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6章
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しおりを挟む「兄上がジョエルの気持ちを知ってるって?何で?」
「何故かは私にもわかりません。でもユーリが言っていたんです。“もし君に触れたら殺すかも”って。その時は誰の事を言っているのかわからなかったけど、多分間違いなくジョエル様の事だと………。」
「………マリー。それなら尚更やめた方がいい。兄上がそこまで言うって事は、ジョエルという人間にそれだけの理由があるからだ。それと………その顔を隠すのは無理だよ…兄上に会えば何かあった事がすぐバレちゃう。」
「そんなですか…?私の顔……」
ヴィクトル様は言いにくそうにしているがさすが安定のリアン様だ。
「パンパンですね。」
パンパン………確かに視界が狭い気がする。
「マリー。確かに僕達は今一丸となって事にあたろうとしているけれど、それはそもそも何のためなの?」
「………何のため………?」
「君と、兄上が結ばれるためだろう?それなのに君の身に何かあったらどうするの?」
確かに………そうだけど………。
「………わかるけど、納得出来ないというお顔ですね。腫れててわかりづらいですが。」
「リアン様………。」
「人は周りが何と言おうとも聞けない時がある。例えそれがどんなに危険で愚かな事とわかっていてもです。誰だって一度は経験があるはず……ねぇ、ヴィクトル殿?」
リアン様の優しい声にヴィクトル様も頷く。
「結局決めるのは本人なのです。マリエル様は決められたのでしょう?今自分に出来る事を自分の力で戦うと。ならば私達護衛はそれに従うだけ………。それだけの事です。」
「ちょっとリアン!何勝手な事言ってんの!?兄上にバレたらどうするの!?」
「バレないようにすれば良いだけです。」
「え?」
「そしてユリシス殿下にバレたら私達はただでは済みません。首が飛ぶ事も充分考えられます。なので今回はシャルル様に盾になって頂きます。」
「はぁ!?」
「とりあえずマリエル様がユリシス殿下に上手に嘘がつけるように今から特訓しましょう。」
「リアン元からおかしい頭が更におかしくなったの!?兄上を騙す!?正気の沙汰じゃないよ!!」
「そこはシャルル様の腕の見せどころです。こっぴどくフラれたけど未だ未練がましく想い続ける女性の為に、まだ何か出来ることがあるなんて幸せでしょう?」
こ、こっぴどくはなかったと思うのですが…。
でも応援して下さるの……よね?
「マリエル様、自分もマリエル様のご意志に従いますが…約束して下さい。危険な事だけはしないと。必ず私を側に置くようにお願いします。」
「ヴィクトル様………わかりました。約束します。」
「約束しちゃ駄目だって!!マリー!考え直してホントに!」
「シャルル様………危険な事は絶対にしないと約束します。だから、だから何かジョエル様から聞き出す事で、少しでも皆の命が危険に晒される事を回避できるなら…やらせて下さい!」
シャルル様はしばらく口を開けたまま瞬きもせず私を見ていたが、やがて諦めたように
「………わかったよ………まずは特訓からだ……。」
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