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始まり?
神様に会いました。
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気が付くと、真っ白な部屋にいた。
「あれ?ここどこ?」
さっきまで、娘の美佳と道を歩いてて・・・
信号待ちしてたら、トラックが突っ込んできて。
危ないと思って美佳を突き飛ばしたら、
全身が熱く感じて・・・
「ここは私が作り出した空間です。
話を聞いて頂きたくて」
思わず自分の体を抱きしめたとたん、
落ち着いた低い声が聞こえる。
目の前には古代ギリシャあたりで着られていたかのような服装の人。
ランニングシャツ以上に胸板が見えるんじゃないかってくらいの服だったもんで、
ぺったんこの胸がチラリズムしそうだよ?
声と胸で男性かな?
「えっと、どちら様でしょうか?」
「私はルエルと言います。
あなた方の概念でいえば、神といったら理解が早いでしょうか」
髪、紙、神。
・・・うん、神だね。
「・・・神様、ですか」
「はい。まぁ、自分で神を名乗るなんてうさんくさいとはお思いでしょうけど。
よければルエルと呼んでください。
とりあえず、今の雪子さんの状態をお話ししますね」
雪子。私の名前。
川村雪子。
年に数回降るか降らないか。ってな所に住んでたのに、
私の生まれた日だけ一面銀世界になったことにちなんでつけられた。
結構安直な名前だったりする。
父親が産院に着く直前で転んで、幸い雪まみれになっただけで怪我はなかったけど、
その後父親が風邪を引いたもんで、病院にいる間私に会えなかったとか。
それはさておき。
「えっと、私、トラックに挟まれたところまでは記憶にあるんですけど」
「はい。えっと、全身打撲によるショック死とのことで、即死とのことです」
トラックに挟まれた、と思った時に全身に感じたのは熱さだった。
痛みって、過ぎると熱く感じることがあると聞いたことあるような、ないような・・・
・・・あれ、手がある、足がある、胴体も無事???
神様、ルエル様は手元の紙を読み上げる。
「なお、直前に突き飛ばした形になった娘、
美佳さんについては、転んだ時の衝撃で破水したものの、
救急車にて運ばれ、病院にて無事女の子を出産した、とのことです」
「美佳は・・・美佳と子供は無事だったんですね・・・」
「はい。美佳さんについては、打撲など小さな怪我はあったものの、
大きな怪我もなく赤子については影響もなく元気な状態とのことですよ」
「よかった・・・・」
思わず、涙が出てくる。
美佳は臨月に入ったばかりの妊婦、
とっさに突き飛ばしたまではよかったが、
何事もなく子供も無事でよかった・・・。
「・・・・とりあえず、こちらの椅子にでも座りましょうか」
私が少し落ち着くのを待ってくれたルエル様は
気が付けばそこに合ったテーブルセットの椅子に私を座らせ、
少し斜め前に自分も座る。
「今から色々話をさせていただきますね。
現在の雪子さんの状態は肉体が死んで、魂だけの状態です」
「・・・はぁ」
一応、感覚的には五体満足なんだが・・・?
「今は魂の記憶している姿でここにいる感覚なので、
今までの体と何ら変わりがないかと思いますよ」
そういうもんなのかなぁ?
「立ったままも何なので、こちらへどうぞ」
気が付くと近くにテーブルセットがあって、
お茶のセットまでテーブルの上にある。
勧められるまま、テーブルに着く。
「では、本題に入らせていただきましょう。
雪子さんには私の管理する世界へ転生していただきたいのです」
「・・・転生、ですか?」
なんだか小説の中の世界みたい・・・・。
「話が長くなるかもしれませんので、お茶をどうぞ」
「ありがとうございます。頂きます」
勧められるままにお茶を一口。
あ、玉露だ。甘い。
「実はですね。
私の管理する世界には、
私が見つけたきれいな魂の持ち主が何人かいるのですが、
どうも、その子たちは他のものから虐げられているようなのです」
他の管理者の子達はそうでもないのに・・・
と納得のいかない顔をしている。
「・・・ルエル様がかわいいと思う子たちが、ですか?」
「はい。その子たちは少し特殊な能力を持っていまして、
そのせいでしょうか?周りのものからは能力について搾取されたり、
能力がゆえに差別されたりしているようなのです。
私はかわいい子たちにそんなつらい思いをさせたくはないのです。
ただただ、幸せになってほしい」
綺麗な顔が苦痛の表情にゆがむ。
「・・・それは私が幸せになるようにする、ということですか?」
「そうです!やっていただけませんか!?」
うーん・・・・
とはいってもなぁ・・・・
ひとまず、腕を組み考えてみたものの、
私としては選択肢はひとつかなぁ?
「初めに、これは私の個人的な意見として聞いて頂けますか?」
「もちろんです」
「正直に結論だけを言いますと、それは無理です」
「なぜです!?
あの子たちには幸せになる権利がないとでもいうのですか?!」
テーブルを叩き、いらだつルエル様。
イケメンが怒ると怖いな。
「私もそのようなことは言っていませんよ?
私が幸せになるようにする、というところに私は無理だと感じるわけです。
その子たち・・・えっと、
ひとまず、ルエル様の愛し子と総称させていただきますね。
まず、愛し子たちの能力が異能であるからこそ、
周囲からの多少差別がきついことはどうしようもありません。
私のいた日本なんて、
髪の色が少し茶色いだけで差別対象でしたよ?
そこまでひどくはないかもしれませんが、
人は差別する生き物です。
その差別は、本人にとってどうなのか、わかりません」
ルエル様は、私の言ってることはわかるけど、
納得できないという顔をしている。
「次に、十人中十人が不幸だと指摘するような環境でも本人がそれで満足していたとしたらどうです?」
とたんにわけがわからない、といった顔になる。
「周囲の人が不幸だ、と思ったとしても、
当の本人は幸せだからと笑顔でいることもあるわけです。
・・・正直、ほとんどないとは思いますが。
人の幸せは十人十色、全く同じことが幸せなんて、ありえないんです」
「・・・そういうことですか」
「もちろん、本人が不幸と感じているなら、
不幸から抜け出す手伝いをするのはかまいません。
ただ、本人が不幸のままでいたいと願うなら、
それは助けることができませんし・・・」
「不幸でいたい???」
「自分は世界で一番不幸な人間だと思っていたい、という人も、
中にはいるということですね。
不幸自慢をしていたいということですかね?
意識的にか無意識的にかは別として。
日本には時々いたんですよね。そういう人が。
正直、私は共感できませんけどねぇ。
まぁ、そんなわけで、無理ですとお答えしたわけなのです」
「なるほど。
短い間で真剣に考えていただいたのですね。
では、私の愛し子たちが幸せになる手助けをしていただきたい」
「できる限り、可能な限りの範囲で、でもかまわないのであれば、お受けします」
「・・・あなたは正直な方ですね」
「できないかもしれないことをできると言えるほどの度胸はありませんし。
今後どんな状況に置かれるかもわからないのに安請け合いするほど楽観的でもないと思っています。
有言実行したい方なので。
人選間違えたとか思っておられるんじゃないですか?」
「いえ、あなたを勧めてくれた日本の神に感謝をしなくてはいけませんね」
そういう割には、苦笑いにも見えるのですけど。ルエル様。
「あなたには引き受けない、という選択肢もあったのに、
そのことは少しも考える様子もなかったので」
あー、それもありだったのかー。
なぜだろう?その選択肢は考えなかったなぁ。
「引き受けると言った手前、撤回はしませんが、
その選択肢を選んだ場合はどうなるのか気になります」
「特には何もないですよ?
今までの輪廻の中に戻るだけの話です」
「輪廻転生って、本当にあるんですね。
宗教の話の中だけだと思ってた」
ぶっちゃけ、信じてなかったよ。
「神と呼ばれる者たちでも、無から魂は作れない、ということですよ。
さて、今の雪子さんの状態は魂だけの状態で、
実は不安定であまりよくありません。
了承を得たところで、転生の準備に入りましょうか」
椅子に座っていたはずの体がふわり、と体が浮いた。
「次に会うときには、
雪子さんは違う名前を名乗っているでしょうが、
よろしくお願いしますね」
今まで斜め上にあった顔と同じ高さになるまで浮き上がる。
「これからはあなたも私の愛しい子のひとりです。
あなた自身も幸せになれるように見守っていますよ」
ルエル様の声を最後に、
白かった部屋が真っ暗になった。
「あれ?ここどこ?」
さっきまで、娘の美佳と道を歩いてて・・・
信号待ちしてたら、トラックが突っ込んできて。
危ないと思って美佳を突き飛ばしたら、
全身が熱く感じて・・・
「ここは私が作り出した空間です。
話を聞いて頂きたくて」
思わず自分の体を抱きしめたとたん、
落ち着いた低い声が聞こえる。
目の前には古代ギリシャあたりで着られていたかのような服装の人。
ランニングシャツ以上に胸板が見えるんじゃないかってくらいの服だったもんで、
ぺったんこの胸がチラリズムしそうだよ?
