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私、ネージュ・オブライエンは先に言った通り、ライトノベルなんかによくあるいわゆる転生者だった。
一応、生まれ変わる前は一児の母で、
もうすぐおばあちゃんになれるって頃に娘と歩いていたら車が歩道に突っ込んできて。
臨月の娘を思わず突き飛ばして、
車が当たらない所までは行かせたものの、
自分は挟まれて。
頭打ったのかなんなのかはわからないけど、
すぐに意識がなくたった。

気がついたら真っ白な部屋に神を名乗るイケメンがいて。
顔は好みじゃなかったけど。
あ、私、ジャニー○みたいな中性的な男性より、アニキ!って感じの男性がタイプ。
ガテン系みたいな。
体つきもボディービルダーみたいなマッチョじゃなくて、
普段使うからマッチョになりました系がいいなぁ。
男は筋肉美、女は曲線美っていうのが私の持論(笑)。

違う違う。
私のタイプの話じゃなかった。

まぁ、神様いわく、
私は死んだと。
でも娘は無事に元気な男の子を産んだそうな。
娘の婿さんは少し遊び人みたいな雰囲気がある人だけど、
今は娘以外は用事ないっていうのが態度でわかる人だったし、
娘の話を聞く限りでは婿さんのご両親も自分たちに娘ができたーって
婿さんがすねるほどかまってくれるそうな。
うちは私の両親はすでに他界してるし、
旦那は蒸発してるし、
旦那の親は没交渉だし、
で、私だけだったんだけど、
逆になること考えたらラッキーだし、順番だな。とか思えた程度だった。

で、神様いわく
自分は地球の神様ではなく、異世界の神様で。
その異世界には神様が祝福を与えた魂の持ち主が、どうも迫害を受けているとのこと。
その祝福を与えた魂の持ち主たちを救ってほしいと。

正直、それむりーって思ったよ。
そのまま神様に救うってどういうことか、具体的な内容を聞いたところ、幸せにしてほしいと。
ふっざけんな。全然具体的じゃないじゃないか。
人が思う幸せなんて、どれが正解かなんてひとつもないでしょ?
衣食住が整っていれば必ずしも幸せってわけでもないし、
周囲の人十人中十人が不幸って思ってても、当の本人は幸せってこともある。
それに何人いるかわかんない人を全員なんてどないせいと。
てか、人ひとりができることなんて大したことできない。
やらない理由にはならないけど、
もし、もうひと人生・・・って言い方は変だけど生きるなら、
私だってまた幸せになりたいし。

え?前の人生?
幸せだったよー。
旦那は見る目がなかった自分が悪かったから、娘にはちょっとしんどい思いさせたと思うけど。
自分の親はちゃんと自分を見て育ててくれたし、
ちゃんと娘の幸せな姿は見ることできたし。
意地でも見栄でもなく、
心の底から笑って、胸を張って幸せだった、って言える人生ちゃんと送ったよ。

ありゃ、また脱線した。
とりあえず、神様からはできる限りってことで落ち着いたかな。
で、オブライエン辺境伯の長女、ネージュとして転生。
は、いいけど、生まれてすぐから前世の記憶があるなんて、
めちゃくちゃ混乱したよ。
落ち着くまでに1年。
さらにちゃんと話ができるようになるまで1年半ほどかかったかな?
その前にお母様はスフェンを授かったから、
身重のお母様に話すのはどうしようかと思ったけど、
まだまだ庇護のいる年齢だし、
お父様だけに話すのもなんか違う気がして、
二人そろって私の話を聞いてもらった。

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