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エピローグ そして家族になってゆく
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「まま、どーなちゅのね」
「はいはいドーナツヘアね。かしこまり~」
デニスの家に住むようになって、朝の支度時間にかなりの余裕が出来た。
ドゥーサが朝食の仕度と後片付けをしてくれるので、シュシュと一緒にゆっくりと朝ごはんを食べてからこうやって“今日のヘアスタイル”をセット出来るようになった。
ドーナツヘアとは、ツインテールを三つ編みにしてそれをドーナツのように輪っかにするヘアスタイルだ。
このヘアスタイルをご所望の時、シュシュは大抵ドーナツを食べたいと思っているらしい。
なので次のお休みの日はドーナツを作ってあげようとウェンディは思った。
ドゥーサがシュシュの頭を見て微笑んだ。
「なんてお可愛らしい髪型なんでしょう。シュシュお嬢様はオシャレさんですねぇ」
今日はシャレっ気よりも食い気が勝っているようだが。
「どーなちゅ!」
シュシュが得意気に言う。
「とってもよくお似合いですよ」
ドゥーサに褒めて貰えてシュシュは嬉しそうだ。
そしてデニスとクルトの元へと駆け寄った。
「くゆと、ぱぱ、どーなちゅ」
二人にも褒めて貰いたいのだろう、髪型を見せるシュシュにデニスが言った。
「なんて可愛くて美味しそうなドーナツなんだ。思わず食べてしまいたくなるよ」
「シュシュはどんなヘアスタイルもにあうね」
男二人は小さな令嬢にも賛辞を惜しまない。
「今日はドーナツをお土産に買って帰って来よう」
とデニスが言うと子どもたちは喜んだ。
どんなドーナツが良いかをシュシュとクルトに聞いているデニスをウェンディは眺めている。
昨日は本当に色んな事があった。
びっくりした事も嬉しかった事も。
そして昨日のデニスはウェンディも初めてみるような表情をしていた。
相手を容赦なく突き放し、冷淡な人間ようでもあった。
自分がクビになったのをウェンディの所為だと難癖を付け、尚且つウェンディをコブ付き女と称した時にデニスが来たのだ。
凄みのある声で「誰がコブ付き女だと……?」と言いながら。
バート嬢はそんなデニスに一瞬怯むも、これをチャンスと取ったのか急に媚びを売るような眼差しと猫撫で声を上げてデニスに言った。
「ベイカー卿、もうお会い出来ないのではないかと悲しんでおりましたのに、こうやってまたお会いして本当に嬉しいですわ」
「……あなたは暇を出されたのだ、それなのによくまた王宮に顔が出せましたね」
「だって……私、ベイカー卿がその女に騙されているのが見ていられなくて……」
「ほう?私が何を騙されていると言うのです?」
デニスが問うとバート嬢はウェンディを睨め付けながら言った。
「その女、既に子持ちですのよっ!王宮に勤め出してまだ日が浅いからベイカー卿がご存知ないのも仕方ありませんが、私が独自に調べあげましたところ子どもがいると分かりましたの!それなのにベイカー卿に擦り寄るなんて……なんて厚顔無恥なコブ付き女なんでしょう!」
そのバート嬢の言葉を受け、ウェンディはデニスを仰ぎ見た。
「と、仰ってますよ?コブの製造元さん」
デニスは呆れ顔で答える。
「厚顔無恥はどっちだ……まったく度し難いな……」
「え?」
ウェンディとデニスのやり取りにバート嬢はきょとんとした。
デニスがバート嬢にきっぱりと告げる。
「あなたの言う独自の調べというのは本当に独自のようだな。彼女をコブ付きと称したその小さくて可愛い“コブ”の父親は私だ」
「えっ?だ、だって……ベイカー卿は独身じゃ……」
「私の所為で彼女には苦労を強いてしまい今はこんな現状だが、それをあなたに話す義理はない。私は今、必死に彼女を口説き落とそうとしている最中なんだ。それなのに勝手に勘違いをしていつまでも周りをチョロチョロされたら迷惑だ、失せろ」
「なっ…?ひ、酷いわっ、私はただっ!」
「ただなんだ?相手を無視し、自分の気持ちだけを押し付け優先するあなたが何だというのだ?これ以上私達に付き纏うなら、それ相応の法的処置を取らせて貰う。あぁでも既に他のご令嬢から名誉毀損で訴えられているのだったな。それと更に彼女に暴言を放った訴訟も付け足させて貰おう」
「そんなっ!!困るわっ!許して!」
バート嬢は顔色を真っ青にして言った。
「自分の置かれている現状もわからないような奴に温情をかける必要はない。これ以上訴訟内容を書き足されたくなければさっさと失せろ」
「な、何よっ!!あなたみたいな怖い人、こっちから願い下げよっ!」
とそう言いながらバート嬢は慌てて逃げ去った。
途中何度も転んでドレスを泥だらけにしながら。
ウェンディはその一部始終を呆れながら見つめていた。
「あの人……ある意味凄い人ね……あくまでも自分本位なんだわ……」
そして恋人時代を通しても見た事のない、デニスの硬質で冷たい一面を垣間見て少し驚いていたのだ。
デニスはウェンディに向き直り、別人のように情けない顔をして言った。
「すまないウェンディ。俺が変なのに気に入られた所為でキミに嫌な思いをさせてしまった。キミにだけ俺との関係を匂わせるような話を聞かせるようにしたと知り、すぐに強制排除したがまさか言い掛かりを付けに戻ってくるとは……詰めが甘かった。本当にごめん」
「私の耳にだけって……どうしてそれを知ったの?」
「熱に浮かされたキミが夢現で言ったんだよ。それで色々と調べて露見した。後は王子殿下に報告して協力を願い出た」
「あなた、王子殿下に協力させ過ぎじゃない?」
「良いんだ、学生時代に彼の面倒事を何度も片付けた貸しを返して貰ってるだけだ。それに貸しはもう一つあって、それも返して貰える事になった」
「え?何?」
ウェンディが訊ねるとデニスはウェンディの両手を取った。
「デニス?」
「ウェンディ。先日キミに話した俺の気持ちは本物だ。本心で本当の、今も昔も変わらないキミへの想いだ。一度は別れを告げたけど、キミへの想いだけは消える事などなかった。それだけは信じて欲しい」
「………」
「本当に今さらでごめん。でもやはりどうしても諦められないんだ。キミは俺を許さなくていい、一生罵ってくれていい。俺にそれを償いながらキミとシュシュを幸せにする権利を与えて欲しいんだ」
迷いなく真っ直ぐ見つめてくる瞳に、迷いは一切感じられなかった。
迷いに揺れているのはウェンディの方だ。
ウェンディは声を押し出すように告げた。
「……でも……やはり無理よ……だってあなたは貴族で、わたしは平民よ……前だって、それで別れたんじゃない」
「それなら問題ない。第二王子に借りを返して貰うもう一つの事がこれだ。俺は当然シュシュを我が子として認知する。シュシュはベイカー子爵家の娘だ。そしてその生母であるキミとの婚姻の許可を王子殿下を通して貴族院に認めさせた。キミを王宮の文官に紹介してくれたかつての上司である男爵夫妻がキミの後見人となってくれたのも大きい。必要とあらば養子縁組しても良いとまで言ってくれたよ」
「え?ええっ!?いつの間にそんなっ!?」
ウェンディは驚き過ぎて思わず大声を発してしまった。
だけどそれくらいは許して欲しい。
だって本当に驚いたのだから。
「ウェンディ……頼む、頼む。どうか俺をキミとシュシュの家族にして欲しい。愛してるんだ、キミとシュシュを。もうどうしたって手放してやれないっ……」
デニスの瞳から涙が一粒零れ落ちた。
「……男の人の涙って初めて見たわ……」
そう言いながらウェンディは優しくデニスの目元に触れた。
デニスは目を閉じてそれを受け入れている。
「キミは知らないだろうけど、俺は結構泣き虫なんだよ」
「うそ。いつも堂々と、貴族然としているあなたが?」
「本当だよ。キミと別れた時はしばらく一人隠れて泣いていた。そして実はシュシュと初めて会った日の夜もこっそり泣いたんだ」
「本当に?」
「ああ。いつだって俺の心を揺さぶるのウェンディ、キミだよ。そして今はシュシュもそうだな」
「デニス……」
「ウェンディ……どうか、どうか」
デニスは目を閉じたまま静かに懇願する。
かつて別れを告げられた時、ウェンディも散々泣いた。
泣いて泣いて、泣き尽くした時にシュシュの存在を知った。
その時、同じようにデニスも泣いていたのかと思うと切なくなった。
デニスは一人で泣き続けたのだろう。
挙げ句領地領民を失い父も失った。
その中でクルトを得た救いもあっただろうが、失ったものの多さに涙した日はデニスの方が多いのだろう。
ウェンディも目を閉じる。
瞼の裏にはかつての自分。
もういい、もういいよと言う自分がいる。
そして最愛の娘の笑顔が。
娘が成長してゆく喜びを、父親である彼と共に分かち合いたいと心から思った。
ウェンディは目を開ける。
「デニス」
名を呼ばれ、デニスも目を開けようとしたその時、
唇に温かさを感じた。
懐かしくて堪らない、一日だって忘れた事のない温もりだ。
ウェンディから重ねられたその口づけが彼女からの答えだとデニスには分かった。
