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第一章

33 たとえ何があっても

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 「やっと綺麗になったな。」

 ハニエルが付けた痣のあった場所をなぞるように眺めながらルーベルは言った。

 「あんまり見ないで…恥ずかしい…。」

 一緒に入るぞと言われ、まだ日も高いと言うのに二人温泉に身を浸している。
 さすが皇族の保養地だけあって温泉の広さも相当なものだ。なのに…

 「…ねぇルー?」

 「何だ。」

 何だと聞き返すという事は、やはりこの状況がおかしいなどとはまったく思っていないのだろう。アマリールは火照る頬を押さえながら小さく溜め息をついた。
 それというのもここはルーベルの膝の上。明るい日の光の元、こんな至近距離で生まれたままの姿を晒すのは、たとえ何度も肌を合わせた仲と言えどとても恥ずかしい。
 (こんなに広いお風呂なんだから、何もくっついて入らなくたって…)
 直に感じる彼の肌に心臓が落ち着かない。

 「明日皇宮に帰る。」

 「…明日…。」

 ドキドキとうるさかった心臓は今度は違う胸騒ぎに襲われる。
 ローザ様はまだ皇宮にいるはず。このまま大人しくアーセルへ嫁ぐとは到底思えない。

 「…不安か?」

 ルーベルは後ろからアマリールの身体に手を回して抱き締める。

 …不安じゃないと言えば嘘になる。今まで受けた数々の嫌がらせを思えば尚更。でも…

 「…ルーが守ってくれるんでしょう?」

 そう言って顔を後ろに向けるとルーベルはアマリールの唇を塞いだ。 
 その熱い舌がゆっくりと咥内を這うのと同時に長い指が下腹部へと伸びた。

 「ルー…駄目…こんなところで…」

 ルーベルの指の腹が花弁を一枚一枚なぞるように何度も円を描き、最後に花芽を何度か擦った後、再び花弁へ戻る。
 その焦らすような緩慢な動きにアマリールの子宮はキュンキュンと疼き、身体にも力が入る。

 「お前は俺が守る…誰にも手出しはさせない。だから安心して俺の子を孕め…。この先もリル、お前しか抱かないんだ。お前が産んでくれなければ困る。」

 ルーの赤ちゃんを…私が…?

 「何だその顔は…嫌なのか?」

 「違…違う…。嫌じゃないの。でもね…」

 ハニエル様の子種を何回も中に注がれた。コポコポと音を立てて流れ落ちる程に…。もしかしたらもうこのお腹の中には…。
 
 「ルー…私…「俺の子だ。」

 アマリールの言葉を遮るようにルーベルは言った。

 「…ルー…?」

 「お前の産む子は俺の子だ。。」
 
 「でもルー…!!」

 「俺に似れば黒髪、お前に似れば艷やかな金髪。何か問題があるか?」

 問題あるに決まってる…!その子は将来このエレンディール帝国の皇帝となるべくして産まれる子なのだ。それがルーの実子でないなんて…妃と従兄弟の間に産まれた不義の子だなんて、そんなの絶対に許されない。

 「誰に許されない?誰も何も知りはしない。仮に知っていたとしてもんだ。それができないのなら皆殺しにして皇宮を血に染めてやる。」

 「…ルー…そんな事したら貴方…エレンディールの歴史上、かつてない残虐な行いをした皇帝として名が残ってしまうわ…。」

 そんなの駄目よ。だってルーはこんなにも優しい人なのに…。

 「それが何だ。俺が何て呼ばれてるかくらいお前が一番よく知っているだろう?なんていったってお前はそのせいで俺から何年も逃げ続けたんだからな。今更だが褒めてやる。よく逃げて隠れた。偉いぞ。」

 「ふ…ふふっ…何それ。」

 アマリールは目に溢れるほどの涙を溜めながら笑う。

 「あっっ…ん…やぁ♡」

 そしてルーベルの手は再びアマリールの花弁を愛で始めた。温泉の湯よりももっとトロリとしたものが、花弁の周りを覆うように広がっている。

 「大丈夫だ…不安ならいつも俺の側にいろ。不安なんて感じさせないほどに愛してやる…。」

 「あんっ♡♡ルー…ダメ…ひゃあん♡♡」

 柔らかな乳房を揉まれながら薄く桃色の頂を親指の腹が優しく何度も捏ね回す。次第に固くなる突起をルーベルは口に含み舌で転がした。

 「ルー…♡それ…気持ちイイの…やぁ…♡♡」
 
 執拗なまでに何度も舌が這い、しなる腰をルーベルはグッと自分に引き寄せた。

「あ…!!」

 引き寄せられた下腹部に、ルーベルの熱く滾る剛直が触れた。

 「欲しいか…?」

 赤く潤む目は正直だ。本当はルーの方が我慢出来ないくせに…。でも私も…。

 「欲しい…ルーだけが欲しいの…!!」

 「…イイ子だ…」

 恐ろしいほどに妖艶な笑みを浮かべ、ルーベルはアマリールの中へ自身を埋めた。
 水の中で交わるなんて考えた事もないアマリールは混乱しながらも必死でルーベルにしがみついた。揺れる水面に波紋が広がる。

 「ルー♡ルー♡♡愛してる…愛してるの…!」

 「知ってる…それに…信じてた…。」

 絶対にお前は想い出すと。
 俺達の誓いは…子供だったけど真剣だった。
 
 「リル愛してる…愛してるよ…」

 アマリールの唇を塞ぎ、ルーベルは衝動のまま下から突き上げた。繋がる口の隙間からアマリールの声が漏れる。
 途切れるその声さえも愛おしくて、ルーベルは夢中でアマリールを突いたのだった。 




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