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『勇者の剣』奪還編
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「グルトォォ!」
ドーン!
「…痛ててててて。」
「いっつぅー。」
地面スレスレのところで、ロイがグルトを受け止めた。
「良かったぁ…。」
フルールは胸を撫で下ろした。
「わりぃ、助かったわ。」
「へへへ、目が覚めたらグルトがセルヴォーの頭から落下し始めたとこだったから…間に合って良かった。」
「二人とも!避けて!!」
「!?」
ドシャーン!!
セルヴォーは怒りに任せて、ロイたちを叩き潰すように、握り拳を振り落ろした。二人は、テヒニクの声掛けで、かろうじて避けることが出来た。
しかし、セルヴォーの攻撃が止むことはなく、次から次へと地面を叩き続けた。
「うわぁぁ、あんなのに潰されたら即死だ!…そいやグルト、さっきはセルヴォーに何をしてたの?」
気絶していたロイには、グルトの行動の真意が分かっていなかった。グルトは、フルールに目線を向けた。
「嬢ちゃん、まだか!?…やばっ、くそぉぉ。」
ドシャーン!
グルトは攻撃を躱しながらフルールの答えを待った。
「…出た!分かったわ!奴の弱点は『寒さ』よ!」
「…寒さ?…寒さといえば、ベンティスカダガーで氷付けにしたいとこだが、今はもう石の力が残ってない。…ロイ!確かお前、あと一回だけ力が使えるんだよな?」
ロイは頷いたが、まだ剣に宿らした石の力を使い始めたばかりのロイには限られた技しか使えなかった。
毒霧のブルイヤールと、相手の動きを遅くするロンテュモン、そして、経験値が石に認められたのか、テヒニク戦が決着した時に頭に浮かんだ技の三つしかなかった。三つ目の技は、能力が全く未知なため、残りの一回をこの技に懸けても良いのかと悩んでいた。
「…どうしよう。」
その時、脳に直接何かが語りかけてきた。
『信じなさい。今からこちらが言うとおりに唱えるのです。』
「…え?」
ロイは驚いたが、不思議と恐怖や戸惑いはなく、パープルティアーが語りかけてくれているのだろうと感じた。
「…ロイ!?大丈夫か?」
グルトが、下を向いたままのロイを心配して声を掛けた瞬間、ロイの真上からセルヴォーの巨大な拳が振り落とされた。
「ロォォイ!!」
ドシャーン!!
グルトは、ロイが潰されると思い、一瞬目を逸らしてしまった。ゆっくりと視線をロイに戻すと、ロイは剣を頭上で真横に掲げ、セルヴォーの一撃を受け止めていた。
「何!?こんな華奢なガキにそんな力があるのか!?」
セルヴォーも驚きを隠せなかった。
「グルト。剣を構えてベンティスカダガーを唱えてくれ!」
「え?だから、今は力が…。」
「いいから!早く!」
グルトは渋々剣を構え、ダメ元で唱えた。
「呼び込め…ベンティスカダガー!」
「覚醒せよ…デロベプランドル!!…ベンティスカダガー!」
すると、ロイの剣から吹雪が発生し、巨体なセルヴォーを包み込んだ。
「…あれは、俺のベンティスカダガーそのものだ。」
グルトは、呆気にとられた表情でセルヴォーを包み込む吹雪を見ていた。
「セルヴォー、終わりだ!」
次の瞬間、セルヴォーは巨大な氷付けのオブジェとなり、強い光が発せられると、徐々に身体が縮まり始めた。
光が止むと、人間の姿に戻ったセルヴォーが、バタリと地面に倒れた。
ドーン!
「…痛ててててて。」
「いっつぅー。」
地面スレスレのところで、ロイがグルトを受け止めた。
「良かったぁ…。」
フルールは胸を撫で下ろした。
「わりぃ、助かったわ。」
「へへへ、目が覚めたらグルトがセルヴォーの頭から落下し始めたとこだったから…間に合って良かった。」
「二人とも!避けて!!」
「!?」
ドシャーン!!
セルヴォーは怒りに任せて、ロイたちを叩き潰すように、握り拳を振り落ろした。二人は、テヒニクの声掛けで、かろうじて避けることが出来た。
しかし、セルヴォーの攻撃が止むことはなく、次から次へと地面を叩き続けた。
「うわぁぁ、あんなのに潰されたら即死だ!…そいやグルト、さっきはセルヴォーに何をしてたの?」
気絶していたロイには、グルトの行動の真意が分かっていなかった。グルトは、フルールに目線を向けた。
「嬢ちゃん、まだか!?…やばっ、くそぉぉ。」
ドシャーン!
グルトは攻撃を躱しながらフルールの答えを待った。
「…出た!分かったわ!奴の弱点は『寒さ』よ!」
「…寒さ?…寒さといえば、ベンティスカダガーで氷付けにしたいとこだが、今はもう石の力が残ってない。…ロイ!確かお前、あと一回だけ力が使えるんだよな?」
ロイは頷いたが、まだ剣に宿らした石の力を使い始めたばかりのロイには限られた技しか使えなかった。
毒霧のブルイヤールと、相手の動きを遅くするロンテュモン、そして、経験値が石に認められたのか、テヒニク戦が決着した時に頭に浮かんだ技の三つしかなかった。三つ目の技は、能力が全く未知なため、残りの一回をこの技に懸けても良いのかと悩んでいた。
「…どうしよう。」
その時、脳に直接何かが語りかけてきた。
『信じなさい。今からこちらが言うとおりに唱えるのです。』
「…え?」
ロイは驚いたが、不思議と恐怖や戸惑いはなく、パープルティアーが語りかけてくれているのだろうと感じた。
「…ロイ!?大丈夫か?」
グルトが、下を向いたままのロイを心配して声を掛けた瞬間、ロイの真上からセルヴォーの巨大な拳が振り落とされた。
「ロォォイ!!」
ドシャーン!!
グルトは、ロイが潰されると思い、一瞬目を逸らしてしまった。ゆっくりと視線をロイに戻すと、ロイは剣を頭上で真横に掲げ、セルヴォーの一撃を受け止めていた。
「何!?こんな華奢なガキにそんな力があるのか!?」
セルヴォーも驚きを隠せなかった。
「グルト。剣を構えてベンティスカダガーを唱えてくれ!」
「え?だから、今は力が…。」
「いいから!早く!」
グルトは渋々剣を構え、ダメ元で唱えた。
「呼び込め…ベンティスカダガー!」
「覚醒せよ…デロベプランドル!!…ベンティスカダガー!」
すると、ロイの剣から吹雪が発生し、巨体なセルヴォーを包み込んだ。
「…あれは、俺のベンティスカダガーそのものだ。」
グルトは、呆気にとられた表情でセルヴォーを包み込む吹雪を見ていた。
「セルヴォー、終わりだ!」
次の瞬間、セルヴォーは巨大な氷付けのオブジェとなり、強い光が発せられると、徐々に身体が縮まり始めた。
光が止むと、人間の姿に戻ったセルヴォーが、バタリと地面に倒れた。
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