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見えてきた事
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魔力継承の儀が終わった途端に
謎の爆発が起きたブノワ男爵家。
今は知らせを受けて駆けつけて来た
魔法省の役人と魔術騎士団の騎士たちが
周辺の聞き込みや魔力残滓の調査などを行なっている。
駆けつけた騎士の中の一人にスミスさんがいた。
「大変でしたね、ミス・クレマン。
お怪我がなくて何よりでした」
「シエンヌさんが結界を張ってくれましたから」
わたしがそう言うとスミスさんは、
「あぁ、そうですよね」と微笑まれた。
わたしはスミスさんに尋ねる。
「そういえばシエンヌさんは?」
「あいつなら…あ、いや彼女ならホラあそこに」
スミスさんが視線を向けた方を見ると、
丁度わたし達の元へと歩いて来ている
シエンヌさんの姿が見えた。
「何かわかった?」
スミスさんが問いかけると
シエンヌさんは答えた。
「庭の納屋からこの家のメイドのメリヤが薬で
眠らされていた状態で見つかったよ。どうやら
あちらさんも変身魔術でメイドに化けて様子を
探っていたようだ」
シエンヌさん、話し方が元に戻ってますよ。
「多分、本当は売るはずだった魔力を突然
継承した事への報復だったんだろうね。
奴らと接触した男爵を口封じしようとした
可能性も考えられる」
それを聞き、スミスさんは頷きながらこう言った。
「でもこれで、大きな確証を得られたね」
「そうだな」
わたしは二人に問いかける。
「確証とは?」
「それは後ほど魔法省で。ベイリー法務局長に報告しに行くし、その時一緒に説明しますよ」
スミスさんがそう言うと、
シエンヌさんがわたしの肩を抱いた。
「とにかく魔法省まで戻ろう。送って行くよ」
「え?シエンヌさんの姿で?」
わたしのその言葉にスミスさんは驚いた様子で言った。
「やっぱりス・クレマン、彼女の正体に気付いてます?筆頭王宮魔術師の変身魔術ですよ?」
シエンヌさんが肩をすくめた。
「どうやらそうらしいんだよ」
わたしはちょっとドヤって見せた。
「ふふふ。気付いてましたよ、
シエンヌさん…ね?ワルター」
「どうしてわかったの?」
シエンヌ…もとい、ワルターがわたしに問いかける。
「香りがね、
オードトワレの香りが同じだったから。
それと目ね、見た事があるとずっと気になって
いたの。香りと目の既視感が両方結びついて、
それでわかったの」
「それでかぁ……。魔術で声色や姿形は変えられても瞳と匂いは変えられないんだ。念には念を入れて男の体臭を消す為にオードトワレを使用したんだ」
「さすが魔法省の人だ…というよりさすがは
婚約者、というべきなのかな?」
スミスさんか笑いながらそう言った。
スミスさん……。
◇◇◇◇◇
魔法省に戻ったわたしは
早速事の顛末を上司のデビス氏に報告し、
その足でデビス氏と共にシュザンヌさんの元へ…
法務局長室へと向かった。
ミス・ドルクの案内で局長室に入室すると、
既に魔法大臣であらせられるモーガン公爵と
ワルターに戻ったワルターの姿があった。
もちろんスミスさんもいる。
ミス・ドルクが用意してくれた椅子に
デビス氏と共に座る。
そしてミス・ドルクが退室したのを確認すると、
大臣はこれまでの事でわかった事を全て
話してくれた。
魔力、魔術売買の闇組織の事で一番驚いたのは、
じつは彼らは組織として
徒党を組んで犯罪を犯しているのではなく、
たった3人の人物で行われている
犯行だという事だ。
まずは変身魔術に特化した人物。
この者が魔力を売る人間に声をかけ、その後の接触も担当しているそうだ。
そのために様々な人物に変身して行動しているらしい。
背の高い女やブノワ男爵家で会ったアバディと名乗る人物もこの者なのだとか。
次に売るための魔術を構築する術式師。
術式師とは魔術の素になるいわゆる“術式”を
作る者の事だ。
