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第17話 雷の暴君
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「コイツァ上物だぜダルゼ兄貴」
「あぁドルゾ。こんだけ上玉なら高くで売れそうだ」
「ヒヒヒヒヒヒ、たっぷり可愛がってあげるぜ嬢ちゃん達ぃ」
「さっさと運ぶぞ」
「チッ荷物が邪魔クセェな。折れた剣なんか大事に持ちやがって」
「んなもの捨てとけ」
「へいへいっと」
ハミールとレズを鮮やかな手腕で眠らせた彼らは、ドワーフの鍛冶場の裏世界で有名な人攫い”ダルドル兄弟”であった。
観光者も多いこの都市で、裏路地に入って来た無知な娘を攫っては得意先に高値で売ることを生業にしているクズ共。
油断はあれど生半可な相手では触ることも難しいハミールをたやすく捕らえることから、2人の腕はA級冒険者と遜色ないことが伺える。
しかし、彼らは悪魔の逆鱗に触れてしまったことを今はまだ知らないーーー
「もう集合時間だってのに遅いなアイツら」
「きっと時間を忘れて楽しんでおられるのでしょう」
「ハミールのことだしありえるな・・・ん?」
「いかがなさいました?主様?」
「いや、なんだか裏路地の方が騒がしいなって」
「なにかあったのでしょうか?」
「ちょっと見てくるよ、ラティーシャは待っててくれ」
「了解いたしました主様」
俺は裏路地の少し奥に行ったところに、複数の男が血のついた鞘を眺めていた。その鞘を見た瞬間、俺は最悪の事態を想像した。見間違えるはずもない、あの鞘はハミールのものだ。確かに条件は揃っている、ハミール達は腕は立つが一流の人攫い相手では隙をつかれたら可能性はある・・・。
「おい!!貸してくれ!その鞘どこで拾った?」
「なんだ?この鞘の持ち主か?これはさっき奥で拾ったんだ」
「いや、俺の連れのもんだ。返してもらえるか」
「返すも何もそこで拾ったゴミだ。いくらでもお前さんにくれてやるよ」
「ありがとよ」
俺はその男が拾った場所へ急いで向かう。その場所のすぐそばに折れた剣が落ちていた。俺の不安は的中したことを確信する。だが攫った相手が誰でどこへ向かったか・・・。悩んでる時間はねぇ!!!
「おいオヤジ!!そこで人攫いがあっただろ?この剣と鞘の持ち主だ!!誰が攫った?どこへ行った!?」
俺は人攫いがあった目の前の店の男に問い詰める。裏では人攫いなど日常茶飯事だ。
「さぁ、知らな・・・・」
ドンッッ!!!!
「金ならある。さぁ答えろ」
「ふっ。わかってるじゃねぇか。連れてったのはダルダル兄弟。ここらへんじゃ腕の立つって評判のイカれた野郎どもさ。そこの角を入ってった奴らの巣に行ったんだろう」
裏では金がものを言う。俺は迷わず金を差し出す。
「助かるぜオヤジ」
「単身で助けに行くなんてバカな真似だけは辞めとけよ、冒険者さんよ。奴らの巣だ、命がいくつあっても足りないぜ」
「警告感謝するぜ」
俺はその店を後にして一直線で奴らの巣へ向かうーーー待ってろよレズ、ハミール・・・・
「ほどけって言ってんでしょうが!!!!」
「ぐへへへへ、元気な嬢ちゃんだぜ。元気な女冒険者はマニアがいるからな、元気なままでいてくれよ?まぁ俺ら全員の相手を全員済ませて元気でいられるかな」
ガハハハハハと20名はいるであろう男共の汚い笑い声が響く。
両手両足を縄で縛られ、どこかの廃墟の大広間に壁に繋がれているハミールとレズであった。レズのバフがあれば縄など簡単に切れるが脱出出来る保証がないため動けないでいた。
「こっちのデカパイの姉ちゃんはっと・・・おぉ怖えぇ怖えぇ。すげぇ睨んできやがる笑。いつまで反抗的な目が出来るかな」
弟のドルゾはレズの胸を揉みながら、薄汚い笑みを浮かべ準備を始める。
「じゃあまずはこのクスリをっと・・・・」
もうダメだと涙を流し目を瞑るレズとハミールそこにーーー
ドゴオオオオン!!!!
騒音と共にアジトのドアが吹き飛ばされる。男達は一斉にドアの方を見る。そこには1人の男が立っていた。
「ハミール!レズ!ここにいたのか」
「なんだテメェ!?ここをどこかわかってやってんのか??」
ドルゾが吠える。
「ヒーロー気取りのバカが現れたようだな。おめぇらそこの男を捕らえろ。臓器ぐらいは売れるだろ」
ダルゼが合図をだし、バラけてた野郎共は俺を囲み始める。
「殺れ!お前r・・・・・!?」
ダルゼが号令を出そうとした瞬間、ガオの蹴りが一閃。横に居たドルゾが壁に顔から突き刺さっていた。
「俺の仲間に手ぇ出したんだ。生きて帰れると思うなよ?」
”魔術兵装[雷轟斧]”
ガオの身体に白い電気がほとばしる。
「おい!ドルゾ!!何やってんだバカやr・・・・」
ダルゼが二言目を言おうとした瞬間、次は取り巻きの三人が壁へ、床へ、天井へと吹き飛ばされる。
「俺は悪夢でも見てるのか・・・・?まさかその強さ、その姿・・・噂の”雷の暴君”ビーコムズって野郎か!!?」
「なんだその二つ名。知らねぇよ」
ダルゼもドルゾのすぐ横に殴り飛ばされ、壁に突き刺さる。そこから全員が沈むまで1分とかからなかった。俺は次関わったら、今度は全員が死ぬことをダルゼに擦り込み、巣を後にした。
「さぁ、帰るぞ」
「ガオ・・・・ガオ・・・・・ガオ・・・・うわああああん」
「ありがとうございます・・・師匠・・・・」
「俺も忠告するのを忘れて悪かった。すまないな怖い思いをさせて」
泣き出した2人を連れて俺は帰りを待つラティーシャの元へ向かうのであった。
「あぁドルゾ。こんだけ上玉なら高くで売れそうだ」
「ヒヒヒヒヒヒ、たっぷり可愛がってあげるぜ嬢ちゃん達ぃ」
「さっさと運ぶぞ」
「チッ荷物が邪魔クセェな。折れた剣なんか大事に持ちやがって」
「んなもの捨てとけ」
「へいへいっと」
ハミールとレズを鮮やかな手腕で眠らせた彼らは、ドワーフの鍛冶場の裏世界で有名な人攫い”ダルドル兄弟”であった。
観光者も多いこの都市で、裏路地に入って来た無知な娘を攫っては得意先に高値で売ることを生業にしているクズ共。
油断はあれど生半可な相手では触ることも難しいハミールをたやすく捕らえることから、2人の腕はA級冒険者と遜色ないことが伺える。
しかし、彼らは悪魔の逆鱗に触れてしまったことを今はまだ知らないーーー
「もう集合時間だってのに遅いなアイツら」
「きっと時間を忘れて楽しんでおられるのでしょう」
「ハミールのことだしありえるな・・・ん?」
「いかがなさいました?主様?」
「いや、なんだか裏路地の方が騒がしいなって」
「なにかあったのでしょうか?」
「ちょっと見てくるよ、ラティーシャは待っててくれ」
「了解いたしました主様」
俺は裏路地の少し奥に行ったところに、複数の男が血のついた鞘を眺めていた。その鞘を見た瞬間、俺は最悪の事態を想像した。見間違えるはずもない、あの鞘はハミールのものだ。確かに条件は揃っている、ハミール達は腕は立つが一流の人攫い相手では隙をつかれたら可能性はある・・・。
「おい!!貸してくれ!その鞘どこで拾った?」
「なんだ?この鞘の持ち主か?これはさっき奥で拾ったんだ」
「いや、俺の連れのもんだ。返してもらえるか」
「返すも何もそこで拾ったゴミだ。いくらでもお前さんにくれてやるよ」
「ありがとよ」
俺はその男が拾った場所へ急いで向かう。その場所のすぐそばに折れた剣が落ちていた。俺の不安は的中したことを確信する。だが攫った相手が誰でどこへ向かったか・・・。悩んでる時間はねぇ!!!
