9 / 42
第9話 かつてエルフの村だったもの
しおりを挟む
新米パーティー”オーバーテイカー”が初めてのクエスト「ジャイアントグリズリー討伐」のためにエルフの森にやってきた。が、森の入り口でガオは足を止める。
「おかしい・・・・」
「一体どうしたというのですガオ師匠?」
「いや、本来エルフの森の入り口は厳重な結界がある。今はその結界が酷く脆い。それに門番もいるはずなんだが、誰もいない」
「なにかあったのかしら・・・・というか目に見えない結界をどうやって見てるのよ・・・・」
「結界というより魔素の流れを見ている。多分今のレズならわかるはずだ。場所ごとに薄かったり濃かったり」
「あら、ホントですわ」
「レズも見れるんだ・・・」
「とにかく村の方に行ってみよう」
「えぇ」
「はい」
村に向かう道中さえも人っ子ひとり、いや、エルフっ子ひとりも見当たらない。不気味なほど静まった森を進んでいき村へ着く。
「おい・・・・なんだよコレ・・・・」
「酷い・・・・」
「村が・・・・」
村に着くと、そこにはかつて家であったであろう木々の残骸と廃墟の光景が広がっていた。
半分は黒く焼け焦げて炭となっており、ただ事ではないと誰の目から見ても明らかであった。
三人は生存者がいないかも含め村であった箇所を散策する。
「見て!あそこに1人女の子がいるわ!」
ハミールが指差した先にポツンと佇む1人のエルフがいた。
「おい!大丈夫か!?」
「・・・・・げください」
「え?」
「お逃げください冒険者様・・・・もう、人が死ぬのを見るのは沢山です・・・・」
ポツリと呟き、そのエルフの少女はとぼとぼと歩き出す。
「待て!!どこへ行く!何があった!?」
俺は彼女の肩を引き寄せ、こちらを向かせる。自分に向いた彼女の顔は酷く怯えているように見えた。
「ドラゴンが出たのです・・・・」
「ドラゴン!?魔法の扱いに長けたエルフの住む村でこの被害ってことは・・・・古龍種か」
「わかりません・・・ただ途轍もない体躯と無限とすら思える魔力量に為す術もなく村は蹂躙されました。男の方々は村を守るために戦い命を落とし、女性や子供は森から出て行きました」
「君は何故ここに?」
「私はドラゴンの姿を見て腰を抜かし、逃げることすら叶いませんでした。ここで死ぬのかと思いましたが、そのドラゴンに世話係として私だけ生かされて・・・」
「なるほど・・・って待て、そのドラゴンは人語も喋ったのか!?」
「はい。今は森の奥にて眠っていらっしゃいます」
「今回は相当やべぇ相手だな」
「お辞めください冒険者様!!もう・・・・もう目の前で人が死ぬのは・・・・」
エルフの少女はポロポロと泣き出す。たった1人で死と隣り合わせの生活をして、今にでも助けを求めたいはずなのに。決して助けてとは言わず、「逃げて」という彼女をほっとくことなど・・・俺には出来ない!!
俺は彼女の涙をそっと指で拭き取り
「安心しろ。おまえの悪夢、俺が断ち斬ってやる」
目の前のエルフ少女を救うため、俺は森の奥へと歩き出す。
「おかしい・・・・」
「一体どうしたというのですガオ師匠?」
「いや、本来エルフの森の入り口は厳重な結界がある。今はその結界が酷く脆い。それに門番もいるはずなんだが、誰もいない」
「なにかあったのかしら・・・・というか目に見えない結界をどうやって見てるのよ・・・・」
「結界というより魔素の流れを見ている。多分今のレズならわかるはずだ。場所ごとに薄かったり濃かったり」
「あら、ホントですわ」
「レズも見れるんだ・・・」
「とにかく村の方に行ってみよう」
「えぇ」
「はい」
村に向かう道中さえも人っ子ひとり、いや、エルフっ子ひとりも見当たらない。不気味なほど静まった森を進んでいき村へ着く。
「おい・・・・なんだよコレ・・・・」
「酷い・・・・」
「村が・・・・」
村に着くと、そこにはかつて家であったであろう木々の残骸と廃墟の光景が広がっていた。
半分は黒く焼け焦げて炭となっており、ただ事ではないと誰の目から見ても明らかであった。
三人は生存者がいないかも含め村であった箇所を散策する。
「見て!あそこに1人女の子がいるわ!」
ハミールが指差した先にポツンと佇む1人のエルフがいた。
「おい!大丈夫か!?」
「・・・・・げください」
「え?」
「お逃げください冒険者様・・・・もう、人が死ぬのを見るのは沢山です・・・・」
ポツリと呟き、そのエルフの少女はとぼとぼと歩き出す。
「待て!!どこへ行く!何があった!?」
俺は彼女の肩を引き寄せ、こちらを向かせる。自分に向いた彼女の顔は酷く怯えているように見えた。
「ドラゴンが出たのです・・・・」
「ドラゴン!?魔法の扱いに長けたエルフの住む村でこの被害ってことは・・・・古龍種か」
「わかりません・・・ただ途轍もない体躯と無限とすら思える魔力量に為す術もなく村は蹂躙されました。男の方々は村を守るために戦い命を落とし、女性や子供は森から出て行きました」
「君は何故ここに?」
「私はドラゴンの姿を見て腰を抜かし、逃げることすら叶いませんでした。ここで死ぬのかと思いましたが、そのドラゴンに世話係として私だけ生かされて・・・」
「なるほど・・・って待て、そのドラゴンは人語も喋ったのか!?」
「はい。今は森の奥にて眠っていらっしゃいます」
「今回は相当やべぇ相手だな」
「お辞めください冒険者様!!もう・・・・もう目の前で人が死ぬのは・・・・」
エルフの少女はポロポロと泣き出す。たった1人で死と隣り合わせの生活をして、今にでも助けを求めたいはずなのに。決して助けてとは言わず、「逃げて」という彼女をほっとくことなど・・・俺には出来ない!!
俺は彼女の涙をそっと指で拭き取り
「安心しろ。おまえの悪夢、俺が断ち斬ってやる」
目の前のエルフ少女を救うため、俺は森の奥へと歩き出す。
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
前世変態学生が転生し美麗令嬢に~4人の王族兄弟に淫乱メス化させられる
KUMA
恋愛
変態学生の立花律は交通事故にあい気付くと幼女になっていた。
城からは逃げ出せず次々と自分の事が好きだと言う王太子と王子達の4人兄弟に襲われ続け次第に男だった律は女の子の快感にはまる。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる