61 / 136
ミニ番外編
ハノン、マフィン屋へ行く
しおりを挟む
先日訪れたメロディがお土産として持って来てくれた、彼女の義妹(のようなもの)が営むマフィン専門店のベビー用のマフィン。
食いしん坊のノエルも殊の外お気に召し、メロディが持って来てくれた分をペロリと平らげてしまった。
そのマフィンがベビーマフィンと銘打ってお店の定番商品となると聞き、
ハノンはノエルとのお散歩がてらそのマフィン屋へと足を運んだ。
お店の扉に付いているドアベルが鳴ると同時に可愛らしい少女の声が店に響く。
「いらっしゃいませ~」
マフィン屋の看板娘、アンナ(13)が人懐っこい愛らしい笑顔でハノンを出迎えた。
「こんにちは。ベビーマフィンを買いに来たのだけれど……」
ハノンがそう言うと、アンナは「こちらにありますよ」とベビーマフィンが並ぶ棚を教えてくれた。
「ありがとう。わ……どれも美味しそうで迷ってしまうわね」
「ありがとうございます。母が心と力を込めて作るマフィンです」
「力?」
マフィンになぜ力?とハノンが思ったその瞬間、店の奥のキッチンから景気の良いドスの利いた声が響いて来た。
「こんのクソボケの元カス旦那ぁぁーー!!夫婦喧嘩で追い出される度にウチに助けを求めてくんじゃねぇーーっ!!てめぇは一体、どういう神経しとんじゃゴルァーーッ!!」
店内に漂う甘くて優しい香りと可愛らしいマフィン。
それに似つかわずかなりエネルギッシュな罵声にハノンは目を丸くして驚いた。
そんなハノンにアンナは小さく肩を竦めて教えてくれた。
「ああやって、母は怒りのエネルギーを動力源にしてマフィンの生地を混ぜているんです。ウチのマフィンが美味しいのは、みんな母の力強いでも絶妙な匙加減のミキシングが決め手なんですよ」
「ぷ……そうなのね、面白いわ。ますますここのマフィンのファンになりそう」
「ありがとうございます!」
アンナは誇らしげに微笑んだ。
ハノンはノエルの為のベビーマフィンと、ルシアンやポレットやフェリックスの為に様々な種類のマフィンを購入した。
マフィンを箱に詰めてもらい、お代を払って店を出ようとしたその時、奥のキッチンからアンナの義母でありマフィン屋の店主であるウーシアが出てきた。
「いらっしゃいませ、そしてお買い上げありがとうございます」
そう言ってベビーカーが出やすいように店の扉を開けてくれる。
この方がメロディの義妹か…と思いながらハノンは「ありがとうございます。また来ますね」と言って店を出た。
メロディとは友人で…と話を切り出そうかとも思ったが、数名の客が店に来たのでやめておいた。
「「ありがとうございましたー」」
ウーシアとアンナ母子が声を揃えて見送ってくれる。
ハノンは振り返り、笑顔で会釈した。
また来よう。
今度はメロディと。
そしてあの母子とゆっくりお茶を飲みながらお喋りをしてみたい、
ハノンはそう考えながら家路に就いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日出てきたマフィン屋のウーシアさんのお話は
『夫に裏切られた妻は今日も美味しいマフィンを焼く』
で読めます☆
お暇な際にお読みいただけますと光栄です。
よろちくび♡
食いしん坊のノエルも殊の外お気に召し、メロディが持って来てくれた分をペロリと平らげてしまった。
そのマフィンがベビーマフィンと銘打ってお店の定番商品となると聞き、
ハノンはノエルとのお散歩がてらそのマフィン屋へと足を運んだ。
お店の扉に付いているドアベルが鳴ると同時に可愛らしい少女の声が店に響く。
「いらっしゃいませ~」
マフィン屋の看板娘、アンナ(13)が人懐っこい愛らしい笑顔でハノンを出迎えた。
「こんにちは。ベビーマフィンを買いに来たのだけれど……」
ハノンがそう言うと、アンナは「こちらにありますよ」とベビーマフィンが並ぶ棚を教えてくれた。
「ありがとう。わ……どれも美味しそうで迷ってしまうわね」
「ありがとうございます。母が心と力を込めて作るマフィンです」
「力?」
マフィンになぜ力?とハノンが思ったその瞬間、店の奥のキッチンから景気の良いドスの利いた声が響いて来た。
「こんのクソボケの元カス旦那ぁぁーー!!夫婦喧嘩で追い出される度にウチに助けを求めてくんじゃねぇーーっ!!てめぇは一体、どういう神経しとんじゃゴルァーーッ!!」
店内に漂う甘くて優しい香りと可愛らしいマフィン。
それに似つかわずかなりエネルギッシュな罵声にハノンは目を丸くして驚いた。
そんなハノンにアンナは小さく肩を竦めて教えてくれた。
「ああやって、母は怒りのエネルギーを動力源にしてマフィンの生地を混ぜているんです。ウチのマフィンが美味しいのは、みんな母の力強いでも絶妙な匙加減のミキシングが決め手なんですよ」
「ぷ……そうなのね、面白いわ。ますますここのマフィンのファンになりそう」
「ありがとうございます!」
アンナは誇らしげに微笑んだ。
ハノンはノエルの為のベビーマフィンと、ルシアンやポレットやフェリックスの為に様々な種類のマフィンを購入した。
マフィンを箱に詰めてもらい、お代を払って店を出ようとしたその時、奥のキッチンからアンナの義母でありマフィン屋の店主であるウーシアが出てきた。
「いらっしゃいませ、そしてお買い上げありがとうございます」
そう言ってベビーカーが出やすいように店の扉を開けてくれる。
