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継承

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オヤジが急に真面目な顔をして、俺に言った。
「私からお前に渡したいものがある」
「渡したいもの? なに?」
「我が家が代々受け継いできた大切な家宝だ。そろそろにお前に渡しても、いい年頃だと思ってな」
そう言ってオヤジが押し入れからごそごそと、それを取り出して目の前に置くのを俺は待った。
「なんだよ、これ?」
銀色の特撮ヒーローの着るようなメタルスーツが俺の前に置かれていた。
「我が家は、代々地球を守るため、この戦闘服を継承してきた、次はお前の番だ」
「継承?」
「そうだ、これを着て地球を守るのが、我が家の代々の役目だ」
「地球を守るって、オヤジ、ただのサラリーマンだろ」
「ああ、俺の代では、地球を狙う悪の組織も謎の怪人も現れなかったから、一度も着なかった」
「じゃ、これって、持っててもしょうがなくないか」
「俺の代では使わなかったが、お前か、お前の息子が使うかもしれん。大切に、受け継いでくれ」
「はぁ・・・」
仕方なく、俺はそれを受け取ったが、俺の代でも、俺の息子の代でも、悪の組織も謎の怪人も現れず、そのスーツは押し入れでほこりをかぶっていた。

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