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とある少女の独白

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『さちちゃん、どうしていつも同じ服なの?』


『倉田さん、スマホもってないってほんと?』


『倉田さん家、もしかして

 超貧乏?』







洋服もかえない、スマホももてない、みんなと同じじゃない。
そんな私が、クラスメイトと仲良くなれるわけない。あの子達は、家に帰ったらきっと毎日美味しいご飯と優しい家族がまってる。

そう思って嫉妬する自分がきらい。

なのに



「くくくくくら倉田さん!よかったら漫画よまない!? …そっか突然御免ね!!!」

「くくくくくくくら倉田さん!お昼一緒にたべな…あっお昼ないんだ…御免!
じゃあおごる!!!」


(どうして、私に話しかけてくるんだろうか)

「…私、トロいから皆のグループにまざりそこなって…。でも独りは寂しくて…。だから私、倉田さんを利用してるんだと思う。

御免ね…私もこんな自分最低で、嫌い。」



「……………さっきの漫画、貸してもらってもいい、かな?」
「えっ!?うん全然いいよ!!!」

そうして私達は、雨の中傘をさして帰った。
その次の日から、私はバイトで学校にいけなくなった。あの子は、今独りで帰り道を歩いてるのだろうか。




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