この方がメロディの義妹か…と思いながらハノンは「ありがとうございます。また来ますね」と言って店を出た。
メロディとは友人で…と話を切り出そうかとも思ったが、数名の客が店に来たのでやめておいた。
「「ありがとうございましたー」」
ウーシアとアンナ母子が声を揃えて見送ってくれる。
ハノンは振り返り、笑顔で会釈した。
また来よう。
今度はメロディと。
そしてあの母子とゆっくりお茶を飲みながらお喋りをしてみたい、
ハノンはそう考えながら家路に就いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日出てきたマフィン屋のウーシアさんのお話は
『夫に裏切られた妻は今日も美味しいマフィンを焼く』
で読めます☆
お暇な際にお読みいただけますと光栄です。
よろちくび♡
254
お気に入りに追加
9,689
あなたにおすすめの小説
【完結】「父に毒殺され母の葬儀までタイムリープしたので、親戚の集まる前で父にやり返してやった」
まほりろ
恋愛
十八歳の私は異母妹に婚約者を奪われ、父と継母に毒殺された。
気がついたら十歳まで時間が巻き戻っていて、母の葬儀の最中だった。
私に毒を飲ませた父と継母が、虫の息の私の耳元で得意げに母を毒殺した経緯を話していたことを思い出した。
母の葬儀が終われば私は屋敷に幽閉され、外部との連絡手段を失ってしまう。
父を断罪できるチャンスは今しかない。
「お父様は悪くないの!
お父様は愛する人と一緒になりたかっただけなの!
だからお父様はお母様に毒をもったの!
お願いお父様を捕まえないで!」
私は声の限りに叫んでいた。
心の奥にほんの少し芽生えた父への殺意とともに。
※他サイトにも投稿しています。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
※「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※タイトル変更しました。
旧タイトル「父に殺されタイムリープしたので『お父様は悪くないの!お父様は愛する人と一緒になりたくてお母様の食事に毒をもっただけなの!』と叫んでみた」
謝罪のあと
基本二度寝
恋愛
王太子の婚約破棄騒動は、男爵令嬢の魅了魔法の発覚で終わりを告げた。
王族は揃いも揃って魅了魔法に操られていた。
公にできる話ではない。
下手をすれば、国が乗っ取られていたかもしれない。
男爵令嬢が執着したのが、王族の地位でも、金でもなく王太子個人だったからまだよかった。
愚かな王太子の姿を目の当たりにしていた自国の貴族には、口外せぬように箝口令を敷いた。
他国には、魅了にかかった事実は知られていない。
大きな被害はなかった。
いや、大きな被害を受けた令嬢はいた。
王太子の元婚約者だった、公爵令嬢だ。
【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。
彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。
目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。
(完結)私の夫を奪う姉
青空一夏
恋愛
私(ポージ)は爵位はないが、王宮に勤める文官(セオドア)の妻だ。姉(メイヴ)は老男爵に嫁ぎ最近、未亡人になったばかりだ。暇な姉は度々、私を呼び出すが、私の夫を一人で寄越すように言ったことから不倫が始まる。私は・・・・・・
すっきり?ざまぁあり。短いゆるふわ設定なお話のつもりです。
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
【完】前世で種を疑われて処刑されたので、今世では全力で回避します。
112
恋愛
エリザベスは皇太子殿下の子を身籠った。産まれてくる我が子を待ち望んだ。だがある時、殿下に他の男と密通したと疑われ、弁解も虚しく即日処刑された。二十歳の春の事だった。
目覚めると、時を遡っていた。時を遡った以上、自分はやり直しの機会を与えられたのだと思った。皇太子殿下の妃に選ばれ、結ばれ、子を宿したのが運の尽きだった。
死にたくない。あんな最期になりたくない。
そんな未来に決してならないように、生きようと心に決めた。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
かわいそうな旦那様‥
みるみる
恋愛
侯爵令嬢リリアのもとに、公爵家の長男テオから婚約の申し込みがありました。ですが、テオはある未亡人に惚れ込んでいて、まだ若くて性的魅力のかけらもないリリアには、本当は全く異性として興味を持っていなかったのです。
そんなテオに、リリアはある提案をしました。
「‥白い結婚のまま、三年後に私と離縁して下さい。」
テオはその提案を承諾しました。
そんな二人の結婚生活は‥‥。
※題名の「かわいそうな旦那様」については、客観的に見ていると、この旦那のどこが?となると思いますが、主人公の旦那に対する皮肉的な意味も込めて、あえてこの題名にしました。
※小説家になろうにも投稿中
※本編完結しましたが、補足したい話がある為番外編を少しだけ投稿しますm(_ _)m
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。