一瞬唇を離し、すぐにまた重ねる。
今度はデニスから。
触れるだけの、啄むような優しい口づけを何度も。
やがて唇が離れ、互いの顔を見つめ合う。
ウェンディは思わず微笑んだ。
「ふふ。デニス、あなたなんて表情をしてるの」
「だって、だってだな……」
「分かってるわ」
ウェンディはそう言ってもう一度、つま先立ってデニスに口づけをした。
ウェンディとデニス、二人がもう一度やり直すと決めたその夜。
デニスはシュシュに言った。
クルトは今夜はお友達の家でのお泊まり会だ。
「シュシュ、お話があるんだ。パパのお膝に乗ってくれるかい?」
ぬいぐるみで遊んでいたシュシュは少し考えて、こくんと頷いた。
デニスは嬉しそうに微笑んでシュシュを抱き上げソファーに座り膝の上に座らせた。
「今まで一緒に暮らせなくてごめんな。これからはずっと、パパはシュシュのパパで、シュシュと一緒にいると約束するよ。どうかパパをシュシュのパパにしてくれるかい?」
二歳の子にどこまで理解出来るかなんて分からない。
でも子供は子供なりにちゃんと分かってくれるのではないかと考え、デニスはシュシュに話をした。
たとえ分からなくてもいい。
シュシュと一緒にいたいという気持ちが伝わればそれでいいのだ。
シュシュはじっとデニスの顔を見て、そして言った。
「ぱぱいっちょ?」
「ああ。ずっと一緒だ」
「くゆといっちょ?」
「もちろん、クルトもずっと一緒だよ」
「いっちょ!いっちょ!」
シュシュは嬉しそうに満面の笑みを浮かべ、デニスの膝から降りた。
そして「いっちょ!」と言いながら部屋の中でくるくると回っている。
デニスはウェンディに言った。
「……これは……クルトがこれからも一緒だと言う事を喜ばれているのでは……?」
「ぷっ……ごめん、私がシュシュにクルトくんとバイバイかもなんて言ったから。お別れしなくていい嬉しさが勝ったのね」
「いやいいんだ。これからだ。これからゆっくり時間をかけてシュシュに父親だと認めて貰えるよう頑張るよ」
「もう案外認めて貰えてると思うわよ?」
「え?」
ウェンディの言葉にデニスが反応したその時、くるくる回っていたシュシュが突然止まってデニスを呼んだ。
「ぱぱ!」
「うん?」
シュシュはデニスの膝によじ登ろうとした。
それを抱き上げて膝に乗せてやる。
シュシュはデニスを言った。
「ぱぱ、しゅき」
そう言って、シュシュはデニスの頬にちぅと小さな唇を押し付けた。
「…………!」
瞬間、デニスは固まった。
「まましゅきー!」
今度は隣に座るウェンディのお膝にやって来る。
そしてウェンディの頬にもちぅとキスをしてくれた。
ウェンディは娘を抱きしめる。
「ママもシュシュが大好きーー!」
「きゃーっ」
「っ……、俺もお前たちが大好きだーーーっ!!」
感極まって涙を流しながら、デニスは母娘をがばりと纏めて抱きしめた。
「あはははっ」
賑やかで楽しい笑い声が部屋の中に響く。
ようやくあるべき形となった、三人の幸せな時間だった。
それから瞬く間に時は過ぎた。
ベイカー子爵家の面々は、新たに移り住む事になった新居へ初めて足を踏み入れていた。
「くると!はやく、はやくきて!おうちのなかをたんけんしましょ!」
五歳になったシュシュが大きく手招きをして従兄のクルトを呼ぶ。
「待ってよシュシュ。そんなにあわてたらまた転ぶよ?」
「ころんだらクルトがイイこイイこしてくれるよね?」
「もちろんだよ、ぼくのお姫さま」
「ふふ。ね、はやくいこう!」
そう言ってシュシュはクルトの手を引っ張って二階へと上がって行った。
二人は相変わらず仲良しだ。
従兄妹であり、家族であり、親友であり、どうやら互いが初恋の相手にもなりそうだ。
クルトは既に執着心というものを開花させていて、可愛いシュシュに近付く悪ガキ共を片っ端から牽制し蹴散らしている。
当のシュシュもそれをナイトだと受け入れ喜んでいるのだから、誰も二人の間に割って入る事はできないようだ。
しかし思春期になると色々と難しくなるではないか……と、ウェンディは密かに心配している。
「新しいお家ってなんて良いですねぇ。クルト坊ちゃんとシュシュお嬢様がワクワクされるお気持ちがよく分かりますよ」
ドゥーサが手に持っていた荷物を置きながら言った。
「本当ね。それにとっても素敵なお家じゃない?お家賃が高そうだわ」
ウェンディが膨らんだお腹をさすりながら家の中を見回す。
「臣籍に降りられ公爵となられた元第二王子殿下の側近として重宝されている旦那様ですもの。あっという間にこの家を買い取る事になるんじゃありませんか?」
