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勇者、裏切り者、はじめました。
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魔物とはいえ、生き物である以上は死を怖がるし、断末魔の悲鳴も上げる。正直、いくら勇者とはいえ、その断末魔の悲鳴は聞いていて気持ちのいいものではなかった。だが、魔界に乗り込み魔物をたくさん倒し、勇者として魔王を討ち取ってその役目を見事に終えたと思った。
しかし、人々は魔物退治が当然とばかりに、魔王を倒して凱旋した俺にやたらと魔物退治を依頼した。勇者の俺でなくても倒せそうな魔物もすべて押し付け、その魔物の断末魔に聞き飽きた俺は、魔物を倒したふりをして魔法で眠らせて、こっそり魔界に転送すようになった。
魔物を殺さない勇者は人間の裏切り者だろうとは内心で思いつつ、それでも俺は魔物を殺さず、生かして魔界に送ることを繰り返した。しかも、魔物を魔界に送るにあたって、俺が前魔王を倒してその跡を継いだ新魔王の前魔王の息子とも親しくなった。俺は彼の父親を殺した憎い仇のはずだったが、正々堂々と魔王と戦って倒したので、俺に魔物退治ばかり押し付けてくる人間たちより、その新しい魔王と俺は親密になった。
俺が魔物を殺さず、新しい魔王と親しくすればするほど、俺が魔王と結託して人間界を支配しようと目論でいるという噂が広がり、俺と人間の王様との間に争いがはじまるのに、さして時間はかからなかった。
しかし、人々は魔物退治が当然とばかりに、魔王を倒して凱旋した俺にやたらと魔物退治を依頼した。勇者の俺でなくても倒せそうな魔物もすべて押し付け、その魔物の断末魔に聞き飽きた俺は、魔物を倒したふりをして魔法で眠らせて、こっそり魔界に転送すようになった。
魔物を殺さない勇者は人間の裏切り者だろうとは内心で思いつつ、それでも俺は魔物を殺さず、生かして魔界に送ることを繰り返した。しかも、魔物を魔界に送るにあたって、俺が前魔王を倒してその跡を継いだ新魔王の前魔王の息子とも親しくなった。俺は彼の父親を殺した憎い仇のはずだったが、正々堂々と魔王と戦って倒したので、俺に魔物退治ばかり押し付けてくる人間たちより、その新しい魔王と俺は親密になった。
俺が魔物を殺さず、新しい魔王と親しくすればするほど、俺が魔王と結託して人間界を支配しようと目論でいるという噂が広がり、俺と人間の王様との間に争いがはじまるのに、さして時間はかからなかった。
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