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22 王太子殿下side

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高慢な子どもだった。

好きなことをした。
相手が誰でも言いたいことを言った。
気に入らなければ侍女や護衛を怒鳴りもした。
勉強がしたくなければこっそり部屋を抜け出した。

父王は忙しく会うのは稀だったので会った時は良い子を演じた。
母上には叱られたが、その時だけしおらしく泣いた真似をして頭を下げた。

やりたい放題だった。
第一王子である自分を止めるものなど誰もいなかった。

いや、一人だけいた。
私の教育を任された公爵――従妹リリローズの父の、姉だけは私に説教をした。
だが高慢な子どもだった私はもちろん聞く耳など持たなかった。

すると彼女はさっさと私の教育係を辞めた。
王妃である母上が説得しても辞めていなくなった。
私は、自分には公爵の姉すら追い出す力があるのだと喜んだ。

そんな日常が変わったのは従妹のリリローズと取っ組み合いの喧嘩をした日。
私は、部屋で謹慎するように言い渡された。

しかし気にしなかった。
喧嘩ぐらいで大袈裟な、とは思ったがどうでも良かった。

部屋を抜け出すのは得意だったのだ。
護衛の目を盗んで外に出た。

抜け出してしまえばこちらのものだ。
好きなだけ外にいて、部屋に帰りたい時は平然と姿を見せれば良かった。

だがその日、部屋に戻った私を待っていたのは
激怒した父王と、泣いている母上だった。

私はその場で父王に、王宮を出ていくよう命じられた。
「一年間、他国で学んでくるように」と。

言い訳も、泣き落としも、何も許されなかった。


小さな馬車に押し込まれるように乗せられ
その馬車が他国ではなく、小さな修道院で私をおろした時。
私は、両親に捨てられたのだと思った。


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