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王女の居場所
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俺は魔界の王女に、賢者と魔法使いは別の部屋にいると伝え、また、俺の触手が蛇のように巻き付き拘束具に使えると教えた。すると、王女はオナっていた女戦士の槍を借りて笑顔で俺の触手を適当な長さで切り落とし、まず試しにその触手縄で女戦士を拘束し、別の部屋で呆けていた賢者と魔法使いらも同じように拘束した。ただ、自分で歩いてもらうため、縛り付けたのは上半身だけだったが、俺の粘液の効果で、彼女たちは逃げることなく大人しく王女の言いなりに捕縛され、俺の触手縄で縛られた勇者たちを神殿の一番広い邪神像のある本堂に集めた。
俺の粘液の効果が続いているのか勇者たちは一切抵抗せず、王女に言われるまま従順に奥の本堂へ自分で歩いた。
「もし、恨みがあり、復讐したいのなら、この私だけにしろ」
頬を染めながら勇者がそう王女に申し出た。全滅するより、自分の命一つで他の仲間を助けようという計算のようだ。
「もちろん、父の仇として、あなたには、それなりの罪を償ってもらいたいです。けど、あなたを捕らえたのは、こちらの触手様、命乞いなら、この方に」
俺は二人の会話に注目していなかった、そこに鎮座している邪神像の方に注目していた。いかにも荒ぶる悪神という筋肉質のおっさんで、しかも、股間からは俺の触手によく似たものが象の鼻のように伸びてうねっていた。
どうやら、俺の触手の造形のもとはこの邪神様の男根らしい。声しか聴かなかったが、こういう姿なのかと、俺はそのご尊顔を眺めていた。
「あの、触手様、こいつらの処分、どうしますか?」
王女が、そう俺に尋ねて来た。
「処分? ん、そうだな、まずは現状を詳しく説明してもらおうか」
正直、俺は勇者たちに恨みはない。召喚した王女への義理を果たしたようなものだ。それに俺はこの世界に召喚されて日が浅い。勇者たち人間の侵攻で魔王が討たれ、魔界の王女が落ちぶれたということは分かっているが、それ以外のこと、この世界のことについて知らないことが多すぎた。
「現状というと?」
「お前らが攻め込んで魔王が討たれたのは聞いた。で、現在、人間の軍勢に逆らっている勢力はいるのか。この王女様が、落ち延びるべき場所は残っているのか知りたい」
そうだ。勇者に恨みはないが、この王女を救いたいという気持ちはある。
「そ、そうですね、触手様、まだ人間相手に抵抗している魔族たちがいるはず。教えなさい、勇者」
「いまさらどこに逃げ込んだところで、もう魔界は終わり、無駄な努力よ」
勇者が生意気な反論をしたので、俺は念液まみれの触手で、ぺちぺちと勇者の頬を叩きながら尋問を続けた。
「つまり、人間たちは魔族を皆殺しにするまでこの地から引かぬと?」
「当然だ、それだけのことをお前らバケモノはしてきたんだからな」
触手を目の前にしながら、勇者はそう吐き捨てた。
「だが、人間は魔族を皆殺しにして、この世界をどうするつもりだ?」
「・・・魔族が消えて、平和な世界が生まれるだけ」
「それは、人間に都合の良い世界が訪れるという意味だろ。魔族たちの屍の上に」
俺は勇者と魔界の王女を見比べた。魔界の王女には悪魔っぽい角があるが、それ以外は人間と変わらないように思う。
「この世界の人間の崇める神は、そんなに流血を望む神なのか?」
「い、いや、そうではないが、これまで、魔族や魔物によって、多くの善良なか弱い人々が苦しめられてきた」
「何を言う、姿が異形だと言って、大勢でリンチするのが好きなのは人間の方であろう」
王女が口を挟む。
確かに肌の色の違いや宗教の違いだけで冷酷に相手を迫害できるのが、人間という生き物である。それは、この異世界でも変わらないようだ。