声と胸で男性かな?
「えっと、どちら様でしょうか?」
「私はルエルと言います。
あなた方の概念でいえば、神といったら理解が早いでしょうか」
髪、紙、神。
・・・うん、神だね。
「・・・神様、ですか」
「はい。まぁ、自分で神を名乗るなんてうさんくさいとはお思いでしょうけど。
よければルエルと呼んでください。
とりあえず、今の雪子さんの状態をお話ししますね」
雪子。私の名前。
川村雪子。
年に数回降るか降らないか。ってな所に住んでたのに、
私の生まれた日だけ一面銀世界になったことにちなんでつけられた。
結構安直な名前だったりする。
父親が産院に着く直前で転んで、幸い雪まみれになっただけで怪我はなかったけど、
その後父親が風邪を引いたもんで、病院にいる間私に会えなかったとか。
それはさておき。
「えっと、私、トラックに挟まれたところまでは記憶にあるんですけど」
「はい。えっと、全身打撲によるショック死とのことで、即死とのことです」
トラックに挟まれた、と思った時に全身に感じたのは熱さだった。
痛みって、過ぎると熱く感じることがあると聞いたことあるような、ないような・・・
・・・あれ、手がある、足がある、胴体も無事???
神様、ルエル様は手元の紙を読み上げる。
「なお、直前に突き飛ばした形になった娘、
美佳さんについては、転んだ時の衝撃で破水したものの、
救急車にて運ばれ、病院にて無事女の子を出産した、とのことです」
「美佳は・・・美佳と子供は無事だったんですね・・・」
「はい。美佳さんについては、打撲など小さな怪我はあったものの、
大きな怪我もなく赤子については影響もなく元気な状態とのことですよ」
「よかった・・・・」
思わず、涙が出てくる。
美佳は臨月に入ったばかりの妊婦、
とっさに突き飛ばしたまではよかったが、
何事もなく子供も無事でよかった・・・。
「・・・・とりあえず、こちらの椅子にでも座りましょうか」
私が少し落ち着くのを待ってくれたルエル様は
気が付けばそこに合ったテーブルセットの椅子に私を座らせ、
少し斜め前に自分も座る。
「今から色々話をさせていただきますね。
現在の雪子さんの状態は肉体が死んで、魂だけの状態です」
「・・・はぁ」
一応、感覚的には五体満足なんだが・・・?
「今は魂の記憶している姿でここにいる感覚なので、
今までの体と何ら変わりがないかと思いますよ」
そういうもんなのかなぁ?
「立ったままも何なので、こちらへどうぞ」
気が付くと近くにテーブルセットがあって、
お茶のセットまでテーブルの上にある。
勧められるまま、テーブルに着く。
「では、本題に入らせていただきましょう。
雪子さんには私の管理する世界へ転生していただきたいのです」
「・・・転生、ですか?」
なんだか小説の中の世界みたい・・・・。
「話が長くなるかもしれませんので、お茶をどうぞ」
「ありがとうございます。頂きます」
勧められるままにお茶を一口。
あ、玉露だ。甘い。
「実はですね。
私の管理する世界には、
私が見つけたきれいな魂の持ち主が何人かいるのですが、
どうも、その子たちは他のものから虐げられているようなのです」
他の管理者の子達はそうでもないのに・・・
と納得のいかない顔をしている。
「・・・ルエル様がかわいいと思う子たちが、ですか?」
「はい。その子たちは少し特殊な能力を持っていまして、
そのせいでしょうか?周りのものからは能力について搾取されたり、
能力がゆえに差別されたりしているようなのです。
私はかわいい子たちにそんなつらい思いをさせたくはないのです。
ただただ、幸せになってほしい」
綺麗な顔が苦痛の表情にゆがむ。
「・・・それは私が幸せになるようにする、ということですか?」
「そうです!やっていただけませんか!?」
うーん・・・・
とはいってもなぁ・・・・
ひとまず、腕を組み考えてみたものの、
私としては選択肢はひとつかなぁ?