(※詳しくは作者の他作品、
『もう離婚してください!』第2話参照☆)
そしてもう一人はその二人の手助けをし、
魔法省や魔術騎士団の情報を流す人物。
「ちょっ、ちょっと待って下さいっ、
それでは魔法省か騎士団に内通者がいる
という事ですか!?」
わたしは慌ててモーガン公爵に確認した。
「残念ながらそうなのだよ。
……我々はまずその内通者の存在を疑い、
それを前提として潜入捜査を開始した」
それにはシュザンヌさんが反応した。
「もしかして閣下、犯人に心当たりが……?」
モーガン公爵は苦虫を噛み潰したような
顔をされ、それに答えた。
「最初はまさかそんな筈はないだろうと半信半疑で、調べを始めたというのにな……そしてそいつに協力している者がこの魔法省にいる」
「えっ……」
思わず声を上げるわたしに、
そこからはデビス氏が掻い摘んで説明してくれた。
「犯人たちが魔力売買を持ちかけたのは、
全員が魔法省の方に魔力継承を行いたいと
申請してきた者か、魔法税を滞納している者
なんだよ。その者たちに裏で声をかけて、
魔力を売らせるんだ。特に魔法税を滞納している者は間違いなく金銭に困窮している場合が多いからね」
「なるほど……その情報が
魔法省から流出してるんですね」
なんて事だ……。
仲間内に裏切り者がいたなんて。
ちなみに魔法税というのは特殊な魔力や魔術を、
その人の保有する財産と見做して、
それに掛ける税である。
「多分、言葉巧みに騙されてその情報を渡しているんだと思う。まったく……職権濫用甚だしいよね」
と、デビス氏は険しい表情をされた。
普段、飄々としている彼にしてはかなり珍しい。
「でもその魔法省側の内通者はまだ誰かは
掴めていない。君たちもくれぐれも身辺には
気をつけて欲しい」
モーガン公爵がそう締め括られ、
シュザンヌさんは頷かれた。
「承知いたしました」
局長室を出ると、
ワルターが声をかけてきた。
「リス、まだ仕事?」
「ううん。今日はもうこれで終わり。
片付けたい仕事もあるけど、明日にするわ。
なんだかとっても疲れて……」
「そうだよね、大丈夫?」
「平気よ。しっかり食べてたっぷり寝るから。
ワルターはまだ仕事?」
「うん、まだこれから閣下と今後の出方とかを
話し合うんだ……だから今日は送れないけど、
くれぐれも気を付けて帰って」
「わたしの方は大丈夫よ。
ワルターこそ気をつけてね」
「うん、ありがとう」
そう言ってワルターはモーガン公爵と共に
魔法省を後にした。
わたしも鞄を取りにデスクに戻り、
帰る事にした。
魔法省を出て、
アパートに向けていつもの道を歩いていると
急に後ろから声をかけられた。
「シリスちゃん」
シリス……ちゃん?
ちゃんだと?と思って後ろを振り返ると
そこにはワルターの元学友で今は同僚の、
リック=アレンさんが立っていた。
「アレンさんでしたか」
「あれ?なんかムッとしてる?
もしかして“ちゃん”って呼んだから?」
わたしはニッコリと笑って答えた。
「……別にムッとしてなんかいませんよ~…」
「あはは、絶対ムッとしてるよね」
「………」
アレ?
そういえばさっきのモーガン公爵たちとの
面会、アレンさんの姿はなかったな。
たしかアレンさんも潜入捜査の仲間だったよね?
他の仕事をしていたのかしら?
と考えていたわたしの手を、
アレンさんが急に掴んだ。
「え?」
と思った次の瞬間には視界が歪み、
どこかへ引っ張られるようなそんな浮遊感を感じた。
次にわたしの目に飛び込んで来たのは
見知らぬ部屋の光景だった。
「……え?」
なんで?ここは……どこ?
何故わたしはいきなりこんな部屋にいるんだろう?
と思ったわたしの真後ろからアレンさんの声がした。
「捕獲成功」
「アレン……さん?これはどういうこですか?」
わたしがわけがわからず呆然としながらも
尋ねると、アレンさんは下卑た笑みを浮かべた。
「どうもこうもないよ、
ワルター=ブライスの婚約者さん。
おめでとう!キミは今から人質となりました、
やったね」
え?
