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さわこさんと、秋のジャッケ その3
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無茶苦茶にトランペットを吹き鳴らしまくっているような音が聞こえてくる方へ移動しいていった私達なのですが……近づくにつれて音がとってもすごいことになってきています。
「何、これ……防音魔法を使ってるってのに……」
先頭で魔法を展開しているバテアさんも目を丸くなさっておられます。
荷車の周囲を併走していたベル達も、その異常さにびっくりしてしまい、
「さーちゃん怖いニャ」
「さわこ、何なのあれは!?」
「わ、妾も初体験なのじゃ」
と、私にしがみついて震えています。
シロだけは、リンシンさんに抱っこされているんですけどね。
荷車を引っ張ってくださっている白銀狐の皆さんも、その音のせいで徐々に走る速度が落ちています。
「仕方ないわね、ここからは歩いていきましょうか」
「……うん、それしかなさそう」
バテアさんとリンシンさんの提案で、白銀狐の皆さんにはここで荷車を見張ってもらうことにして、私達は川沿いを歩いて降っていきました。
それから30分くらいでしょうか……
両手で耳を塞ぎながら川縁を下っていった私達の前に、それが出現しました。
「……う、うわぁ……」
その光景を前にして、私は目を丸くしてしまいました。
そこは、大きく切り立った崖の横を川が流れている場所なのですが……その崖が崩れていたんです。
そのせいで、川の大半がせき止められていまして、川の水はその土砂を迂回するようにして流れています。
ジャッケ達は迂回している川を遡上しようとして、そこに殺到しているのですが……土砂崩れのせいで出来た流れなものですから水深が浅いため、とんでもない量のジャッケが進むことも戻ることも出来なくなって、その場に打ち上げられたようになっていたんです。
そして、身動き出来なくなっているジャッケを狙って、かなりの数の古代怪獣族の魔獣達が群れをなしていたんです。
「……あ~……ここでジャッケがせき止められてたってことかぁ」
「みたいですねぇ」
その光景を見つめながら、私とバテアさんは思わず苦笑してしまいました。
正確には苦笑することしか出来なくなったわけなんですけど……
「でも……どうしましょう……ジャッケを狩ろうと思ったら、あの土砂をどうにかしないといけませんけど……古代怪獣族の皆さんがあんなにおられるとなると、作業を行うのが困難といいますか……」
「そうねぇ……それに、トツノコンベ的にも、このままジャッケが遡上してこないのなら、むしろありがたいかもだし……」
そんな会話を交わしながら顔を見合わせる私とバテアさん。
その時、私の手をベルが引っ張りました。
「ニャ、あの古代怪獣族のみんなも困ってるニャ」
「困ってる?」
「ニャ、『こいつらうるせぇ!』『こいつらのせいで寝られやしねぇ』『食っても食ってもすぐ次がやってきやがる』って言ってるニャ」
牙猫族という古代怪獣族のベルだけに、古代怪獣族の皆さんの会話を理解出来たみたいなのですが……
「そっか……やっぱり古代怪獣族の皆さんでも、ジャッケの音は耐えかねるんだ」
バテアさんの防音魔法の中ですらこんなにうるさいわけですものね……私は、大きく頷きました。
バテアさんも、そんな私と一緒に頷いておられます。
「そうねぇ……それに、ここでジャッケがせき止められちゃったら、トツノコンベの北方の魔獣達の餌が無くなっちゃって、旅人や行商人を襲いかねないし……しょうがない、なんとかするか」
そう言うと、バテアさんは腰につけている魔法袋の中から魔石をいくつか取り出しました。
「バテアさん、その赤い魔石をどうなさるんですか? お店では見かけたことがないように思うのですが……」
「これはね、爆裂魔石っていって、岩盤を破壊したりするのに使うのよ……まぁ、悪いことに使用する奴もいるから、店頭には置いてないのよ」
そう言いながら詠唱するバテアさん。
すると、魔石がゆっくりと宙に浮かんでいきまして、そのまま川をせき止めている岩石の方へ移動していきましす。
「ベル、古代怪獣族達に、そこから離れるように言ってくれる?」
「わかったばーあーちゃん!」
「だから、その呼び方は……はぁ、もういいわ、好きに呼びなさい」
あきらめ顔でため息をついているバテアさん。
その様子に思わず苦笑してしまった私達です。
そんな中、一歩前に出たベルが、
ウミャーウミャミャミャミャミャミャミャミャ!
すごい大きな鳴き声をあげました。
いつもの言葉ではなく、完全に動物の鳴き声……ただし、とっても可愛い感じの鳴き声です。
ジャッケの大音量にかき消されないように、その声をバテアさんが拡声してくださっています。
どうやら、その声が聞こえたみたいですね。
すぐに古代怪獣族の皆さんが後方へ下がってくださいました。
それを確認したバテアさんが、赤い魔石を川を塞いでいる岩石にぶつけると、
ドッカーン
すっごい爆音とともに、周囲が煙に包まれました。
魔石が爆発したのは理解出来たのですが、煙のせいで全く何も見えません。
「アタシがもうちょっと攻撃系の魔法に詳しければ魔石に頼らなくてもよかったんだけどねぇ……」
自嘲気味に笑いながらそんなことを言われているバテアさんですが……煙が晴れたあとを見た私は唖然としてしまいました。
先ほどまで川を塞いでいた岩石がすべてなくなっていたのです。
同時に、それまでせき止められていた川の水が迂回路から通常の流れに戻っています。
そこを、ジャッケ達がすごい勢いで遡上しはじめました。
爆風で岩石部分に殺到していた大半のジャッケが吹き飛ばされていたのですが、その後方につっかえていたジャッケの大群が、まってましたとばかりに北へ北へと向かっています。
「た、確かに……こんな強力な破壊力を持った魔石は、簡単にはお売りできませんね……」
「まぁ、そういうことなんだけど……」
私の言葉に頷いたバテアさんなのですが、その視線は遡上していくジャッケの群れに注がれていました。
防音魔法の中からでも耳を覆いたくなる程の大音量を響かせながらジャッケ達はトツノコンベへ向かって遡上しています。
「……この分だと、しばらく街がうるさくて仕方ないわね」
「……ですねぇ」
思わず苦笑することしか出来なかった私とバテアさん。
そんな私達は、爆発で吹き飛んだジャッケを、食べられそうな物は回収し、食べられそうにない物はバテアさんの火炎魔法で焼却しておきました。
「このまま放置してたら腐ってデパ熱の温床になりかねないからね」
「デパ熱って、確か腐った肉の中で繁殖するウイルスでしたよね」
「そうなのよ。森の中で感染して発症しちゃったら、身動き出来なくなっちゃうからね、そういった危険は未然に防いでおかないとね」
そんなわけで、私達はみんなでジャッケの死骸を集めては、バテアさんの魔法で焼却する作業を半日かけておこなっていきました。
◇◇
帰りの荷車の中。
「これで、今年の初物としてジャッケをお店でお出し出来ます」
思わず笑顔の私。
「さわこさぁ、別に去年のジャッケを出してもいいんじゃないの? 魔法袋に保存してるんだし、新鮮なままの状態なんだしさ」
不思議そうな表情で首をかしげるバテアさん。
ですが、そんなバテアさんに、私は首を左右に振りました。
「確かにそうなのですが……でも、嘘はつきたくないんです。初物として提供する以上は、やっぱり今年はじめて取れた物を皆様に提供させていただいて、喜んで頂きたいんです」
笑顔で私がそう言うと、バテアさんも笑顔で頷いてくださいました。
「なるほどね。確かにさわこらしいわね」
そんな私達を乗せた荷車は、白銀狐の皆さんに引かれながらトツノコンベへ向かって走り続けていました。
帰りは、バテアさんの転移魔法ですぐに戻っても良かったのですが、ジャッケ達の遡上具合を確認しながら帰宅している次第です。
さて、お店に戻ったら早速ジャッケの下ごしらえをしないといけませんね。
ーつづく
「何、これ……防音魔法を使ってるってのに……」
先頭で魔法を展開しているバテアさんも目を丸くなさっておられます。
荷車の周囲を併走していたベル達も、その異常さにびっくりしてしまい、
「さーちゃん怖いニャ」
「さわこ、何なのあれは!?」
「わ、妾も初体験なのじゃ」
と、私にしがみついて震えています。
シロだけは、リンシンさんに抱っこされているんですけどね。
荷車を引っ張ってくださっている白銀狐の皆さんも、その音のせいで徐々に走る速度が落ちています。
「仕方ないわね、ここからは歩いていきましょうか」
「……うん、それしかなさそう」
バテアさんとリンシンさんの提案で、白銀狐の皆さんにはここで荷車を見張ってもらうことにして、私達は川沿いを歩いて降っていきました。
それから30分くらいでしょうか……
両手で耳を塞ぎながら川縁を下っていった私達の前に、それが出現しました。
「……う、うわぁ……」
その光景を前にして、私は目を丸くしてしまいました。
そこは、大きく切り立った崖の横を川が流れている場所なのですが……その崖が崩れていたんです。
そのせいで、川の大半がせき止められていまして、川の水はその土砂を迂回するようにして流れています。
ジャッケ達は迂回している川を遡上しようとして、そこに殺到しているのですが……土砂崩れのせいで出来た流れなものですから水深が浅いため、とんでもない量のジャッケが進むことも戻ることも出来なくなって、その場に打ち上げられたようになっていたんです。
そして、身動き出来なくなっているジャッケを狙って、かなりの数の古代怪獣族の魔獣達が群れをなしていたんです。
「……あ~……ここでジャッケがせき止められてたってことかぁ」
「みたいですねぇ」
その光景を見つめながら、私とバテアさんは思わず苦笑してしまいました。
正確には苦笑することしか出来なくなったわけなんですけど……
「でも……どうしましょう……ジャッケを狩ろうと思ったら、あの土砂をどうにかしないといけませんけど……古代怪獣族の皆さんがあんなにおられるとなると、作業を行うのが困難といいますか……」
「そうねぇ……それに、トツノコンベ的にも、このままジャッケが遡上してこないのなら、むしろありがたいかもだし……」
そんな会話を交わしながら顔を見合わせる私とバテアさん。
その時、私の手をベルが引っ張りました。
「ニャ、あの古代怪獣族のみんなも困ってるニャ」
「困ってる?」
「ニャ、『こいつらうるせぇ!』『こいつらのせいで寝られやしねぇ』『食っても食ってもすぐ次がやってきやがる』って言ってるニャ」
牙猫族という古代怪獣族のベルだけに、古代怪獣族の皆さんの会話を理解出来たみたいなのですが……
「そっか……やっぱり古代怪獣族の皆さんでも、ジャッケの音は耐えかねるんだ」
バテアさんの防音魔法の中ですらこんなにうるさいわけですものね……私は、大きく頷きました。
バテアさんも、そんな私と一緒に頷いておられます。
「そうねぇ……それに、ここでジャッケがせき止められちゃったら、トツノコンベの北方の魔獣達の餌が無くなっちゃって、旅人や行商人を襲いかねないし……しょうがない、なんとかするか」
そう言うと、バテアさんは腰につけている魔法袋の中から魔石をいくつか取り出しました。
「バテアさん、その赤い魔石をどうなさるんですか? お店では見かけたことがないように思うのですが……」
「これはね、爆裂魔石っていって、岩盤を破壊したりするのに使うのよ……まぁ、悪いことに使用する奴もいるから、店頭には置いてないのよ」
そう言いながら詠唱するバテアさん。
すると、魔石がゆっくりと宙に浮かんでいきまして、そのまま川をせき止めている岩石の方へ移動していきましす。
「ベル、古代怪獣族達に、そこから離れるように言ってくれる?」
「わかったばーあーちゃん!」
「だから、その呼び方は……はぁ、もういいわ、好きに呼びなさい」
あきらめ顔でため息をついているバテアさん。
その様子に思わず苦笑してしまった私達です。
そんな中、一歩前に出たベルが、
ウミャーウミャミャミャミャミャミャミャミャ!
