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殺人現場と名探偵

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彼女は、俺を疑っていた。なぜなら、殺人事件の現場に必ずいて、その場で真犯人を言い当てるからだ。普通の人間なら、殺人事件に遭遇することさえ、滅多にないのに、その場に居合わせて事件を解決する。だが、なんとなく命を狙われていると感じた依頼者が、自衛のため俺を呼び、俺の登場に焦った犯人が、犯行を急いだ結果、殺人事件に居合わせることが多くなっただけだ。
わざとじゃない。だが、駆け出しのジャーナリストのはしくれである彼女は、すべての事件において俺が犯人側と関わっていて、関わっているからこそ犯人を特定できたという憶測の記事をネットに上げた。
自称名探偵が、本当は殺人の手引きをする極悪人で、加害者をそそのかして犯行を起こさせて、その加害者を暴いて自分の手柄とする自作自演の名探偵だという記事はネットで話題になり、名探偵と持ち上げられていた俺はネットでは叩かれたが、証拠のない憶測記事だったので、俺が逮捕されることはなく、名探偵のままだった。そして、その証拠を見つけようと、彼女は芸能記者のごとく、俺を24時間監視するようになった。だが、俺の行くところによく殺人事件が起きるように、そんな場所にジャーナリストが現れれば、犯人が目障りに思うのも当然で、仕方なく、勝手についてきた彼女を助けて、命を助けられた彼女は、俺に恩義を感じ、それを運命と思い込み、ジャーナリストではなく、一方的な思いを寄せるストーカーのように付きまとった。犯人を見つけ出す推理は得意だが、こういう恋愛関係の謎解きは苦手だった。
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