この人今、なんて言った?
人質って言った?
「え……?う、嘘でしょ……?」
謎の爆発が起きたブノワ男爵家。
今は知らせを受けて駆けつけて来た
魔法省の役人と魔術騎士団の騎士たちが
周辺の聞き込みや魔力残滓の調査などを行なっている。
駆けつけた騎士の中の一人にスミスさんがいた。
「大変でしたね、ミス・クレマン。
お怪我がなくて何よりでした」
「シエンヌさんが結界を張ってくれましたから」
わたしがそう言うとスミスさんは、
「あぁ、そうですよね」と微笑まれた。
わたしはスミスさんに尋ねる。
「そういえばシエンヌさんは?」
「あいつなら…あ、いや彼女ならホラあそこに」
スミスさんが視線を向けた方を見ると、
丁度わたし達の元へと歩いて来ている
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シエンヌさんは答えた。
「庭の納屋からこの家のメイドのメリヤが薬で
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あちらさんも変身魔術でメイドに化けて様子を
探っていたようだ」
シエンヌさん、話し方が元に戻ってますよ。
「多分、本当は売るはずだった魔力を突然
継承した事への報復だったんだろうね。
奴らと接触した男爵を口封じしようとした
可能性も考えられる」
それを聞き、スミスさんは頷きながらこう言った。
「でもこれで、大きな確証を得られたね」
「そうだな」
わたしは二人に問いかける。
「確証とは?」
「それは後ほど魔法省で。ベイリー法務局長に報告しに行くし、その時一緒に説明しますよ」
スミスさんがそう言うと、
シエンヌさんがわたしの肩を抱いた。
「とにかく魔法省まで戻ろう。送って行くよ」
「え?シエンヌさんの姿で?」
わたしのその言葉にスミスさんは驚いた様子で言った。
「やっぱりス・クレマン、彼女の正体に気付いてます?筆頭王宮魔術師の変身魔術ですよ?」
シエンヌさんが肩をすくめた。
「どうやらそうらしいんだよ」
わたしはちょっとドヤって見せた。
「ふふふ。気付いてましたよ、
シエンヌさん…ね?ワルター」
「どうしてわかったの?」
シエンヌ…もとい、ワルターがわたしに問いかける。
「香りがね、
オードトワレの香りが同じだったから。
それと目ね、見た事があるとずっと気になって
いたの。香りと目の既視感が両方結びついて、
それでわかったの」
「それでかぁ……。魔術で声色や姿形は変えられても瞳と匂いは変えられないんだ。念には念を入れて男の体臭を消す為にオードトワレを使用したんだ」
「さすが魔法省の人だ…というよりさすがは
婚約者、というべきなのかな?」
スミスさんか笑いながらそう言った。
スミスさん……。
◇◇◇◇◇
魔法省に戻ったわたしは
早速事の顛末を上司のデビス氏に報告し、
その足でデビス氏と共にシュザンヌさんの元へ…
法務局長室へと向かった。
ミス・ドルクの案内で局長室に入室すると、
既に魔法大臣であらせられるモーガン公爵と
ワルターに戻ったワルターの姿があった。
もちろんスミスさんもいる。
ミス・ドルクが用意してくれた椅子に
デビス氏と共に座る。
そしてミス・ドルクが退室したのを確認すると、
大臣はこれまでの事でわかった事を全て
話してくれた。
魔力、魔術売買の闇組織の事で一番驚いたのは、
じつは彼らは組織として
徒党を組んで犯罪を犯しているのではなく、
たった3人の人物で行われている
犯行だという事だ。
まずは変身魔術に特化した人物。
この者が魔力を売る人間に声をかけ、その後の接触も担当しているそうだ。
そのために様々な人物に変身して行動しているらしい。
背の高い女やブノワ男爵家で会ったアバディと名乗る人物もこの者なのだとか。
次に売るための魔術を構築する術式師。
術式師とは魔術の素になるいわゆる“術式”を
作る者の事だ。
(※詳しくは作者の他作品、
『もう離婚してください!』第2話参照☆)
そしてもう一人はその二人の手助けをし、
魔法省や魔術騎士団の情報を流す人物。
