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1000年目
03 人攫い ※チヒロ
しおりを挟む※※※ チヒロ ※※※
「元から美少女だとは思っていたけど。
固く閉じていた蕾がほころび、瑞々しい香りを漂わせはじめたようだわ」
「やはり王太子妃様もそう思います?
ずっとお側にいる私でも、見惚れるようになってしまって」
「わかるわエリサ。でも気をつけて頂戴。
これは…目を離したら攫われてしまうかもしれないわよ」
「はい、王太子妃様。肝に銘じます」
《東の宮》でのお茶会で。
そう言って笑いあってた二人を見て、私も笑った。
えへへ、お世辞だと分かっていても嬉しい。
そう思っていたのに。
「こんばんは、お嬢様。
夜分にすみませんねえ。ちょーっと俺に攫われてくれると嬉しいんですけど」
本当に人攫いが現れるとは思わなかった…………
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