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名推理

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「神様、お願い、もう名探偵の名声はいらない。俺の周りで事件を起こすのをやめてくれ。これじゃ、俺は死を運ぶ、死神じゃないか。実際、俺のそばにいると事件に巻き込まれそうって離れていく友達が何人もいるんだぜ。このままじゃ、俺に友達がいなくなる」
「いやいや、君の周りで事件が多いのは、名探偵の君に挑戦したい犯罪者が増えているだけのこと。私のせいではないぞ」
「そんな言い訳信じろと。いくら俺に挑戦したい犯罪者が増えたとしても、毎週のように事件が起きるのはおかしいだろ。普通の人間は、事件に滅多に巻き込まれない。俺の周りだけ、交通事故以上に事件が起きるのは、神のあんたが、何か運命を操作しているとしか思えない」
「それが君の推理かね」
「ああ、そうだ。あんたは、俺の周りで事件が起きるように仕向けて、テレビで探偵モノのドラマを見る気分で俺がどう事件を解くのか観て楽しんでいるんだろ」
「それでは、これまでの事件のすべての黒幕は神である私だと言いたいのか」
「そうだよ。だいたい本当に全知全能の神なら、これまでの事件をすべて未然に防げたはずだ。それをしなかったのが、何よりの証拠だろ」
「さすが、私の見込んだ名探偵、素晴らしい推理だ」
「じゃ、おとなしく、もう俺の周りで事件は」
「ああ、君の名推理が見られなくなるのは残念だが、君に見破られたのだから、私も本望だ」

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