9 / 78
『勇者の剣』奪還編
9
しおりを挟む
ロイが生きていることに加え、自分に傷の痛みが全くないこと…疑問だらけのグルトは、微笑むロイを見つめながら言った。
「…ロイ、説明してくれ。」
ロイは頷き、首元から服の中に手を入れ、紫色に光る石を取り出し、グルトに見せた。
「僕が持ってるこの石の力です。」
グルトは、ロイの石を初めて間近で見たが、拳ほどの大きさの滴の形をしている石からは、何とも言えないパワーを感じた。
すると、グルトは枕元に置かれた短刀を手に取り、無言でロイに渡した。ロイは、訳も分からずに受け取った。
「短刀裏返して、柄の部分を見てみろ。」
ロイはグルトの指示通りに見てみると、柄の部分に自分が見せた石と同じ物が嵌め込まれていた。ただ、色は紫色ではなく水色をしていた。
「…『ティアーズストーン』と呼ばれる魔法石だ。俺の短刀に付いているのは、『スカイブルーティアー』、通称『空の涙』…あらゆる気象現象を操ることが出来る石だ。」
「…石を剣に…こんな使い方があったんですね。気象現象…そうか、あの強い光はお日さまの光ですね。」
ロイが、スカイブルーティアーを触りながら言った。グルトは頷いて、ロイから短刀を返して貰い、短刀を見つめながら答えた。
「あぁ。あらゆる気象現象って言っても、俺にはまだ3つの力しか使いこなせていない。今ロイが言った強力な光、セルヴォーとテヒニクを倒すのに使った雷、そして、デストリュに傷を負わせたつむじ風だ。」
「そう言えば、デストリュは手に深い傷を負ってましたね。つむじ風であんな傷が?」
「つむじ風ってのは中心部に強力な力があってな。そこに触れると傷を負う。世の中では、かまいたちなんて呼ばれているが、正体は空気の圧さ。スカイブルーティアーの威力は、通常のつむじ風の数十倍…腕の切断だって容易さ。」
ロイは、グルトの説明を興味深々に聞いていた。グルトは、ロイの顔を見て、思い出したように言った。
「そうだ!俺の話なんかより、何でロイが無事で、俺の傷が治ってて…ん?まてよ…パープルティアー、確か色々と聞いたことがあるぞ。その力はティアーズストーンの中でも最強と言われ、有する力は不死身、奪略、破壊…どれが本当かはわからんが…。」
グルトの話にロイがニコリと笑って答えた。
「多分全部ですよ!でも、この石がパープルティアーって言われていることとか、グルトさんの石のような通称名とかは僕は知りません。この石は、父親から私が受け継いだ物で、詳しい話を聞く前に、父親は…急に…他界してしまいまして。」
グルトは驚いた。パープルティアーの能力、あらゆる物を奪略し、破壊し、不死身の肉体を授けるという噂が本当だったこと。そして、その最強と言われている石を、勇者とは言え、齢15歳の少年が持ち歩いているということに。
グルトは、ロイの目をじっと見つめた。
「…ロイ、もう一度聞く。ロイが生きていること、俺の傷が治っていること、全部説明してくれ。」
「…ロイ、説明してくれ。」
ロイは頷き、首元から服の中に手を入れ、紫色に光る石を取り出し、グルトに見せた。
「僕が持ってるこの石の力です。」
グルトは、ロイの石を初めて間近で見たが、拳ほどの大きさの滴の形をしている石からは、何とも言えないパワーを感じた。
すると、グルトは枕元に置かれた短刀を手に取り、無言でロイに渡した。ロイは、訳も分からずに受け取った。
「短刀裏返して、柄の部分を見てみろ。」
ロイはグルトの指示通りに見てみると、柄の部分に自分が見せた石と同じ物が嵌め込まれていた。ただ、色は紫色ではなく水色をしていた。
「…『ティアーズストーン』と呼ばれる魔法石だ。俺の短刀に付いているのは、『スカイブルーティアー』、通称『空の涙』…あらゆる気象現象を操ることが出来る石だ。」
「…石を剣に…こんな使い方があったんですね。気象現象…そうか、あの強い光はお日さまの光ですね。」
ロイが、スカイブルーティアーを触りながら言った。グルトは頷いて、ロイから短刀を返して貰い、短刀を見つめながら答えた。
「あぁ。あらゆる気象現象って言っても、俺にはまだ3つの力しか使いこなせていない。今ロイが言った強力な光、セルヴォーとテヒニクを倒すのに使った雷、そして、デストリュに傷を負わせたつむじ風だ。」
「そう言えば、デストリュは手に深い傷を負ってましたね。つむじ風であんな傷が?」
「つむじ風ってのは中心部に強力な力があってな。そこに触れると傷を負う。世の中では、かまいたちなんて呼ばれているが、正体は空気の圧さ。スカイブルーティアーの威力は、通常のつむじ風の数十倍…腕の切断だって容易さ。」
ロイは、グルトの説明を興味深々に聞いていた。グルトは、ロイの顔を見て、思い出したように言った。
「そうだ!俺の話なんかより、何でロイが無事で、俺の傷が治ってて…ん?まてよ…パープルティアー、確か色々と聞いたことがあるぞ。その力はティアーズストーンの中でも最強と言われ、有する力は不死身、奪略、破壊…どれが本当かはわからんが…。」
グルトの話にロイがニコリと笑って答えた。
「多分全部ですよ!でも、この石がパープルティアーって言われていることとか、グルトさんの石のような通称名とかは僕は知りません。この石は、父親から私が受け継いだ物で、詳しい話を聞く前に、父親は…急に…他界してしまいまして。」
グルトは驚いた。パープルティアーの能力、あらゆる物を奪略し、破壊し、不死身の肉体を授けるという噂が本当だったこと。そして、その最強と言われている石を、勇者とは言え、齢15歳の少年が持ち歩いているということに。
グルトは、ロイの目をじっと見つめた。
「…ロイ、もう一度聞く。ロイが生きていること、俺の傷が治っていること、全部説明してくれ。」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる