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魔女狩り

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気絶した女を縛り上げ、魔法で浮かべて店まで運んだ。
もちろん人に見られたが、いまさら魔女であることを隠す気にもなれず、魔女のマントを翻し堂々と店の中に運び入れた。媚薬香を撒いていた連中を衛士に引き渡した佐助も、店に戻って来た。金で雇われたゴロツキばかりで、しかも、うちの店の襲撃に失敗した連中の残党も加わっていた金に釣られる頭の悪い連中だったので、媚薬香を焚いてすぐに逃げようとはせずに自分も嗅いでしまい逃げずに女を襲うとしていたり、ひどい奴は木の穴に突っ込んで腰を振っていたバカもいたそうだ。なので捕らえるのは難しくなかったらしい。そうして、一仕事終えた佐助は、店に戻り縛り上げられ頬を赤らめながら気を失っている女の顔を覗き込んでいた。
「こいつが、今回の犯人かい? 媚薬を使う魔女にしては、まだガキだな?」
「見た目なんか、魔女には無意味よ、それと、その子は魔女の弟子だと思うから、若くて当然」
「弟子?」
「見たことないもの。魔女を名乗ってる連中の顔は大体知ってるわ。私が知らないのなら、その弟子ってこと。うちの弟子よりは修行して薬の知識はあるみたいけど、どう見ても小物よ、小物」
「じゃ、大物は取り逃がしたのか?」
「もともと、小物に任せて本人は陰に隠れてるんじゃない。誰が裏で糸を引いているかは、教えてくれなかったわ。口を割ったら、殺されるからってね。ま、それだけ聞ければ、充分よ」
私は肩をすくめた。
「私に口を割ったら怖いということは、私に知られたらまずい相手ってこと。それだけ分かれば十分。自白剤を飲ませて無理吐かせられるけど、吐いた後、師匠に義理立てして自決されたら、後味悪いわ」
「義理立て? 魔女の弟子ってのは、そんなに義理堅いのか? でも、あの坊やはそんな風には見えないぜ」
「うちは、そんなものは強要してないわ。何かばらしたら殺すような怖い魔女に私が見える?」
私は、苦笑を返した。
「普通の魔女にとって、弟子ってのはそれくらいの気構えがないと秘術を教えられないってだけよ」
「なるほど、あんたは、他の魔女に比べて優しいって言いたいのか」
「そうよ。この私ほど、優しい魔女はいないわ」
私は、せいぜい、弟子に女装させる程度のわがままを押し付けるだけだ。
「しかし、どうするんだ、こいつ。今回の事件の主犯として、衛士に突き出すのか?」
「突き出すのは、何だか可哀想な気もするのよね。悪いのは、私に嫌がらせするように言ったこいつの師匠だろうし」
「けど、魔女がらみとなると、軽い刑とはならないだろうしな。最悪火あぶりだ、どうする、優しい魔女さん?」
「もう媚薬を飲ませて、私なりに罰は与えたから、見逃してもいいかもね」
「へぇ、あの薬を飲ませたのかよ」
忍びはにやりと笑って気絶している女の首筋に近付いて、軽く息を吹きかけた。
「ひっ!」
女はビクンと跳ね起きた。
「ふぅ~、なぁ、お前に、媚薬をまけって命令したのは誰だ?」
「い、いや、ぁ、や、やめて・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」
顔赤らめ、股間をもぞもぞさせている。
「おいおい、俺は息を吹きかけてるだけだぜ、痛くないだろ」
確かに痛みはない。だが、彼の息が肌に触れるだけで、ゾクゾクとした快感が彼女の全身に走っていた。
乳首が立ち、割れ目が卑猥な液で濡れ濡れなのだろう。
顔を近づけて息をするだけで、彼女は反応していた。
「だ、だめ、息が、あ、や、やめぇて・・・」
「誰の命令か教えてくれたら、やめてやるよ」
「い、いや、あ、だ、だめ・・・」
フーフーと何度か息がかかるたびに彼女はビクンビクンと震えたが、「あ、あぐ、いや、だめぇぇぇっ!」と本当の主犯の名を口にすることなく、絶頂して気絶した。
再びぐったりとして気を失った彼女を見て、私は眉を寄せた。
「あんた、鬼畜ね」
「忍だからな。忍の本格的な拷問に比べたら、こんなの可愛いものだぜ。で、どうするんだ。簡単に口を割らないからって本当に見逃すのか?」
「わざと逃がして、後をつけて、こいつの師匠のところまで案内させるという手もあるでしょうけど。悪いのは私に嫌がらせしろと命じた魔女だということはハッキリしているから。この子のお仕置きは、これでいいでしょう。後は私がけじめをつけるわ。それより、あの子はまだかしら?」
「あの坊やなら、この騒ぎを収めるため街中を走り回ってたけど、もう帰って来るんじゃないか」
媚薬香を撒いてた奴らは、全員捕まえたはずだから、もう戻って来てもいいはずだった。
そう思いながら待っていると彼が慌てて店に入って来た。
「師匠、大変です! 街の人たちが、店を取り囲んでます!!」
「あら、やっぱり?」
予想はしていたが、思ったよりも早かったようだ。
魔女狩りに遭うのはこれが初めてではない。私は弟子の報告に肩をすくめていた。

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