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ヒーローだけど、悪役はじめました。

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敵の秘密基地に乗り込み、悪の組織を完全に殲滅した。つまり、ヒーローとして、立派に平和をもたらしたのだが、敵がいなくなるということは戦う相手がいなくなるわけで、ヒーローの存在意義も、同時になくなった。悪があるから善がある、犯罪者がいるから警察が必要となるわけで、敵がいなければ、当然ヒーローも不要であり、急に退屈な日々が始まった。これまでは毎週のように騒ぎを起こしていた怪人が出てこないので、ヒーローも、家でゴロゴロする日が多くなった。彼らが平和の中、堕落するのを、ブラックは情けなく見ていた。特に血の気が多くて、すぐ、ひとりで敵に突っ込んでいくことの多かったレッドは、その反動で、ネトゲ廃人になっていた。ピンクはさっさと戦闘服を捨てて、リクルートスーツを着て、今日も企業面接に出かけている。
イエローは、最も美味いレトルトカレーはどれかと、食い漁ることを日々の楽しみにしていたし、ブルーは、なにやら、オンライントレードに興味を持ち始めたのか、なにやら妖しいところに大金をぶち込もうとしている気配があった。このままでは仲間が駄目になると判断し、ブラックは敵の残党の居場所を調べて、新たな悪の組織を作り、騒ぎを起こし始めた。
思惑は見事に当たり、仲間はヒーローとしてのやる気を取り戻したが、仲間がヒーローとしての使命感を取り戻す代償として、怪人に化けていたブラックは、仲間に怪人として倒された。

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