「ちょっ、ちょっと待って下さいっ、
それでは魔法省か騎士団に内通者がいる
という事ですか!?」
わたしは慌ててモーガン公爵に確認した。
「残念ながらそうなのだよ。
……我々はまずその内通者の存在を疑い、
それを前提として潜入捜査を開始した」
それにはシュザンヌさんが反応した。
「もしかして閣下、犯人に心当たりが……?」
モーガン公爵は苦虫を噛み潰したような
顔をされ、それに答えた。
「最初はまさかそんな筈はないだろうと半信半疑で、調べを始めたというのにな……そしてそいつに協力している者がこの魔法省にいる」
「えっ……」
思わず声を上げるわたしに、
そこからはデビス氏が掻い摘んで説明してくれた。
「犯人たちが魔力売買を持ちかけたのは、
全員が魔法省の方に魔力継承を行いたいと
申請してきた者か、魔法税を滞納している者
なんだよ。その者たちに裏で声をかけて、
魔力を売らせるんだ。特に魔法税を滞納している者は間違いなく金銭に困窮している場合が多いからね」
「なるほど……その情報が
魔法省から流出してるんですね」
なんて事だ……。
仲間内に裏切り者がいたなんて。
ちなみに魔法税というのは特殊な魔力や魔術を、
その人の保有する財産と見做して、
それに掛ける税である。
「多分、言葉巧みに騙されてその情報を渡しているんだと思う。まったく……職権濫用甚だしいよね」
と、デビス氏は険しい表情をされた。
普段、飄々としている彼にしてはかなり珍しい。
「でもその魔法省側の内通者はまだ誰かは
掴めていない。君たちもくれぐれも身辺には
気をつけて欲しい」
モーガン公爵がそう締め括られ、
シュザンヌさんは頷かれた。
「承知いたしました」
局長室を出ると、
ワルターが声をかけてきた。
「リス、まだ仕事?」
「ううん。今日はもうこれで終わり。
片付けたい仕事もあるけど、明日にするわ。
なんだかとっても疲れて……」
「そうだよね、大丈夫?」
「平気よ。しっかり食べてたっぷり寝るから。
ワルターはまだ仕事?」
「うん、まだこれから閣下と今後の出方とかを
話し合うんだ……だから今日は送れないけど、
くれぐれも気を付けて帰って」
「わたしの方は大丈夫よ。
ワルターこそ気をつけてね」
「うん、ありがとう」
そう言ってワルターはモーガン公爵と共に
魔法省を後にした。
わたしも鞄を取りにデスクに戻り、
帰る事にした。
魔法省を出て、
アパートに向けていつもの道を歩いていると
急に後ろから声をかけられた。
「シリスちゃん」
シリス……ちゃん?
ちゃんだと?と思って後ろを振り返ると
そこにはワルターの元学友で今は同僚の、
リック=アレンさんが立っていた。
「アレンさんでしたか」
「あれ?なんかムッとしてる?
もしかして“ちゃん”って呼んだから?」
わたしはニッコリと笑って答えた。
「……別にムッとしてなんかいませんよ~…」
「あはは、絶対ムッとしてるよね」
「………」
アレ?
そういえばさっきのモーガン公爵たちとの
面会、アレンさんの姿はなかったな。
たしかアレンさんも潜入捜査の仲間だったよね?
他の仕事をしていたのかしら?
と考えていたわたしの手を、
アレンさんが急に掴んだ。
「え?」
と思った次の瞬間には視界が歪み、
どこかへ引っ張られるようなそんな浮遊感を感じた。
次にわたしの目に飛び込んで来たのは
見知らぬ部屋の光景だった。
「……え?」
なんで?ここは……どこ?
何故わたしはいきなりこんな部屋にいるんだろう?
と思ったわたしの真後ろからアレンさんの声がした。
「捕獲成功」
「アレン……さん?これはどういうこですか?」
わたしがわけがわからず呆然としながらも
尋ねると、アレンさんは下卑た笑みを浮かべた。
「どうもこうもないよ、
ワルター=ブライスの婚約者さん。
おめでとう!キミは今から人質となりました、
やったね」
え?
この人今、なんて言った?
人質って言った?
「え……?う、嘘でしょ……?」
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