すごい大きな鳴き声をあげました。
いつもの言葉ではなく、完全に動物の鳴き声……ただし、とっても可愛い感じの鳴き声です。
ジャッケの大音量にかき消されないように、その声をバテアさんが拡声してくださっています。
どうやら、その声が聞こえたみたいですね。
すぐに古代怪獣族の皆さんが後方へ下がってくださいました。
それを確認したバテアさんが、赤い魔石を川を塞いでいる岩石にぶつけると、
ドッカーン
すっごい爆音とともに、周囲が煙に包まれました。
魔石が爆発したのは理解出来たのですが、煙のせいで全く何も見えません。
「アタシがもうちょっと攻撃系の魔法に詳しければ魔石に頼らなくてもよかったんだけどねぇ……」
自嘲気味に笑いながらそんなことを言われているバテアさんですが……煙が晴れたあとを見た私は唖然としてしまいました。
先ほどまで川を塞いでいた岩石がすべてなくなっていたのです。
同時に、それまでせき止められていた川の水が迂回路から通常の流れに戻っています。
そこを、ジャッケ達がすごい勢いで遡上しはじめました。
爆風で岩石部分に殺到していた大半のジャッケが吹き飛ばされていたのですが、その後方につっかえていたジャッケの大群が、まってましたとばかりに北へ北へと向かっています。
「た、確かに……こんな強力な破壊力を持った魔石は、簡単にはお売りできませんね……」
「まぁ、そういうことなんだけど……」
私の言葉に頷いたバテアさんなのですが、その視線は遡上していくジャッケの群れに注がれていました。
防音魔法の中からでも耳を覆いたくなる程の大音量を響かせながらジャッケ達はトツノコンベへ向かって遡上しています。
「……この分だと、しばらく街がうるさくて仕方ないわね」
「……ですねぇ」
思わず苦笑することしか出来なかった私とバテアさん。
そんな私達は、爆発で吹き飛んだジャッケを、食べられそうな物は回収し、食べられそうにない物はバテアさんの火炎魔法で焼却しておきました。
「このまま放置してたら腐ってデパ熱の温床になりかねないからね」
「デパ熱って、確か腐った肉の中で繁殖するウイルスでしたよね」
「そうなのよ。森の中で感染して発症しちゃったら、身動き出来なくなっちゃうからね、そういった危険は未然に防いでおかないとね」
そんなわけで、私達はみんなでジャッケの死骸を集めては、バテアさんの魔法で焼却する作業を半日かけておこなっていきました。
◇◇
帰りの荷車の中。
「これで、今年の初物としてジャッケをお店でお出し出来ます」
思わず笑顔の私。
「さわこさぁ、別に去年のジャッケを出してもいいんじゃないの? 魔法袋に保存してるんだし、新鮮なままの状態なんだしさ」
不思議そうな表情で首をかしげるバテアさん。
ですが、そんなバテアさんに、私は首を左右に振りました。
「確かにそうなのですが……でも、嘘はつきたくないんです。初物として提供する以上は、やっぱり今年はじめて取れた物を皆様に提供させていただいて、喜んで頂きたいんです」
笑顔で私がそう言うと、バテアさんも笑顔で頷いてくださいました。
「なるほどね。確かにさわこらしいわね」
そんな私達を乗せた荷車は、白銀狐の皆さんに引かれながらトツノコンベへ向かって走り続けていました。
帰りは、バテアさんの転移魔法ですぐに戻っても良かったのですが、ジャッケ達の遡上具合を確認しながら帰宅している次第です。
さて、お店に戻ったら早速ジャッケの下ごしらえをしないといけませんね。
ーつづく
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