ウェンディと結婚した後はデニスの事を“坊ちゃん”ではなく“旦那様”と呼ぶようになったドゥーサがそう答えた。
「ふふ。私の夫は頼もしいわね。そういえばデニスはどこに行ったのかしら?」
「旦那様なら、ニルス坊ちゃんに馬を見せるのだと厩の方へ行かれましたよ」
「そう、行ってみるわ」
デニスと結婚して三年。
ウェンディは今、妊娠六ヶ月だ。
母子共に健康そのものだと産術師のお墨付きを貰っている。
デニスが仕えていた第二王子が兄王子の国王即位に伴い臣籍降下し公爵位を賜った。
そして兄王から拝領した領地へ、デニスを含む側近達を連れて移り住む事になったのだ。
新天地での新しい暮らし。
一度王都に移った時にも味わったが、あの時とは雲泥の差である。
庭をぐるりと周り、公爵の居城に通う為に用意した馬の厩に行くと、そこに夫と息子の姿があった。
「デニス、ニルス」
ウェンディが二人を呼ぶと同じキャメルブラウンの髪色の頭が二つ、こちらを向いた。
「ふふ。キャメルブラウン遺伝子、強しね」
「まま」
もうすぐ二歳になる長男のニルスが母娘に手を伸ばす。
デニスが息子に言った。
「ママはお腹に赤ちゃんがいるからな、ニルスが上から乗ったら赤ちゃんがビックリするぞ」
「うん」
優しいニルスはお利口さんに返事をした。
デニスもすっかり父親らしくなった。
今ではシュシュも父親が大好きだ。
互いに知らずに暮らしていた日々があったなんて信じられないくらい。
毎日顔を合わし、互いを大切にし合う。
そうやって日々の積み重ねて家族になっていったのだ。
ウェンディは時々ふと考える。
シュシュが生まれていなかったら自分たちはどうなったのだろうと。
まずウェンディが王都に移り住む事もなく、再会はしなかっだろう。
そして互いを心に残したまま、過去に囚われた生活を送っていたかもしれない。
『子は鎹』と東方の国の言葉があるように、
シュシュがウェンディとデニスを導き、結びつけてくれた……そう思うのだ。
ーー子は鎹、良い言葉だわ。今度、篆書体で書いてみよう。
今はフリーで注文を受けているウェンディはそう思った。
新しい土地での新しい暮らし。
そしてもうすぐ新しい家族も増える。
楽しい事も悲しい事も沢山あるだろう。
それでもきっと何度でも立ち上がり、涙を拭いて前に進んで行くのだ。
愛しい夫と、可愛い子どもたちと共に。
「ママー!パパー!すっごくステキなおうちだよー!」
二階の窓からシュシュが顔を出して言った。
直ぐさま後ろからクルトに危ないと引き戻らせている。
「さぁでは新しい我が家に入りましょうか奥様」
デニスがそう戯けて、ニルスを抱いていない方の手を差し出す。
「ふふ。はい旦那様」
ウェンディは微笑み、愛する人の手を取った。
終わり
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これにて完結です。
今作もお読みいただき、そして沢山の感想とエールをありがとうございました!
そしてハイ、今回もフェスの開催となりましたね。
バート嬢とメイド二名をフェス会場に送っておりますので、きつくお灸を据えてやってくださいませ☆
さてさて、次回作ですが少しお休みしようと考えております。
いえ、お休みと言うよりペースを落とそうと思います。
猪突猛進、書きたいものを勢いで書いておりましたが、あまりにも誤字脱字が多く、それを改善する時間が取れていない状況が良くないなと思い至りました。
誤字脱字報告、本来なら読者様にさせる事ではなく、投稿者が自分でベストな状態にして投稿するべきなんですよね。
読み応えのある文字数と投稿ペースを維持しながらそれが出来れば良いのですが、どうやら作者にはそれが出来ない……(大汗)
なので一度、自分の投稿スタイルを見直してみたいと思います。
文字数を抑えて毎日投稿を目指すか、
隔日か不定期にして、文字数を増やしても何度もチェックして完璧な状態で投稿出来るようにするか。
とりあえず、レガ氏の方のお話が終わるまでには結論を出したいと思います。
その時に新しいお話のお知らせも出来たらなと考えております。
お話はもう考えてます。
タイトルも。
それをまた皆さまに読んで頂けるように少しは進化出来るといいのですが……。
それでも誤字脱字が無くならなかったらどーしよう……。Σ(゚д゚lll)ヒィッ
長々とごめんなさい。
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!
