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5章
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しおりを挟む「騙すような真似をしてしまい、申し訳ありません。ですが、どうしてもアラン様と戦ってみたくて………。」
クリス…ではなく、クリストフと呼ばれた青年は、心底申し訳なさそうに頭を垂れる。
「レーブン様の息子!?嘘でしょ!?俺、殺すぞとか言っちゃったし!!」
戦闘モードから一転、我に返ったアランが慌てている。しかし見守っていた周りの兵士の反応はとても嬉しそうである。
「アラン殿、どうか謝らないで下さい。息子はこの通り自尊心が強すぎて少々手を焼いておりました。アラン殿に完膚なきまでに叩きのめされた事で、少しは反省するでしょう。父として本当に感謝します。」
レーブン様はアランに向かって深々と頭を下げる。
「マクシム様と駆けるアラン殿の姿は私の目に今でも焼き付いている。今日は久し振りにその腕前を拝見出来て幸せでした。アラン殿………ありがとうございます。」
レーブン様はアランを通してオットー公爵に話しかけているような…とても優しい目をしていた。そしてそれを受けたアランも、昔を懐かしむように目を細めて微笑んでいる。
「いかがでしょう。とりあえず選抜した七名の中にお気に召す者はおりましたでしょうか?」
先ほど模擬戦を見せてくれた七名が一列に並ぶ。
あれ?クリストフ様も並んでるけどあれは違うわよね?
「レーブン。クリストフは除外でしょ?」
ユーリが問う。
「いいえ、息子も入っております。」
は?
いやいやいや、レーブン公爵家の嫡男て言いましたよね?そんな方が私の護衛とかありえませんから。
「刺客にやられるほど軟弱ならそれまでです。そんな男に我がレーブンの名はとても継がせられない。これは我が息子でなくただの護衛志願の一人とお考え下さい。」
父であるレーブン公爵の言葉をクリストフ様は視線で肯定する。
「マリー、どう?これって感じた者はいる?」
うーん………。
正直皆さんとても強かったんだけど、アランが凄すぎて全部吹き飛んでしまった………。
「ユーリ、あのね………「まぁぁ!!!」
!?
後ろから甲高い声がしたと思ったら、その声の主はいつの間にか私達のすぐ側にいた。
「ユリシス様、こんなところにいらしたのですね!お姿が見えないから探しましたわ!」
………マリアンヌ様…………!
美しいレースが幾重にも重なる豪奢なドレスに身を包んだ彼女は、まるで当たり前のようにユーリの横に立つ。
「マリエル様もご一緒でしたの?もしかして護衛の選定で?それはちょうど良かったですわ。ユリシス様、どうか私にも良い護衛を選んで下さいませ。」
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