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しばらくお空の旅をして、
降り立ったのは領地の一番王都より。
川を境に領地が分かれている付近。
この近くに、流行病の時に落とされた橋がある。
ガタン!と大きな音とともに、揺れがなくなる。
無事に着地したようです・・・オエ。
「お姉さま、具合はいかかですか?」
さすがにドラゴンライダーできちゃう男爵令嬢、アイリスは平気な顔で自分のベルトをはずし、
私のベルトを外してくれる。
固定された感覚から解放され、ちょっと楽になる。
アイリスに寄りかかりながら、
一応自分の足で箱から出る。
外の空気がおいしいー。
完全に気分的なものだが・・・。
「アイリス!無事だったかい!」
「お父様!ただいま戻りました、アイリスは元気ですよ」
レイエン男爵がアイリスを迎えに来ていたようだ。
ちょっとよろけながらもアイリスから離れ、自分の足で立つ。
軽くアイリスの背中を押すと、そのままレイエン男爵のところへ走っていく。
うーん、親子の再会ね。
「姉上、ふらついていますよ」
「あ、スフェン。そんなにふらふらしてた?自覚がないや」
すっと横に来たスフェンに支えられ、楽になる。
あ、パーティーからそのまま来てるから、
靴がダンスシューズっていってもピンヒール。
下は思い切りむき出しの土だし、ふらつくわねー。
と、いきなりふわりと体が浮いた。
「さて、ひとまず、近くの町で休むといい。
馬車を用意させてあるから、それに乗って移動しよう」
浮遊感の正体はお父様。
ドレスはかさばるし重たいはずだけど、
ものともせず軽々と姫抱っこ。
うーん、あこがれるシュチエーションだけど、相手が父親じゃぁなぁ・・・。
「お父様、私、もう小さなこどもではありませんよ」
「私の前ではいつまでも娘だ。
今まですまなかったな。
お前には苦労をかけてしまった」
「この後は私の好きなようにさせてくれるのでしょう?
そう考えたら今までの5年とこの先の何十年、比べようがないです。
お母様と双子は元気ですか?
手紙とスフェンからでしか様子をうかがえなかったから、
会うのが楽しみです」
自然と笑顔が出てくる。
この5年、人質のように一度も領地に戻れず、
なにかあれば王城に呼び出されていたため、
ほぼ屋敷と王城と学園の往復ぐらいしかしていなかったから、
ずっと自分の顔が能面つけているみたいだった。
「さて、この付近でしたよね、昔落とされた橋は」
「計画通り、今度はこちらから落とす。付近の住民には通達してある。
ネージュに対する王家の噂は領都まで聞こえているからな。
賛同する住民が多くていいのやら悪いのやらわからん。
さ、乗るぞ」
まるで猫の子を乗せるかのように、馬車に乗せられた。
すぐにスフェンが乗り込み、馬車が動き出す。
王都で使っていた馬車よりも数段いいもの、というか、
私が魔改造して居心地よくした馬車だから、快適快適~
・・・・カク。
快適だから揺れが心地よい眠気を誘う。
今一瞬意識なかったよ。
「ネージュ、スフェン。
そちらはうまくいった、と考えてよいのか?」
「えぇ、卒業パーティーの国王夫妻がお出ましになる前に、
パーティーホールのど真ん中で婚約契約書にサインをしましたよ。
サインを終えた契約書は目の前で燃え尽きました」
「アイリスはその後ジルコン王子を振ってきたらしいです」
「こちらは婚約破棄に伴い、今まで優遇していた関税と通行料を正規に戻し、
塩の無償提供も廃止することを書面で送り付けた。
商会の方は動きを完全に把握してるわけではないが、どうだ?」
フワフワ。っとしていた気分が、お父様の言葉で消える。
「商会の方はもともと最高級品は王都へ持参しないよう、
規制していましたから。
王城への輸送は食料品と消耗日用品のみ、
王都への輸送は食料品と生活必需品のみを行うのみの拠点と人員を残す、
という話で聞いております。
王都の民には影響があまりでないように。
ただ、ですぎないようにやる、という話ですからそのあたりは副会長に任せてありますが」
「オブライエン領より派遣した人員はほぼ帰還させる。
ほぼ全員が領地に戻ることを希望したからな」
辺境であるがゆえに隣国からの備えと、
魔物に対しての備えとして軍を持つことが許されている。
ここ数十年は隣国であるリズダール国は友好的で、
流行病のときは王家よりも親身になってくれたぐらいだから、
国同士の争いはほとんどない。
王都周辺にも魔物は出るが、
オブライエン領に出る魔物の方が数段強いものが多く、
そのため、オブライエン領軍は魔物討伐にも長けているため軍を派遣していた。
すべて、私と王子との婚約によるもの。
でも、破棄したんですもの、いいですよね。