「なるほど、人間側の総意は分かった。今、一番知りたいのは、この王女が身を寄せる場所だ。勇者に心当たりは?」
「身を寄せる場所だと?」
「そうだ。このままだと、お前らみたいなのが、王女の命を狙いにまた来るんだろ。彼女が安心して暮らせそうな場所は本当にないのか」
「・・・」
勇者が押し黙ると横から賢者が口を挟んだ。
「北方の吸血鬼の城が、ガーゴイルや人狼などで守りを固めて、未だ人間に逆らっていると聞きました」
「北方?」
「吸血鬼伯の城ならここから、かなり距離があります」
王女が補足する。
「すでに、我々人間が、魔界の奥深くまで侵攻しています。見つからずにそこにたどり着くのは至難の業だと思いますが」
「確かに、そうですね」
賢者の忠告を聞いて顔を曇らせた王女に、勇者が嫌味な笑みを浮かべていた。
「それより、ここで、我らの目の前で自害なさった方が潔くて賢明かもしれませんよ、王女様?」
「おいおい、彼女は俺が守り抜くと決めたんだ。この触手にかけて、絶対彼女は生かす」
俺は触手たちを邪神像のそれと同じようにグッと立たせた。
「ヒッ」
触手の怖さを知る勇者一行が、その触手たちの力強さに思わずビクッとした。
たぶん、こいつらは、もう触手を近づけるだけで、俺を恐れるだろう。
「では、その吸血鬼伯のもとへ向かうとしよう」
「はい」
俺の決定に王女は文句を言わず頷いた。
問題は、この捕虜にした勇者一行だ。ここで、数日掛けて俺のメス奴隷にして連れて行くという手もあるが、勇者が、ここにたどり着いたということはさらなる追手の危険性も考えて、こいつらはもう放置して、さっさとこの神殿を立ち去るのが利口と、俺は結論した。
「こいつらは、ここに置いておいて、すぐに出発しよう」
「殺さないのですが?」
王女が残念そうな顔をする。
「人間にとって飢えて死ぬのが、一番つらい死だ。ここでひと思いに殺すより、このまま放置して飢えて死なせる方が苦しみも多いだろう」
「あ,はい・・・」
俺の言葉にさすが邪神様の使いと王女は納得した。
ここですぐに勇者を殺すと、勇者の復讐のために人間たちが怒り狂って俺たちを追撃するのが怖かったから、俺はこの神殿に放置することにしたのだ。運が良ければ、飢え死にする前に誰かに助けられるだろうし、自力で触手縄をほどくかもしれない。
勇者を殺して、人間たちの余計な怒りを買う気はなかった。
俺の粘液の効果が続いているのか勇者たちは一切抵抗せず、王女に言われるまま従順に奥の本堂へ自分で歩いた。
「もし、恨みがあり、復讐したいのなら、この私だけにしろ」
頬を染めながら勇者がそう王女に申し出た。全滅するより、自分の命一つで他の仲間を助けようという計算のようだ。
「もちろん、父の仇として、あなたには、それなりの罪を償ってもらいたいです。けど、あなたを捕らえたのは、こちらの触手様、命乞いなら、この方に」
俺は二人の会話に注目していなかった、そこに鎮座している邪神像の方に注目していた。いかにも荒ぶる悪神という筋肉質のおっさんで、しかも、股間からは俺の触手によく似たものが象の鼻のように伸びてうねっていた。
どうやら、俺の触手の造形のもとはこの邪神様の男根らしい。声しか聴かなかったが、こういう姿なのかと、俺はそのご尊顔を眺めていた。
「あの、触手様、こいつらの処分、どうしますか?」
王女が、そう俺に尋ねて来た。
「処分? ん、そうだな、まずは現状を詳しく説明してもらおうか」
正直、俺は勇者たちに恨みはない。召喚した王女への義理を果たしたようなものだ。それに俺はこの世界に召喚されて日が浅い。勇者たち人間の侵攻で魔王が討たれ、魔界の王女が落ちぶれたということは分かっているが、それ以外のこと、この世界のことについて知らないことが多すぎた。
「現状というと?」
「お前らが攻め込んで魔王が討たれたのは聞いた。で、現在、人間の軍勢に逆らっている勢力はいるのか。この王女様が、落ち延びるべき場所は残っているのか知りたい」
