23 / 36
本編
15話 両家の取り潰しを知る
しおりを挟む「はじめは彼女から君が転生者かもしれないと聞いて今回の救出作戦を立てたわけだが…まさか君が彼女の前世の友人だったとは思いもしなかったよ…」
レオナルド達は美香から『聖天使アリシア』と『クリスティアの乙女』というガルヴァンとクリスティアにある貴族の学園に関する物語があることを聞かされて知っていた。
その中でガルヴァンの公爵令嬢リリゼット・アルガリータか男爵令嬢アリシア・フィリーズのどちらかもしくは両方が転生者の可能性がありアリシアが学園に編入してから美香の指示で2人を監視していた者がいるのだという。
その者からの報告でリリゼットの方がこの世界の常識から外れた知識を持ち聞いていた物語と正反対の行動をしていたことからリリゼットが転生者なのではないかと結論が出た。
そしてこのままだとリリゼットは婚約者から婚約破棄をされ国外追放をされる可能性が高いと美香が言いリリゼットをクリスティアで保護する計画を協力者を募って立てた。
それがまさかリリゼットが冤罪で処刑宣告を受けたり美香の前世の親友だったというのは予想外だった訳だが…。
ーミカも悪役令嬢に転生したのかな…?
リリゼットが前世でプレイしたのは『聖天使アリシア』のみである。
なのでリリゼットが前世で美香から『クリスティアの乙女』に登場する攻略キャラや出演している声優、美香の推しキャラを聞いた覚えはあった。
だが、彼女が悪役令嬢リリゼットに転生してから月日が経つごとに前世の記憶が薄れてしまってきており只でさえ曖昧な記憶がより一層思い出すのが難しくなってきているのだ。
美香が『クリスティアの乙女』の登場人物の誰に転生したのかリリゼットには分からなかった…。
ヴヴヴヴッ…
突然バイブ音が聞こえた。
「俺のやつからみたいだ…」
とギルヴェルトが言うと彼は腰ポケットから手のひらに収まるサイズの少し細長い四角状のものを取り出すとそれを開いて何かを見始めた。
ーえっ、携帯電話!?しかも折り畳み式のやつ!?
ギルヴェルトが手に持っていたのはリリゼットの前世で生きていた時代では殆どが生産が終了し、年配者しか持たないような旧式の携帯電話とよく似た機種だった。
美香がこの世界で携帯電話をつくっていたのにも驚いたがギルヴェルトの口からそれ以上にとんでもない事実が告げられた。
「ガルヴァンに残してきた仲間からの連絡によると国王によりアルガリータ家とフィリーズ家双方から爵位が剥奪されたようだ」
「場合によっては取り潰されるかもしれないと彼女から聞いていたが思っていたよりも早かったな」
リリゼットの元実家は視察から帰国したガルヴァンの国王夫妻がリリゼットの冤罪事件にてアルガリータ公が彼女を陥れる発言をした件についての処分なのだろう。
何故アリシアの実家まで?と思うより先に異母弟と実の家族のようにリリゼットを育ててくれたアルガリータ家の使用人達のことがリリゼットの頭を過ぎった。
「ギルヴェルトから君が保護したいと願った者達も我が国で身の安全を確保して欲しいと連絡が来てからすぐガルヴァンへ使者を送ったから安心しろ」
今世の両親より異母弟と使用人達の安否が気になり余程今のリリゼットの顔色が悪く見えたらしい。
ガルヴァンまで使者を送り、使者が到着するまでは向こうにいる仲間が保護してくれるとレオナルドが説明してくれた。
リリゼットの今世の友人2人は来るかどうかは当人達の意思に任せられるがアルガリータ家が取り潰されれば真っ先に路頭に迷うであろう異母弟と使用人達の保護をギルヴェルトはリリゼットの依頼通り上の者に申請してくれたようだ。
「私を助けてくれただけでなくグレン達のことも本当にありがとうございます」
リリゼットはこの計画を立てた美香はこの場にいないが目の前にいるギルヴェルトとレオナルドの2人に改めて礼を言った。
「いやいや、そんなに畏まらなくても良いんだ。彼女が前世の君のことを良く口にしていたから君の助けになるようなことができて良かった」
とレオナルドが言った。
美香が前世の話をする時に綾奈に関することも良く話していたらしい。
リリゼットは戸籍をつくるために向かっている役所に着くまでの間、前世の最期のことは話さず彼女が美香のことで覚えている範囲の思い出話を2人に話していた。
そうこう話しているうちに3人が乗った馬車は貴族街にある役所に着いたのだった。
0
お気に入りに追加
2,464
あなたにおすすめの小説
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
そして乙女ゲームは始まらなかった
お好み焼き
恋愛
気付いたら9歳の悪役令嬢に転生してました。前世でプレイした乙女ゲームの悪役キャラです。悪役令嬢なのでなにか悪さをしないといけないのでしょうか?しかし私には誰かをいじめる趣味も性癖もありません。むしろ苦しんでいる人を見ると胸が重くなります。
一体私は何をしたらいいのでしょうか?
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
婚約者のいる側近と婚約させられた私は悪の聖女と呼ばれています。
鈴木べにこ
恋愛
幼い頃から一緒に育ってきた婚約者の王子ギルフォードから婚約破棄を言い渡された聖女マリーベル。
突然の出来事に困惑するマリーベルをよそに、王子は自身の代わりに側近である宰相の息子ロイドとマリーベルを王命で強制的に婚約させたと言い出したのであった。
ロイドに愛する婚約者がいるの事を知っていたマリーベルはギルフォードに王命を取り下げるように訴えるが聞いてもらえず・・・。
カクヨム、小説家になろうでも連載中。
※最初の数話はイジメ表現のようなキツイ描写が出てくるので注意。
初投稿です。
勢いで書いてるので誤字脱字や変な表現が多いし、余裕で気付かないの時があるのでお気軽に教えてくださるとありがたいです٩( 'ω' )و
気分転換もかねて、他の作品と同時連載をしています。
【書庫の幽霊王妃は、貴方を愛することができない。】
という作品も同時に書いているので、この作品が気に入りましたら是非読んでみてください。
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
断罪イベント? よろしい、受けて立ちましょう!
寿司
恋愛
イリア=クリミアはある日突然前世の記憶を取り戻す。前世の自分は入江百合香(いりえ ゆりか)という日本人で、ここは乙女ゲームの世界で、私は悪役令嬢で、そしてイリア=クリミアは1/1に起きる断罪イベントで死んでしまうということを!
記憶を取り戻すのが遅かったイリアに残された時間は2週間もない。
そんなイリアが生き残るための唯一の手段は、婚約者エドワードと、妹エミリアの浮気の証拠を掴み、逆断罪イベントを起こすこと!?
ひょんなことから出会い、自分を手助けしてくれる謎の美青年ロキに振り回されたりドキドキさせられながらも死の運命を回避するため奔走する!
◆◆
第12回恋愛小説大賞にエントリーしてます。よろしくお願い致します。
◆◆
本編はざまぁ:恋愛=7:3ぐらいになっています。
エンディング後は恋愛要素を増し増しにした物語を更新していきます。
運命の歯車が壊れるとき
和泉鷹央
恋愛
戦争に行くから、君とは結婚できない。
恋人にそう告げられた時、子爵令嬢ジゼルは運命の歯車が傾いで壊れていく音を、耳にした。
他の投稿サイトでも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる