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3章

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「マリー!大丈夫?何か言われた?」


「シャルル様……。」



淫売………。

嘲り嗤うように言われた言葉が耳について離れない。


「兄上もさっきから何やってんの!?

何度もマリーと消えたりして!これでマリーに変な噂が立ったら兄上のせいだよ!!」


ユリシス様は顔をしかめてシャルル様を見ている。


「ま、まぁまぁシャルル、それは俺が余計な事言っちゃったせいもあるから…すまん!」




「シャルル様………ありがとうございます。ずっと見ていて下さったのですか……?」


シャルル様は照れ臭そうに視線を逸らす。


「……今日の僕に出来る事なんてそれくらいしかないでしょ。」


「そんな事ありません。

大丈夫だと思っていたのに……実際彼の声を聞いたら怖くてどうしたら良いのかわからなくて……助けを求める事も出来ませんでした。

シャルル様が来て下さって本当に嬉しかった……。」


しっかりと握られた手にどれほど安心したか。


「…すまない。側を離れないと約束したのに。」


「ユリシス様、謝らないで下さい。

………彼はあの頃と何も変わっていません。私の事を………」


「マリー、何?あいつに何て言われたの?」


シャルル様は私がジョエルに何か言われたのを見ていた。

でもその内容は……とても言えない……。


「いえ……大した事ではありません。

お話の最中に申し訳ありませんでした。レーブン公爵にもお詫び申し上げます。」


レーブン公爵は難しい顔をしている。


「……マリエル様、今日より身辺には気を付けられた方がいい。特にあの…ダニエル殿の長男は昔から良い噂を聞かない。

必要とあらば私の部下を何人か警護にお付けしましょう。」


「確かに……。君は未来の王妃になる身だ。きちんとした護衛を付けるべきだろう。

四六時中側にいる護衛とは相性も大切だから、後日選定の場を設けよう。」


「そんな……私に護衛なんて。」


「マリー、“私なんて”じゃないよ。マリーは遠慮するかもしれないけど、僕達のためにもちゃんと護衛を付けて欲しい。もちろんシモンやマリーを心配する人達のためにもね。」


「いいね!何か楽しそうじゃない。

俺もしばらくこっちにいるから混ぜて混ぜて~。」


サーリー様まで……。


結局後日護衛の選定をする約束をし、レーブン公爵は戻って行った。








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