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第二章

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    未来のアンリ様が出会ったばかりの私に恋を?そんな……。

    「アンリ様、アンリ様お願い…抱っこ…して?」

    不安なような淋しいような気持ちが強くなり、両手を差し出してお願いするとアンリ様はすぐに横抱きにするようにして膝の上へ乗せて抱いてくれた。彼の側はとても安心する。大好きな私の…私だけの居場所。
    上を向きアンリ様の頬に手を添えてその顔を引き寄せた。

    「……エルフィリア……」

    アンリ様のお口が欲しい。私は待ちきれないと言うように自分からアンリ様の唇にキスをした。
    好き。アンリ様が大好き。
    未来のアンリ様はどんな気持ちでいたんだろう。国を滅ぼされ、無理矢理連れて来られたグレンドールの王女。ファルサを受け入れなかったのに私の唇はすぐに受け入れてくれた。ファルサもそれはそれは面白くなかった事だろう。
    (あれはアンリ様の意思表示だったの?私の力を体内に受けとるという事が、“あなたが好きだよ”という彼の気持ちそのものを表していたの?
    それなら私…とても長い間彼を傷付けてしまった。)

    私から唇を離すとアンリ様は切なそうに見つめてくる。

    「…未来のアンリ様の力になってあげたい。私のアンリ様じゃないけど、でもアンリ様だから……。」

    どうにかして未来の世界に干渉することは出来ないのだろうか。しかし悩む私にアンリ様は言う。

    「未来の私も十分エルフィリアに助けられたはずだよ。だからエルフィリアがそれに責任を感じる事なんて一つもない。それに…」

    「それに?」

    「寝たきりで…人生を諦めていた私があなたに出会った事により自分の力で未来を切り開こうとしているんだ。大丈夫。きっとやり遂げるよ。まだ未来のあなたは生きているはずだから。」

    未来の私が生きている!?
    確かに肉体は腐らずそのままの姿を保っている。でもなぜ?何でアンリ様にわかるの?

    「あなたが死んでいたらきっと私は何としてでも後を追ったと思う。そしてファルサなど抱くはずがない。」

    「どうしてそんな事言いきれちゃうの?」

    「さっきも言ったよ…。未来の私だけじゃない。今の私も自分の事などどうでもいいくらいにあなたを愛しているんだ。だからあなたを失った私が自分から動くなど有り得ないよ。あなたは生きてるんだ。どうやったのかはわからないが、きっと周りの力を借りてその方法を見つけたんだろう。」

    「どうしてアンリ様は私をそんなに愛してくれるの…?」

    「じゃあエルフィリアの気持ちは…?」
  
    「私の…気持ち……?」

    大好きよ。アンリ様が好きで好きでたまらなくて…失ったら…きっと立ち直れない。きっとどうやって笑ったらいいのかもわからなくなるわ。何でもしてあげたい。どんな事だって…
    なんだ…私も同じじゃない…。
    出会ったばかりなんて関係ないわ。

    「愛してるわアンリ様…。」

    「…うん……。」

    「私…アンリ様にならすべてをあげてもいい。」

    「…エルフィリア…?」


    「アンリ様は嫌?私と命の契りを結ぶ事。」

    
    
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