「初めに、これは私の個人的な意見として聞いて頂けますか?」
「もちろんです」
「正直に結論だけを言いますと、それは無理です」
「なぜです!?
あの子たちには幸せになる権利がないとでもいうのですか?!」
テーブルを叩き、いらだつルエル様。
イケメンが怒ると怖いな。
「私もそのようなことは言っていませんよ?
私が幸せになるようにする、というところに私は無理だと感じるわけです。
その子たち・・・えっと、
ひとまず、ルエル様の愛し子と総称させていただきますね。
まず、愛し子たちの能力が異能であるからこそ、
周囲からの多少差別がきついことはどうしようもありません。
私のいた日本なんて、
髪の色が少し茶色いだけで差別対象でしたよ?
そこまでひどくはないかもしれませんが、
人は差別する生き物です。
その差別は、本人にとってどうなのか、わかりません」
ルエル様は、私の言ってることはわかるけど、
納得できないという顔をしている。
「次に、十人中十人が不幸だと指摘するような環境でも本人がそれで満足していたとしたらどうです?」
とたんにわけがわからない、といった顔になる。
「周囲の人が不幸だ、と思ったとしても、
当の本人は幸せだからと笑顔でいることもあるわけです。
・・・正直、ほとんどないとは思いますが。
人の幸せは十人十色、全く同じことが幸せなんて、ありえないんです」
「・・・そういうことですか」
「もちろん、本人が不幸と感じているなら、
不幸から抜け出す手伝いをするのはかまいません。
ただ、本人が不幸のままでいたいと願うなら、
それは助けることができませんし・・・」
「不幸でいたい???」
「自分は世界で一番不幸な人間だと思っていたい、という人も、
中にはいるということですね。
不幸自慢をしていたいということですかね?
意識的にか無意識的にかは別として。
日本には時々いたんですよね。そういう人が。
正直、私は共感できませんけどねぇ。
まぁ、そんなわけで、無理ですとお答えしたわけなのです」
「なるほど。
短い間で真剣に考えていただいたのですね。
では、私の愛し子たちが幸せになる手助けをしていただきたい」
「できる限り、可能な限りの範囲で、でもかまわないのであれば、お受けします」
「・・・あなたは正直な方ですね」
「できないかもしれないことをできると言えるほどの度胸はありませんし。
今後どんな状況に置かれるかもわからないのに安請け合いするほど楽観的でもないと思っています。
有言実行したい方なので。
人選間違えたとか思っておられるんじゃないですか?」
「いえ、あなたを勧めてくれた日本の神に感謝をしなくてはいけませんね」
そういう割には、苦笑いにも見えるのですけど。ルエル様。
「あなたには引き受けない、という選択肢もあったのに、
そのことは少しも考える様子もなかったので」
あー、それもありだったのかー。
なぜだろう?その選択肢は考えなかったなぁ。
「引き受けると言った手前、撤回はしませんが、
その選択肢を選んだ場合はどうなるのか気になります」
「特には何もないですよ?
今までの輪廻の中に戻るだけの話です」
「輪廻転生って、本当にあるんですね。
宗教の話の中だけだと思ってた」
ぶっちゃけ、信じてなかったよ。
「神と呼ばれる者たちでも、無から魂は作れない、ということですよ。
さて、今の雪子さんの状態は魂だけの状態で、
実は不安定であまりよくありません。
了承を得たところで、転生の準備に入りましょうか」
椅子に座っていたはずの体がふわり、と体が浮いた。
「次に会うときには、
雪子さんは違う名前を名乗っているでしょうが、
よろしくお願いしますね」
今まで斜め上にあった顔と同じ高さになるまで浮き上がる。
「これからはあなたも私の愛しい子のひとりです。
あなた自身も幸せになれるように見守っていますよ」
ルエル様の声を最後に、
白かった部屋が真っ暗になった。
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