「はいはいドーナツヘアね。かしこまり~」
デニスの家に住むようになって、朝の支度時間にかなりの余裕が出来た。
ドゥーサが朝食の仕度と後片付けをしてくれるので、シュシュと一緒にゆっくりと朝ごはんを食べてからこうやって“今日のヘアスタイル”をセット出来るようになった。
ドーナツヘアとは、ツインテールを三つ編みにしてそれをドーナツのように輪っかにするヘアスタイルだ。
このヘアスタイルをご所望の時、シュシュは大抵ドーナツを食べたいと思っているらしい。
なので次のお休みの日はドーナツを作ってあげようとウェンディは思った。
ドゥーサがシュシュの頭を見て微笑んだ。
「なんてお可愛らしい髪型なんでしょう。シュシュお嬢様はオシャレさんですねぇ」
今日はシャレっ気よりも食い気が勝っているようだが。
「どーなちゅ!」
シュシュが得意気に言う。
「とってもよくお似合いですよ」
ドゥーサに褒めて貰えてシュシュは嬉しそうだ。
そしてデニスとクルトの元へと駆け寄った。
「くゆと、ぱぱ、どーなちゅ」
二人にも褒めて貰いたいのだろう、髪型を見せるシュシュにデニスが言った。
「なんて可愛くて美味しそうなドーナツなんだ。思わず食べてしまいたくなるよ」
「シュシュはどんなヘアスタイルもにあうね」
男二人は小さな令嬢にも賛辞を惜しまない。
「今日はドーナツをお土産に買って帰って来よう」
とデニスが言うと子どもたちは喜んだ。
どんなドーナツが良いかをシュシュとクルトに聞いているデニスをウェンディは眺めている。
昨日は本当に色んな事があった。
びっくりした事も嬉しかった事も。
そして昨日のデニスはウェンディも初めてみるような表情をしていた。
相手を容赦なく突き放し、冷淡な人間ようでもあった。
自分がクビになったのをウェンディの所為だと難癖を付け、尚且つウェンディをコブ付き女と称した時にデニスが来たのだ。
凄みのある声で「誰がコブ付き女だと……?」と言いながら。
バート嬢はそんなデニスに一瞬怯むも、これをチャンスと取ったのか急に媚びを売るような眼差しと猫撫で声を上げてデニスに言った。
「ベイカー卿、もうお会い出来ないのではないかと悲しんでおりましたのに、こうやってまたお会いして本当に嬉しいですわ」
「……あなたは暇を出されたのだ、それなのによくまた王宮に顔が出せましたね」
「だって……私、ベイカー卿がその女に騙されているのが見ていられなくて……」
「ほう?私が何を騙されていると言うのです?」
デニスが問うとバート嬢はウェンディを睨め付けながら言った。
「その女、既に子持ちですのよっ!王宮に勤め出してまだ日が浅いからベイカー卿がご存知ないのも仕方ありませんが、私が独自に調べあげましたところ子どもがいると分かりましたの!それなのにベイカー卿に擦り寄るなんて……なんて厚顔無恥なコブ付き女なんでしょう!」
そのバート嬢の言葉を受け、ウェンディはデニスを仰ぎ見た。
「と、仰ってますよ?コブの製造元さん」
デニスは呆れ顔で答える。
「厚顔無恥はどっちだ……まったく度し難いな……」
「え?」
ウェンディとデニスのやり取りにバート嬢はきょとんとした。
デニスがバート嬢にきっぱりと告げる。
「あなたの言う独自の調べというのは本当に独自のようだな。彼女をコブ付きと称したその小さくて可愛い“コブ”の父親は私だ」
「えっ?だ、だって……ベイカー卿は独身じゃ……」
「私の所為で彼女には苦労を強いてしまい今はこんな現状だが、それをあなたに話す義理はない。私は今、必死に彼女を口説き落とそうとしている最中なんだ。それなのに勝手に勘違いをしていつまでも周りをチョロチョロされたら迷惑だ、失せろ」
「なっ…?ひ、酷いわっ、私はただっ!」
「ただなんだ?相手を無視し、自分の気持ちだけを押し付け優先するあなたが何だというのだ?これ以上私達に付き纏うなら、それ相応の法的処置を取らせて貰う。あぁでも既に他のご令嬢から名誉毀損で訴えられているのだったな。それと更に彼女に暴言を放った訴訟も付け足させて貰おう」
「そんなっ!!困るわっ!許して!」
バート嬢は顔色を真っ青にして言った。
「自分の置かれている現状もわからないような奴に温情をかける必要はない。これ以上訴訟内容を書き足されたくなければさっさと失せろ」
「な、何よっ!!あなたみたいな怖い人、こっちから願い下げよっ!」
とそう言いながらバート嬢は慌てて逃げ去った。
途中何度も転んでドレスを泥だらけにしながら。
ウェンディはその一部始終を呆れながら見つめていた。
「あの人……ある意味凄い人ね……あくまでも自分本位なんだわ……」
そして恋人時代を通しても見た事のない、デニスの硬質で冷たい一面を垣間見て少し驚いていたのだ。
デニスはウェンディに向き直り、別人のように情けない顔をして言った。
「すまないウェンディ。俺が変なのに気に入られた所為でキミに嫌な思いをさせてしまった。キミにだけ俺との関係を匂わせるような話を聞かせるようにしたと知り、すぐに強制排除したがまさか言い掛かりを付けに戻ってくるとは……詰めが甘かった。本当にごめん」
「私の耳にだけって……どうしてそれを知ったの?」
「熱に浮かされたキミが夢現で言ったんだよ。それで色々と調べて露見した。後は王子殿下に報告して協力を願い出た」
「あなた、王子殿下に協力させ過ぎじゃない?」
「良いんだ、学生時代に彼の面倒事を何度も片付けた貸しを返して貰ってるだけだ。それに貸しはもう一つあって、それも返して貰える事になった」
「え?何?」
ウェンディが訊ねるとデニスはウェンディの両手を取った。
「デニス?」
「ウェンディ。先日キミに話した俺の気持ちは本物だ。本心で本当の、今も昔も変わらないキミへの想いだ。一度は別れを告げたけど、キミへの想いだけは消える事などなかった。それだけは信じて欲しい」
「………」
「本当に今さらでごめん。でもやはりどうしても諦められないんだ。キミは俺を許さなくていい、一生罵ってくれていい。俺にそれを償いながらキミとシュシュを幸せにする権利を与えて欲しいんだ」
迷いなく真っ直ぐ見つめてくる瞳に、迷いは一切感じられなかった。
迷いに揺れているのはウェンディの方だ。
ウェンディは声を押し出すように告げた。
「……でも……やはり無理よ……だってあなたは貴族で、わたしは平民よ……前だって、それで別れたんじゃない」
「それなら問題ない。第二王子に借りを返して貰うもう一つの事がこれだ。俺は当然シュシュを我が子として認知する。シュシュはベイカー子爵家の娘だ。そしてその生母であるキミとの婚姻の許可を王子殿下を通して貴族院に認めさせた。キミを王宮の文官に紹介してくれたかつての上司である男爵夫妻がキミの後見人となってくれたのも大きい。必要とあらば養子縁組しても良いとまで言ってくれたよ」
「え?ええっ!?いつの間にそんなっ!?」
ウェンディは驚き過ぎて思わず大声を発してしまった。
だけどそれくらいは許して欲しい。
だって本当に驚いたのだから。
「ウェンディ……頼む、頼む。どうか俺をキミとシュシュの家族にして欲しい。愛してるんだ、キミとシュシュを。もうどうしたって手放してやれないっ……」
デニスの瞳から涙が一粒零れ落ちた。
「……男の人の涙って初めて見たわ……」
そう言いながらウェンディは優しくデニスの目元に触れた。
デニスは目を閉じてそれを受け入れている。
「キミは知らないだろうけど、俺は結構泣き虫なんだよ」
「うそ。いつも堂々と、貴族然としているあなたが?」
「本当だよ。キミと別れた時はしばらく一人隠れて泣いていた。そして実はシュシュと初めて会った日の夜もこっそり泣いたんだ」
「本当に?」
「ああ。いつだって俺の心を揺さぶるのウェンディ、キミだよ。そして今はシュシュもそうだな」
「デニス……」
「ウェンディ……どうか、どうか」
デニスは目を閉じたまま静かに懇願する。
かつて別れを告げられた時、ウェンディも散々泣いた。
泣いて泣いて、泣き尽くした時にシュシュの存在を知った。
その時、同じようにデニスも泣いていたのかと思うと切なくなった。
デニスは一人で泣き続けたのだろう。
挙げ句領地領民を失い父も失った。
その中でクルトを得た救いもあっただろうが、失ったものの多さに涙した日はデニスの方が多いのだろう。
ウェンディも目を閉じる。
瞼の裏にはかつての自分。
もういい、もういいよと言う自分がいる。
そして最愛の娘の笑顔が。
娘が成長してゆく喜びを、父親である彼と共に分かち合いたいと心から思った。
ウェンディは目を開ける。
「デニス」
名を呼ばれ、デニスも目を開けようとしたその時、
唇に温かさを感じた。
懐かしくて堪らない、一日だって忘れた事のない温もりだ。
ウェンディから重ねられたその口づけが彼女からの答えだとデニスには分かった。
一瞬唇を離し、すぐにまた重ねる。
今度はデニスから。
触れるだけの、啄むような優しい口づけを何度も。
やがて唇が離れ、互いの顔を見つめ合う。
ウェンディは思わず微笑んだ。
「ふふ。デニス、あなたなんて表情をしてるの」
「だって、だってだな……」
「分かってるわ」
ウェンディはそう言ってもう一度、つま先立ってデニスに口づけをした。
ウェンディとデニス、二人がもう一度やり直すと決めたその夜。
デニスはシュシュに言った。
クルトは今夜はお友達の家でのお泊まり会だ。
「シュシュ、お話があるんだ。パパのお膝に乗ってくれるかい?」
ぬいぐるみで遊んでいたシュシュは少し考えて、こくんと頷いた。
デニスは嬉しそうに微笑んでシュシュを抱き上げソファーに座り膝の上に座らせた。
「今まで一緒に暮らせなくてごめんな。これからはずっと、パパはシュシュのパパで、シュシュと一緒にいると約束するよ。どうかパパをシュシュのパパにしてくれるかい?」
二歳の子にどこまで理解出来るかなんて分からない。
でも子供は子供なりにちゃんと分かってくれるのではないかと考え、デニスはシュシュに話をした。
たとえ分からなくてもいい。
シュシュと一緒にいたいという気持ちが伝わればそれでいいのだ。
シュシュはじっとデニスの顔を見て、そして言った。
「ぱぱいっちょ?」
「ああ。ずっと一緒だ」
「くゆといっちょ?」
「もちろん、クルトもずっと一緒だよ」
「いっちょ!いっちょ!」
シュシュは嬉しそうに満面の笑みを浮かべ、デニスの膝から降りた。
そして「いっちょ!」と言いながら部屋の中でくるくると回っている。
デニスはウェンディに言った。
「……これは……クルトがこれからも一緒だと言う事を喜ばれているのでは……?」
「ぷっ……ごめん、私がシュシュにクルトくんとバイバイかもなんて言ったから。お別れしなくていい嬉しさが勝ったのね」
「いやいいんだ。これからだ。これからゆっくり時間をかけてシュシュに父親だと認めて貰えるよう頑張るよ」
「もう案外認めて貰えてると思うわよ?」
「え?」
