勇者(ヒーロー)、がんばる

戦闘員の昼食

今日も、コンビニのおにぎり二個とペットボトルのお茶のみの昼食だった。正義の味方との抗争は、相変わらず、こちらに勝ちのないまま、ずるずると一年近く続けられていた。勝てないのなら、思い切り方針転換が必要だと思うのだが、上の連中は、正義の味方を倒せば、すべて上手くいくという幻想にとらわれているようだ。
あいつらに勝てないと分かっているのなら、正義の味方を相手にせず大企業の経営者や与党の政治家を誘拐して洗脳したほうが、世界制覇の近道だとは思う。
あんな怪人が造れるオーバーテクノロジーが我が組織にありながら、馬鹿正直に一体づつ怪人を作り、正義の味方にぶつけて消耗する消耗戦は、愚策ではないか。第二次大戦末期の日本の軍首脳部のように冷静に戦況を分析している指揮官がいないようにみえる。せめて、怪人で銀行を襲って大金を奪ってきて欲しいものである。そうすれば、下っ端の俺たち戦闘員も、もう少しましな昼食が食べられるだろうと。
下っ端の戦闘員がいくらそう考えても、何もできないのが現実である。たぶん、一般の会社でも、上司が無能と思っても、平社員は会社の命令には逆らわないのが普通だろう。悲しいが、ドラマみたいに下っ端の平社員が大活躍して会社を救うなんてことはないのが現実であり、俺の属していた悪の組織も正義の味方により壊滅状態となり、春先に新興の悪の組織に下っ端の戦闘員として拾われて、新たに現れた正義の味方との抗争に駆り出された。