「おいオヤジ!!そこで人攫いがあっただろ?この剣と鞘の持ち主だ!!誰が攫った?どこへ行った!?」
俺は人攫いがあった目の前の店の男に問い詰める。裏では人攫いなど日常茶飯事だ。
「さぁ、知らな・・・・」
ドンッッ!!!!
「金ならある。さぁ答えろ」
「ふっ。わかってるじゃねぇか。連れてったのはダルダル兄弟。ここらへんじゃ腕の立つって評判のイカれた野郎どもさ。そこの角を入ってった奴らの巣に行ったんだろう」
裏では金がものを言う。俺は迷わず金を差し出す。
「助かるぜオヤジ」
「単身で助けに行くなんてバカな真似だけは辞めとけよ、冒険者さんよ。奴らの巣だ、命がいくつあっても足りないぜ」
「警告感謝するぜ」
俺はその店を後にして一直線で奴らの巣へ向かうーーー待ってろよレズ、ハミール・・・・
「ほどけって言ってんでしょうが!!!!」
「ぐへへへへ、元気な嬢ちゃんだぜ。元気な女冒険者はマニアがいるからな、元気なままでいてくれよ?まぁ俺ら全員の相手を全員済ませて元気でいられるかな」
ガハハハハハと20名はいるであろう男共の汚い笑い声が響く。
両手両足を縄で縛られ、どこかの廃墟の大広間に壁に繋がれているハミールとレズであった。レズのバフがあれば縄など簡単に切れるが脱出出来る保証がないため動けないでいた。
「こっちのデカパイの姉ちゃんはっと・・・おぉ怖えぇ怖えぇ。すげぇ睨んできやがる笑。いつまで反抗的な目が出来るかな」
弟のドルゾはレズの胸を揉みながら、薄汚い笑みを浮かべ準備を始める。
「じゃあまずはこのクスリをっと・・・・」
もうダメだと涙を流し目を瞑るレズとハミールそこにーーー
ドゴオオオオン!!!!
騒音と共にアジトのドアが吹き飛ばされる。男達は一斉にドアの方を見る。そこには1人の男が立っていた。
「ハミール!レズ!ここにいたのか」
「なんだテメェ!?ここをどこかわかってやってんのか??」
ドルゾが吠える。
「ヒーロー気取りのバカが現れたようだな。おめぇらそこの男を捕らえろ。臓器ぐらいは売れるだろ」
ダルゼが合図をだし、バラけてた野郎共は俺を囲み始める。
「殺れ!お前r・・・・・!?」
ダルゼが号令を出そうとした瞬間、ガオの蹴りが一閃。横に居たドルゾが壁に顔から突き刺さっていた。
「俺の仲間に手ぇ出したんだ。生きて帰れると思うなよ?」
”魔術兵装[雷轟斧]”
ガオの身体に白い電気がほとばしる。
「おい!ドルゾ!!何やってんだバカやr・・・・」
ダルゼが二言目を言おうとした瞬間、次は取り巻きの三人が壁へ、床へ、天井へと吹き飛ばされる。
「俺は悪夢でも見てるのか・・・・?まさかその強さ、その姿・・・噂の”雷の暴君”ビーコムズって野郎か!!?」
「なんだその二つ名。知らねぇよ」
ダルゼもドルゾのすぐ横に殴り飛ばされ、壁に突き刺さる。そこから全員が沈むまで1分とかからなかった。俺は次関わったら、今度は全員が死ぬことをダルゼに擦り込み、巣を後にした。
「さぁ、帰るぞ」
「ガオ・・・・ガオ・・・・・ガオ・・・・うわああああん」
「ありがとうございます・・・師匠・・・・」
「俺も忠告するのを忘れて悪かった。すまないな怖い思いをさせて」
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