ウェンディの言葉にデニスが反応したその時、くるくる回っていたシュシュが突然止まってデニスを呼んだ。
「ぱぱ!」
「うん?」
シュシュはデニスの膝によじ登ろうとした。
それを抱き上げて膝に乗せてやる。
シュシュはデニスを言った。
「ぱぱ、しゅき」
そう言って、シュシュはデニスの頬にちぅと小さな唇を押し付けた。
「…………!」
瞬間、デニスは固まった。
「まましゅきー!」
今度は隣に座るウェンディのお膝にやって来る。
そしてウェンディの頬にもちぅとキスをしてくれた。
ウェンディは娘を抱きしめる。
「ママもシュシュが大好きーー!」
「きゃーっ」
「っ……、俺もお前たちが大好きだーーーっ!!」
感極まって涙を流しながら、デニスは母娘をがばりと纏めて抱きしめた。
「あはははっ」
賑やかで楽しい笑い声が部屋の中に響く。
ようやくあるべき形となった、三人の幸せな時間だった。
それから瞬く間に時は過ぎた。
ベイカー子爵家の面々は、新たに移り住む事になった新居へ初めて足を踏み入れていた。
「くると!はやく、はやくきて!おうちのなかをたんけんしましょ!」
五歳になったシュシュが大きく手招きをして従兄のクルトを呼ぶ。
「待ってよシュシュ。そんなにあわてたらまた転ぶよ?」
「ころんだらクルトがイイこイイこしてくれるよね?」
「もちろんだよ、ぼくのお姫さま」
「ふふ。ね、はやくいこう!」
そう言ってシュシュはクルトの手を引っ張って二階へと上がって行った。
二人は相変わらず仲良しだ。
従兄妹であり、家族であり、親友であり、どうやら互いが初恋の相手にもなりそうだ。
クルトは既に執着心というものを開花させていて、可愛いシュシュに近付く悪ガキ共を片っ端から牽制し蹴散らしている。
当のシュシュもそれをナイトだと受け入れ喜んでいるのだから、誰も二人の間に割って入る事はできないようだ。
しかし思春期になると色々と難しくなるではないか……と、ウェンディは密かに心配している。
「新しいお家ってなんて良いですねぇ。クルト坊ちゃんとシュシュお嬢様がワクワクされるお気持ちがよく分かりますよ」
ドゥーサが手に持っていた荷物を置きながら言った。
「本当ね。それにとっても素敵なお家じゃない?お家賃が高そうだわ」
ウェンディが膨らんだお腹をさすりながら家の中を見回す。
「臣籍に降りられ公爵となられた元第二王子殿下の側近として重宝されている旦那様ですもの。あっという間にこの家を買い取る事になるんじゃありませんか?」
ウェンディと結婚した後はデニスの事を“坊ちゃん”ではなく“旦那様”と呼ぶようになったドゥーサがそう答えた。
「ふふ。私の夫は頼もしいわね。そういえばデニスはどこに行ったのかしら?」
「旦那様なら、ニルス坊ちゃんに馬を見せるのだと厩の方へ行かれましたよ」
「そう、行ってみるわ」
デニスと結婚して三年。
ウェンディは今、妊娠六ヶ月だ。
母子共に健康そのものだと産術師のお墨付きを貰っている。
デニスが仕えていた第二王子が兄王子の国王即位に伴い臣籍降下し公爵位を賜った。
そして兄王から拝領した領地へ、デニスを含む側近達を連れて移り住む事になったのだ。
新天地での新しい暮らし。
一度王都に移った時にも味わったが、あの時とは雲泥の差である。
庭をぐるりと周り、公爵の居城に通う為に用意した馬の厩に行くと、そこに夫と息子の姿があった。
「デニス、ニルス」
ウェンディが二人を呼ぶと同じキャメルブラウンの髪色の頭が二つ、こちらを向いた。
「ふふ。キャメルブラウン遺伝子、強しね」
「まま」
もうすぐ二歳になる長男のニルスが母娘に手を伸ばす。
デニスが息子に言った。
「ママはお腹に赤ちゃんがいるからな、ニルスが上から乗ったら赤ちゃんがビックリするぞ」
「うん」
優しいニルスはお利口さんに返事をした。
デニスもすっかり父親らしくなった。
今ではシュシュも父親が大好きだ。
互いに知らずに暮らしていた日々があったなんて信じられないくらい。
毎日顔を合わし、互いを大切にし合う。
そうやって日々の積み重ねて家族になっていったのだ。
ウェンディは時々ふと考える。
シュシュが生まれていなかったら自分たちはどうなったのだろうと。
まずウェンディが王都に移り住む事もなく、再会はしなかっだろう。
そして互いを心に残したまま、過去に囚われた生活を送っていたかもしれない。
『子は鎹』と東方の国の言葉があるように、
シュシュがウェンディとデニスを導き、結びつけてくれた……そう思うのだ。
ーー子は鎹、良い言葉だわ。今度、篆書体で書いてみよう。
今はフリーで注文を受けているウェンディはそう思った。
新しい土地での新しい暮らし。
そしてもうすぐ新しい家族も増える。
楽しい事も悲しい事も沢山あるだろう。
それでもきっと何度でも立ち上がり、涙を拭いて前に進んで行くのだ。
愛しい夫と、可愛い子どもたちと共に。
「ママー!パパー!すっごくステキなおうちだよー!」
二階の窓からシュシュが顔を出して言った。
直ぐさま後ろからクルトに危ないと引き戻らせている。
「さぁでは新しい我が家に入りましょうか奥様」
デニスがそう戯けて、ニルスを抱いていない方の手を差し出す。
「ふふ。はい旦那様」
ウェンディは微笑み、愛する人の手を取った。
終わり
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
これにて完結です。
今作もお読みいただき、そして沢山の感想とエールをありがとうございました!
