殴っても気にならないのか体全体で包み込まれて拘束され、足で暴れてみてもいたずらに自分のお尻を痛めつけてしまう。
そうするとまた酸欠になるように呼吸の自由を奪い、自分の血の味と相手の味を味わわされる。
何度も何度もそれを繰り返されて、体がくたくたになった。胸の先もじんじんして変な感覚がする。
時計を見たらそんなに時間がたったわけではないのに、どうしてこんなに疲労困憊で時間が長く感じられるのだろうか。
「声、出す気になったらいつでも出していいから」
それに返事をするかのように首を力なく振るヒカリを見て、自身の剛直をそこにこすりつけてくる。
何度もヒカリを少し持ち上げてピトリと当てる。が、入れずにひっかけるようにして双丘の間をこする。
その度にヒカリは息を止めて、呼吸して、息を吸っている間にまた引っかかるので呼吸を止めてを繰り返していた。
自分の正しい呼吸がよくわからなくなって、沢山息を吸って何だか頭がくらくらしてきた。
酸素が欲しい。吸っても吸っても酸素が足りない気がする。
「なあ、賭け、やらないか」
くらくらした頭に変な言葉が聞こえた。おーい、日野光。大丈夫かー? 寝てないか?
「お前が我慢できなくなって声を出したら俺の勝ち。質問にちゃんと答えろ。お前が最後まで我慢出来たら、解放してやるよ。誰にも何もせず今回は引き下がる。どうだ?」
賭けに乗るも何も、もうヒカリでは抵抗できないような現状にどうしろというのか、胡乱な目で見上げるとおかしそうに笑う。
「まぁ、そう思うだろうな。気分の問題だよ。そんな拷問受けてるみたいな顔されるのが嫌なだけだ。お前とやるとどうもだめだな」
目の前にヒカリがいるのに独り言のように首を振りながら言う。
気付けばもうたばこは吸っていなかった。それなのに部屋の中には煙が充満しているのか。その匂いしかしなかった。
「お前魅力かなんかの呪い持ってんだろ? 相手してやりたくなる」
口角をあげて自分の髪の毛をかき上げながら、流し目をよこされる。
髪の毛はかき上げても一房、はらりと落ちてヒカリの顔にかかった。
「ただ単に体の付き合いしろって言ってんだよ。気持ちよくなったって言わなきゃばれねぇよ。お前が誰かを裏切ったとか思わないだろ。いい人間なんだろ、その同居人。なあ?」
目を見て言われて思わず頷くと、持ち上げられたお尻に先端が当たる。
「だから、お前は何も気にせず俺の相手しろ」
「はっ」
口から息が漏れた。違う、そっちに頷いたんじゃない!
ずぶずぶと体の中に入ってくる重量感のあるものが苦しい。
先の張っているところが容赦なく突き進んで苦しい。久しぶりの苦しさにどうやっていたか忘れている体がより硬さを増す。
「ほら、息しろ」
先ほどまでの苦しめるようなキスではなく唇の先に触れるだけのキスをして、胸の先に優しく触れて、陰茎も優しく揉まれる。
さっきまでの苦しめるような感覚ではなく、あくまでゆっくり進む。
それでもやはりレオニスのものは大きくて苦しさが勝つ。
先端で中のしこりを何度も押され、その度にびりびりする。
「お前の中熱いな」
途中まではゆっくり進んでいたけれど、突然耳元で悪い、もう我慢できないと言われグイッと一気に突き上げられた。
肺の中に残っていた息が全部出た。
「あれから、心配してたんだ。レグルス様も俺にお前を探せって言われて。だが、俺はあくまでレグルス様の護衛だから。この国にいるお前が敵対するのかどうかを見極めなきゃいけない」
ぶるぶる震えている間に告げられた話に反応してしまった。
レグルスが? 僕を? つい相手の目を見ると嬉しそうに笑った。
「レグルス様は無事だ。お前を探していた。あの方は簡単に来られる身ではないからな。今回も来ていたのだが、聞かなかったか?」
それは知らなかった。体の中により深く杭が入り込む。
「だから返答次第ではっていう意味で無事に帰すって言ったんだ。それなのに面倒なことするから。その舌の呪術はどうしたんだ? だれに施してもらった?」
じゅじゅつ? 何のことかわからない。そんなヒカリは自然と首をかしげていた。
「呪術も知らないのか? 魔道具扱ってんなら知ってんだろ。ちゃんと仕事してんのか」
それにもむっとしてしまう。呪術なんか施してもらってないし、仕事ちゃんとしてるし、下っ端だけどちゃんとお給料に見合う分、働いてるし、今度お給料上げちゃおうかなって課長も言ってたし、カシオさんも魔道具の相談してくれるし。
それも全部表情に出てしまうヒカリは、久しぶりの勝手な性行為に体が追いつかない。
ゆるゆると動いていたのが、そこから少しずつ動きが大きくなった。
その湧き上がるものを逃がそうとするのだが、レオニスが離さないのでヒカリの体が痙攣して中が熱くなる。レオニスがずっと弄んでいた陰茎が反応しているのがわかる。
あぁ、と思った。
ぬるぬると汚れた手でお構いなしにそのまま、ヒカリの陰茎を再び擦り上げ始める。
「ほら、話してもいいんだ。やっぱり話せないか? そうか、タイムオーバーだな」
レオニスは少し悲しそうな表情をした。
とんっと頭に人差し指がつけられる。
「たいちょうー、ただいま生還しました」
「遅い。やれ」
「はい」
目の前で自分の剛直を突き入れられたまま、ヒカリの形のいい頭に指がつけられる。
その指から微弱な雷力が加わる。それよりも弱い治癒力を流し込むことで、脳を壊さないように配慮しながら相手の脳を緩める。
「おい、ヒノヒカリ。返事できるか」
目の前の少年は口を動かしもせずに宙を見ている。
「相当強い呪術ですよ。呪いに近い。えっと、あー、これダメです。本人の意識がなくなっても解けなくなってますね。かけた本人が良しという判断をするまでは死ぬまで声出せない仕組みですね」
部下の方が呪術に詳しいので、舌を引っ張り出して間近で眺めているのを見ていると部下がこちらを見ていった。
「あとね、治癒力がこの子入りづらい体質ってありましたよね? 実際激ヤバなくらい入んないっす」
「は?」
「裂傷とかさせなくて正解ですよ。医者が呼べないから、いつもの拷問をしていたら死んじゃう所でした。よかった、こっちの拷問にしておいてくれて」
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