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陛下の思惑としきたり
しおりを挟む「おい、これはどういうことだ!なぜ?私の代で禁忌とされる双子が、しかも瓜二つな女の子産まれるんだ!」
「陛下落ち着いてください!まだ、今なら間に合います、1人を外に出しましょう。そうすれば最悪の時に王家の血は守られますぞ!」
「宰相、1人はいなかったことにするというのか?そ、それでは・・・」
「陛下大丈夫です、しきたりは守られますから。いいですか、私が宰相の地位を息子に譲ってどこか遠い国の無人島にでも隠居してこの娘を育てますので逝去したことにして下さい!そうすれば、すべて丸く収まりますので!」
「宰相よ、わかっていると思うが名前だけは気を付けろよ!我々は月の加護を受けて生かされているということを!必ず月神様の名前を付けよわかったな!」
この事態を想定していたかのように陛下と宰相の話は出来過ぎていた、なぜなら第1王妃陛下も承諾しているとのことで最初に産まれた娘は宰相と共に国外に出すことにしていたからである。第1王妃陛下は自分の侍女の中から信頼出来る者を2名宰相に付いて行くように指示を出していた。これには宰相も驚きを隠せなかったようで思わず陛下によろしいのですか?と聞き直すほどであったという。
「では陛下、わたくしはこの国を出たら表向きはこの国と無関係という事でよろしいですかな?」
「うむ、これもしきたりと王家の血筋を絶やさぬためじゃ、宰相よ侍女2人しか付けてやれんがどうにか生き抜いてくれ、我が子を頼んだぞ!」
その頃元宰相たちが住むことになる無人島のある国では、2つの命が産まれたのだが容姿が瓜2つな可愛い女の子なのだが、周囲は蒼褪めた顔をしておりとっても喜ばしい雰囲気ではなかった。それもそのはずある、彼女らが産まれて来た家は遥か昔より由緒正しく続く家で双子の女児はどちらか一方を外に出すか処分しなければならないというしきたりがあり、男児であれば片方を影武者の扱いにして延命出来たのだが女児はそういう訳にはいかなかった。少し似ている程度であれば親戚の家に養女として預けることも可能だったのだが瓜2つではそういう訳にもいかず、どこか信頼のおける人物に預けるしか生かすことが出来ないと判断するしかなかった。そんな矢先に自分たちが経営する不動産会社に無人島を買いたいという人物が来店して来たという。
「少しお尋ねしたいのですが無人島を1つ売って頂くことは出来ませんか?なにぶん急いで来たため屋敷の準備も出来てない状態でして困っておるのです。」
「無人島ですか?確かにわが社では無人島も取り扱っておりますが、どのくらいの規模でどのような用途お買いになりたいかお聞きしてもよろしいですかな?」
「詳しい事情は話せませんが、隠居して娘と静かに暮らせる場所が欲しいだけですわい!無人島なら静かに暮らせそうですからな!」
「そうですか、お客様にもいろいろご事情が御有りなのは理解出来ましたので無人島の規模とか場所はどうされますか?」
「無人島の規模ですか?さほど大きくも無くかと言って小さ過ぎずというくらいの規模で人気のないところにポツンとあるような島があればお願いしたいのですが、ありますかな?」
「そうですね、お客様のご要望に沿う形にしますとこちらくらいしかございませんがいかがでしょうか?」
元宰相だったエンフィールドは、その無人島に見覚えがあった。(確かここはどの国にも属していない無人島で近くの国が買い取ったと聞いていたが、まさかこの国だとはな・・・)
「この無人島でお願いします!通貨はこの国のものじゃないとお支払い出来ませんかな?」
「お客様はカードはお持ちですか?もし、無いようでしたらこちらで御作りしましょうか?」
「カードじゃと?それはどういったものか説明していただきたいのだが頼めますかな?」
「異国からお越しになられたのなら知らなくてしかたありませんね。では、説明させていただきますね!カードというのは多額現金を持ち歩かなくてもお支払いが出来るもので通貨がどこであろうと関係なく決済出来るものです。このシステムは一部の国では導入されてる所もおありのようですよ!」
「何やらメリットしかない様に聞こえるがデメリットもあるのじゃろ?」
「はい、デメリットもございますが、それを補うだけのものはあると自負しております。カードで使える金額はお客様の資産によって変わります。ただ、カードを紛失されますとカードに記憶された金額は使えなくなり再発行にも莫大な金額を要するので失くさないようにしてください!他にも身分証明書の代わりにもなりますの厳重に保管されますようお願いします。」
実は元宰相でもあるエンフィールドは国を出る時に陛下からあるものを預かっていた。それはカード状の身分証明書のよなものと説明されていたのだが、実は陛下が姫が2人産まれた時のためにコツコツ貯めていたもので国を出す時に持たせるようにしていた財産である。エンフィールドはこの財産には手を付けず自給自足でどうにか暮らして行くことを考えており、エンフィールド自身の資産もそこそこあったので自分の資産からカードに記憶させる金額を選んでいた。
「ふむ、そのカードとやらを作るのにいかほどかかるのかね?」
「無料という訳ではないですが、カード作成時記憶させた資産から引かせて頂いておりますのでご心配ならある程度の資産を記憶させとく方がよろしいかと思います!」
「それと1つ聞きたいのじゃが、この辺に貴重品を預かってくれるような銀行のようなものはありますかな?あれば教えて頂きたいのですがお願い出来ますかな?」
「かまわないですよ、ただお客様のお話を聞く限り街中には来ないようなのでなぜ必要かお聞きしてもよろしいですかな?」
「はい、辺鄙な無人島に住むのに必要ないと思われると思いますが向こうで同じようなものを建てて営業しようかと思いましてな!いやはやまだ、家も建てていないのに気が急きすぎましたな!」
「お気持ちはわかります。それで家屋を建てるということですが、こちらの無人島を買われるとしてどのように資材を島までお運びになるおつもりでしょうか?」
「この国に来るにあたって、船を1隻手に入れましてな、それで資材やらを運ぼうかと思っておりますが何か問題でもありましたかな?」
「さようですか、特に問題は無いと思いますが、その船はどちらに停泊しておりますかな?」
「それが、この国には船を着岸出来る場所が見当たらないので沖合に停泊させております!」
話を聞いた担当者は頭に?を思い浮かべていた。なぜなら、ここの港もそこそこ大きな船が停泊出来る規模のもので着岸すら出来ないという船があること自体信じられずにいたのだった。
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