そしてハイ、今回もフェスの開催となりましたね。
バート嬢とメイド二名をフェス会場に送っておりますので、きつくお灸を据えてやってくださいませ☆
さてさて、次回作ですが少しお休みしようと考えております。
いえ、お休みと言うよりペースを落とそうと思います。
猪突猛進、書きたいものを勢いで書いておりましたが、あまりにも誤字脱字が多く、それを改善する時間が取れていない状況が良くないなと思い至りました。
誤字脱字報告、本来なら読者様にさせる事ではなく、投稿者が自分でベストな状態にして投稿するべきなんですよね。
読み応えのある文字数と投稿ペースを維持しながらそれが出来れば良いのですが、どうやら作者にはそれが出来ない……(大汗)
なので一度、自分の投稿スタイルを見直してみたいと思います。
文字数を抑えて毎日投稿を目指すか、
隔日か不定期にして、文字数を増やしても何度もチェックして完璧な状態で投稿出来るようにするか。
とりあえず、レガ氏の方のお話が終わるまでには結論を出したいと思います。
その時に新しいお話のお知らせも出来たらなと考えております。
お話はもう考えてます。
タイトルも。
それをまた皆さまに読んで頂けるように少しは進化出来るといいのですが……。
それでも誤字脱字が無くならなかったらどーしよう……。Σ(゚д゚lll)ヒィッ
長々とごめんなさい。
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました!
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カンニング帳!! いいかも(笑 今後も増やせそうだし(笑笑
良きですか?ホントですか?😁✨
じゃあちょっと前向きに検討してみますね!
こちらと さよなら を完結してから一気読みしました!!
さよならは レガミルルをもう一度読み直したくなった(笑 あーー アレがレガ! ←変な表現なんはアレなんですが さよなら 読んだあとだと また とらえ方が変わる気が(笑
コッチもどこかに |-`)チラッ見せあった? キャラ出てた?
ましゅさまのヒロインは強くて大好きです( ´͈ ᗨ `͈ )◞♡⃛
旦那はこんなん居たら死ぬるほどいい! ←メイドやら執事やらやらになってワク(灬ºωº灬)テカ 鑑賞したい!!( ´△`) .。oO(記録媒体有りで!!‼️
が………… 完結してからの参加だと感想欄に参加出来ない…やっぱ…… (>_<)くぅうううーーーってなるのがね?!
フェスも参加出来ないし…(´・ω・`) ショボーン………
あ! 思ったんですが、新規さまは フェスとか大東とかダイケンジャとかとか……… 特に感想欄楽しみ始めたら??? ………でも 聞けない… ←楽しそうなんに 今更聞いていいのかな? 的なんある気がしたので!
ましゅまろ語録 とか 用語 とか しきたり(は 無いかw ましゅさま 読者に優しいからwww) なんを近況ボードとかにあったらいいかも?
と 勝手に妄想しスタ………
どちらもお読みいただきありがとうございました😊💕
一気読み、眼精疲労が懸念されます😆
そうなんですよね、ご新規様はわかり辛いと思います……が、需要ありますかね?ドキドキ…
語録を作るとしたらワードはなんだろう?
大賢者サマ、大東サン、カツアゲ、釘バット、フルボッコフェス?
カンニング帳みたいにしたらいいのかしら……?🤔✨フムフム
退会済ユーザのコメントです
なになに、数々のましゅろう伝説に比べればきっと可愛いものであるハズ✨
苦しゅうない、末永く共に暮らそうぞ💕
告白されたら即結婚💕
某砂漠の国のスルタンみたいに一大ハーレムを築きたいですわ😆💕