そうだ。勇者に恨みはないが、この王女を救いたいという気持ちはある。
「そ、そうですね、触手様、まだ人間相手に抵抗している魔族たちがいるはず。教えなさい、勇者」
「いまさらどこに逃げ込んだところで、もう魔界は終わり、無駄な努力よ」
勇者が生意気な反論をしたので、俺は念液まみれの触手で、ぺちぺちと勇者の頬を叩きながら尋問を続けた。
「つまり、人間たちは魔族を皆殺しにするまでこの地から引かぬと?」
「当然だ、それだけのことをお前らバケモノはしてきたんだからな」
触手を目の前にしながら、勇者はそう吐き捨てた。
「だが、人間は魔族を皆殺しにして、この世界をどうするつもりだ?」
「・・・魔族が消えて、平和な世界が生まれるだけ」
「それは、人間に都合の良い世界が訪れるという意味だろ。魔族たちの屍の上に」
俺は勇者と魔界の王女を見比べた。魔界の王女には悪魔っぽい角があるが、それ以外は人間と変わらないように思う。
「この世界の人間の崇める神は、そんなに流血を望む神なのか?」
「い、いや、そうではないが、これまで、魔族や魔物によって、多くの善良なか弱い人々が苦しめられてきた」
「何を言う、姿が異形だと言って、大勢でリンチするのが好きなのは人間の方であろう」
王女が口を挟む。
確かに肌の色の違いや宗教の違いだけで冷酷に相手を迫害できるのが、人間という生き物である。それは、この異世界でも変わらないようだ。
「なるほど、人間側の総意は分かった。今、一番知りたいのは、この王女が身を寄せる場所だ。勇者に心当たりは?」
「身を寄せる場所だと?」
「そうだ。このままだと、お前らみたいなのが、王女の命を狙いにまた来るんだろ。彼女が安心して暮らせそうな場所は本当にないのか」
「・・・」
勇者が押し黙ると横から賢者が口を挟んだ。
「北方の吸血鬼の城が、ガーゴイルや人狼などで守りを固めて、未だ人間に逆らっていると聞きました」
「北方?」
「吸血鬼伯の城ならここから、かなり距離があります」
王女が補足する。
「すでに、我々人間が、魔界の奥深くまで侵攻しています。見つからずにそこにたどり着くのは至難の業だと思いますが」
「確かに、そうですね」
賢者の忠告を聞いて顔を曇らせた王女に、勇者が嫌味な笑みを浮かべていた。
「それより、ここで、我らの目の前で自害なさった方が潔くて賢明かもしれませんよ、王女様?」
「おいおい、彼女は俺が守り抜くと決めたんだ。この触手にかけて、絶対彼女は生かす」
俺は触手たちを邪神像のそれと同じようにグッと立たせた。
「ヒッ」
触手の怖さを知る勇者一行が、その触手たちの力強さに思わずビクッとした。
たぶん、こいつらは、もう触手を近づけるだけで、俺を恐れるだろう。
「では、その吸血鬼伯のもとへ向かうとしよう」
「はい」
俺の決定に王女は文句を言わず頷いた。
問題は、この捕虜にした勇者一行だ。ここで、数日掛けて俺のメス奴隷にして連れて行くという手もあるが、勇者が、ここにたどり着いたということはさらなる追手の危険性も考えて、こいつらはもう放置して、さっさとこの神殿を立ち去るのが利口と、俺は結論した。
「こいつらは、ここに置いておいて、すぐに出発しよう」
「殺さないのですが?」
王女が残念そうな顔をする。
「人間にとって飢えて死ぬのが、一番つらい死だ。ここでひと思いに殺すより、このまま放置して飢えて死なせる方が苦しみも多いだろう」
「あ,はい・・・」
俺の言葉にさすが邪神様の使いと王女は納得した。
ここですぐに勇者を殺すと、勇者の復讐のために人間たちが怒り狂って俺たちを追撃するのが怖かったから、俺はこの神殿に放置することにしたのだ。運が良ければ、飢え死にする前に誰かに助けられるだろうし、自力で触手縄をほどくかもしれない。
勇者を殺して、人間たちの余計な怒りを買う気はなかった。
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