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4章
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しおりを挟む三日間の休暇は、あっという間に終わりを告げた。
「……もう少し…こうしていたかったです…。」
「私もだよマリー。でもまたすぐ会える……。」
別れ際、皆の前で抱き締められても人目が気にならないほど淋しさの方が勝ってしまっている私は相当重症だ。
「良かったねぇ二人とも。うまくまとまったみたいで。」
見送りに来て下さったフランシス様は、ニコニコと私達の様子を見て嬉しそうに仰った。
「フランシス様…滞在中は色々とありがとうございました。あの、またいつかお邪魔しても宜しいでしょうか……?」
「うん。マリーちゃんのように美しい女性なら大歓迎だよ。今度はユリシスを置いて一人でおいで。たくさんお話しよう。」
冗談なのだろうけど……本当に人をドキドキさせるのが上手な方だ。
「マリー、叔父上の所じゃなくても王家の静養地はまだいくつかある。今度はそっちへ行こう。」
「ユリシス様………。」
「男の嫉妬は醜いよユリシス。………兄上達によろしくね。」
「……叔父上も元気で……。」
僅かに微笑む二人の顔はとても似てる。
「さぁマリー、私達も行こうか。」
「はい……お父様……。」
またすぐ会える。そう、またすぐ………。
そして私達は帰途についた。
帰り道の馬車の中、なぜ乗る前に気付かなかったのかと思うほどリアン様の顔はボコボ……いや傷だらけだった。
「あの……リアン様?その……そのお顔は……」
「……大変見苦しい姿を晒してしまい、申し訳ございません。アランと手合わせした後はいつもこんな感じですからお気になさらず。」
いつもこんな感じって………。
アランももう少し何とかならなかったのかしら。当てる場所とか……。
「あの……差し支えなければで構わないのですが……リアン様はアランとはどういったお知り合いでいらっしゃるのですか?」
あまりにも対極過ぎる二人が何故知り合いなのか本当に謎すぎる。
「マリエル様はアランが殿下の護衛になる前は戦場に出ていた事は聞かれましたか?」
「はい。少しですが……。」
「私はガーランドの国境沿いの村出身です。と言っても今はもう滅びた村ですが……。」
リアン様は窓の外を眺めながら静かに語り始めた。
「まだアランがマクシム様の隊に所属していた頃、ガーランドと隣国ガルデルの間に争いが起こりました。ガルデルは長年民族間の紛争が相次いでいて、迫害された者達が暴徒化しガーランドへと流れ込んで来たのです。
国境沿いで警備の手薄だった私の村は、その暴徒達の格好の餌食だった。
村を自分達の拠点にしようと暴徒達は村を襲い、真っ先に男達を殺した。そして女達は集められて犯され、連れていた子は奪われ目の前で殺された。
私はその頃まだ年端のいかぬ子供で……。体つきは女のようで髪は金髪。男達にとっては充分に情欲を誘う対象だったようです。
女達と共に閉じ込められ、幾度も犯された。
終わりのない地獄のようでした。
父母も殺され、唯一残った妹も………。
後を追おうと思ったその日でした。マクシム様の隊が到着したのは。」
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