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6章

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「ダメ!ダメったらダメ!マリー!怒るよ!」

この宮を訪れてから一体何回ダメと言われただろう。その通りなのは本当に良くわかってるつもりなんですよ?でもやっぱり相談したいじゃないですか。とっても頼りにしてるから。

「頼りにしてるなら僕の言うことちゃんと聞きなさいって言ってるの!!」

駄目だ…あ、私も駄目って言ってしまった。
シャルル様の機嫌は最悪だ。

「マリエル様。今回のご相談については控えめに言っても大馬鹿です。止めましょう。」

リアン様まで……。

「ヴィ、ヴィクトル様……?」

「………いけません。本当に危険です。」

わかっていたけどやはり反対されてしまった。
何にかと言うと、私がジョエル様の申し出に乗るフリをする事についてだ。

「マリー!!“はい”って返事したその場でかどわかされちゃったらどうするの!?行き先がどこであれ、一歩でも国外へ出てしまったらガーランドだって無闇に手は出せないんだよ!?わかってる!?」

シャルル様すごい剣幕だ。でもそれだけ私の事を心配して下さっているのだろう。そしてこれがどんなに危険な事かも教えようとしてくれている。

「もうジョエルからは手を引くんだマリー!悔しいかもしれないけどあいつだって自分の命がかかってる。そうそう手の内は明かさないよ。」

「そうですよね…私もそう思いました。全然肝心なところは話してくれなくて……。」

「このままじゃ兄上も失う事になるよ!?僕は大歓迎だけどマリーは違うでしょ!?」

確かに……。このままでは私とジョエル様にあらぬ噂が立ちかねない。

「結局何の役にも立ちませんでした…。」

「そんな事もないでしょう。」

リアン様……?

「ジョエル様の本心がわかった事と、国外への何かしらのつてがある事。それだけでも大収穫です。」

「そうでしょうか…。」

「特にマリエル様への異常なまでの執着は、放っておいたらとんでもない事になりますよ。今絶賛勘違い中でしょうからね。マリエル様を救おうと躍起になって、尻尾を出すやもしれません。」

「マリエル様、リアン殿の言う通りです。このまま放っておけばジョエル様はきっと何か行動を起こすはずです。ですからこれ以上は……。」

「ヴィクトル様……。」

「マリー、わかったね。君に何かあったら生きていけないよ。僕も兄上もだ。シモンなんか即死だ。だからあとは僕達に任せてくれ。必ず守るから。」


「………わかりましたシャルル様。よろしくお願いします。」

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