降り立ったのは領地の一番王都より。
川を境に領地が分かれている付近。
この近くに、流行病の時に落とされた橋がある。
ガタン!と大きな音とともに、揺れがなくなる。
無事に着地したようです・・・オエ。
「お姉さま、具合はいかかですか?」
さすがにドラゴンライダーできちゃう男爵令嬢、アイリスは平気な顔で自分のベルトをはずし、
私のベルトを外してくれる。
固定された感覚から解放され、ちょっと楽になる。
アイリスに寄りかかりながら、
一応自分の足で箱から出る。
外の空気がおいしいー。
完全に気分的なものだが・・・。
「アイリス!無事だったかい!」
「お父様!ただいま戻りました、アイリスは元気ですよ」
レイエン男爵がアイリスを迎えに来ていたようだ。
ちょっとよろけながらもアイリスから離れ、自分の足で立つ。
軽くアイリスの背中を押すと、そのままレイエン男爵のところへ走っていく。
うーん、親子の再会ね。
「姉上、ふらついていますよ」
「あ、スフェン。そんなにふらふらしてた?自覚がないや」
すっと横に来たスフェンに支えられ、楽になる。
あ、パーティーからそのまま来てるから、
靴がダンスシューズっていってもピンヒール。
下は思い切りむき出しの土だし、ふらつくわねー。
と、いきなりふわりと体が浮いた。
「さて、ひとまず、近くの町で休むといい。
馬車を用意させてあるから、それに乗って移動しよう」
浮遊感の正体はお父様。
ドレスはかさばるし重たいはずだけど、
ものともせず軽々と姫抱っこ。
うーん、あこがれるシュチエーションだけど、相手が父親じゃぁなぁ・・・。
「お父様、私、もう小さなこどもではありませんよ」
「私の前ではいつまでも娘だ。
今まですまなかったな。
お前には苦労をかけてしまった」
「この後は私の好きなようにさせてくれるのでしょう?
そう考えたら今までの5年とこの先の何十年、比べようがないです。
お母様と双子は元気ですか?
手紙とスフェンからでしか様子をうかがえなかったから、
会うのが楽しみです」
自然と笑顔が出てくる。
この5年、人質のように一度も領地に戻れず、
なにかあれば王城に呼び出されていたため、
ほぼ屋敷と王城と学園の往復ぐらいしかしていなかったから、
ずっと自分の顔が能面つけているみたいだった。
「さて、この付近でしたよね、昔落とされた橋は」
「計画通り、今度はこちらから落とす。付近の住民には通達してある。
ネージュに対する王家の噂は領都まで聞こえているからな。
賛同する住民が多くていいのやら悪いのやらわからん。
さ、乗るぞ」
まるで猫の子を乗せるかのように、馬車に乗せられた。
すぐにスフェンが乗り込み、馬車が動き出す。
王都で使っていた馬車よりも数段いいもの、というか、
私が魔改造して居心地よくした馬車だから、快適快適~
・・・・カク。
快適だから揺れが心地よい眠気を誘う。
今一瞬意識なかったよ。
「ネージュ、スフェン。
そちらはうまくいった、と考えてよいのか?」
「えぇ、卒業パーティーの国王夫妻がお出ましになる前に、
パーティーホールのど真ん中で婚約契約書にサインをしましたよ。
サインを終えた契約書は目の前で燃え尽きました」
「アイリスはその後ジルコン王子を振ってきたらしいです」
「こちらは婚約破棄に伴い、今まで優遇していた関税と通行料を正規に戻し、
塩の無償提供も廃止することを書面で送り付けた。
商会の方は動きを完全に把握してるわけではないが、どうだ?」
フワフワ。っとしていた気分が、お父様の言葉で消える。
「商会の方はもともと最高級品は王都へ持参しないよう、
規制していましたから。
王城への輸送は食料品と消耗日用品のみ、
王都への輸送は食料品と生活必需品のみを行うのみの拠点と人員を残す、
という話で聞いております。
王都の民には影響があまりでないように。
ただ、ですぎないようにやる、という話ですからそのあたりは副会長に任せてありますが」
「オブライエン領より派遣した人員はほぼ帰還させる。
ほぼ全員が領地に戻ることを希望したからな」
辺境であるがゆえに隣国からの備えと、
魔物に対しての備えとして軍を持つことが許されている。
ここ数十年は隣国であるリズダール国は友好的で、
流行病のときは王家よりも親身になってくれたぐらいだから、
国同士の争いはほとんどない。
王都周辺にも魔物は出るが、
オブライエン領に出る魔物の方が数段強いものが多く、
そのため、オブライエン領軍は魔物討伐にも長けているため軍を派遣していた。
すべて、私と王子との婚約によるもの。
でも、破棄したんですもの、いいですよね。
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