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番外編②後編 - GOLEM / SHADOW編
番外編②-16 – 責任
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今日の日本国民の個人情報システムに関して、非超能力者については総務省が、超能力者については超能力者管理委員会が管理する。超能力者管理委員会はどこの省庁にも属さず、超能力者に対する各省庁の動向、特にその特性から内務省を監視する立場となっている。
警察組織による個人情報の開示請求は、該当する人物が捜査において重要であると認められた場合に承認される。
「認められないってどういうことですか!?」
玲奈は杉本の指示を聞いた後に直ぐさま超能力者管理委員会に連絡を入れたところ、管理委員会の職員に拒否されてしまい、その理由を問い質していた。
「証拠が不確かです。そもそも合同捜査会議において、教育機関で働く方たちの情報を提供したのもかなり特殊なのですから。更なる詳しい個人情報を6人も一気に提供できるはずがないでしょう」
電話口の男性が淡々とした口調で玲奈に告げる。
「ですから今現在、捜査一課の瀧慎也警部補、藤村洸哉課長の両名が不協の十二音と対峙しています。その中で徳田花警部補からの連絡でGOLEMは彼女の超能力を知っているはずだと」
そこから玲奈は、花の超能力の特性からGOLEMと面識があること、そしてGOLEMは花が短期間勤務していた第三地区高等学校の職員である可能性が最も高いことを説明する。
「なっ、葉山委員長!?」
玲奈の説明に対して尚も食い下がっていた職員が電話口の向こう側で少し焦った様子で何者かに応対している。
玲奈が職員からの応答を待っていると、電話口の相手が若く、快活な調子の声の男性に切り替わる。
「お電話替わりました、葉山です」
「葉山委員長!?」
玲奈は突然替わった電話の相手が日月党の若手のホープ、葉山順也であることから一瞬驚き、狼狽える。
「はい、たまたまそこを通りかかったら何かお取り込み中だったようなので。僕が出た方が早いかなと思いまして」
葉山はいつもの通り愛想が良さそうに、且つ明瞭に話す。
「(この葉山委員長の登場は予想外……! だけどこれはこちらに追い風かもしれない)」
これまで長きに渡り政権を握ってきた日本陽光党体制が崩壊し、葉山順也を擁する日本月光党と成り代わった。
この政権交代には様々な見解が示されているが、日陽党の面子にベテランが増加し、政治家の醜聞、体制のマンネリ化、超能力者管理委員会の私物化といった諸問題から抱かれた国民の不信、また近年では各政党に才能ある若手が数多く輩出され、若手特有の固定観念に捉われない、柔軟な発想を持つ議員が増加していることから日月党はその旗手を託されたというのが大方の見解である。
「(葉山委員長は臨機応変な議員。彼なら丁寧に説明すれば問題ないはず)」
玲奈は葉山に対して現在の藤村、瀧の状況や第三地区高等学校の伊藤、内倉、東、窪田、浮田、門田の6人が捜査線上に浮かび上がった経緯を詳細に、しかし迅速に説明する。
葉山は玲奈の説明に対して横槍を入れることなく静かに聞いた後に口を開く。
「詳細な説明ありがとうございます! 皆さん素晴らしい働きですね!」
葉山は明るい声で警察組織に対する称賛を玲奈に告げた後に即座に話を続ける。
「良いでしょう。皆さんに必要な6名の情報について直ぐさま捜査一課にお送りできるようにします!」
「ありがとうございます」
玲奈は葉山に礼を言った後に電話口の向こう側から「葉山委員長、困ります!」といった言葉が耳に入り、玲奈は葉山に尋ねる。
「あの……大丈夫ですか?」
「えぇ、こちらにお任せ下さい! 責任は僕が持ちましょう! 僕、少しだけ偉いので」
葉山は玲奈にそう告げると玲奈は「ありがとうございます」と礼を言って両者の電話は切られる。
「葉山委員長、勝手なことをされては困ります! 申請を受けるにしても審査を通してからでないと!」
職員の男は葉山に詰問する。
「そんな事していて十二音の手がかりを逃すわけにはいかないでしょう?」
「しかし、もしもアテが外れていたらどう責任を取るおつもりですか!? 近年、個人情報に関する国民の目線は非常に手厳しいのですよ? これで6人とも無関係だった場合、どのような批判を受けることになるか……」
葉山は職員の言葉を適当に聞き流しながら該当する6名の情報を捜査一課に手配するよう計らい、その後に職員に返答する。
「先ほども言いましたが、僕が責任を負いますよ。臨機応変に対応するというのが僕のモットーですから。それに……」
葉山は自分の心臓付近を指で差しながら告げる。
「白井派にはそちらの方が都合が良いでしょう?」
職員の男は押し黙りそのままその場を立ち去る。
超能力者管理委員会で働く職員の中には未だ日陽党支持者、特に白井康介を支持しているものが多く、こうした点も葉山を始め日陽党を除いた5大政党が懸念する点でこれらを是正することも課題の1つである。
葉山は秘書の尾上と合流するとそのまま委員長室へと入室する。
––––ズズズズ……
「教エテ良カッタノカ?」
尾上から黒いサイクスが滲み、"お目付け役"が姿を現す。
「問題ないですよ。遅かれ早かれどうにかしてGOLEMさんの所には辿り着いたでしょうし」
葉山は机に置かれた書類に目を通しながら答える。
「負けることのない賭けほど楽に見られるものはないですねー」
葉山は相も変わらず瞳に底知れなさを内包させて不気味に笑い、不要な紙2枚を丸め、ゴミ箱めがけて投げ入れた。
警察組織による個人情報の開示請求は、該当する人物が捜査において重要であると認められた場合に承認される。
「認められないってどういうことですか!?」
玲奈は杉本の指示を聞いた後に直ぐさま超能力者管理委員会に連絡を入れたところ、管理委員会の職員に拒否されてしまい、その理由を問い質していた。
「証拠が不確かです。そもそも合同捜査会議において、教育機関で働く方たちの情報を提供したのもかなり特殊なのですから。更なる詳しい個人情報を6人も一気に提供できるはずがないでしょう」
電話口の男性が淡々とした口調で玲奈に告げる。
「ですから今現在、捜査一課の瀧慎也警部補、藤村洸哉課長の両名が不協の十二音と対峙しています。その中で徳田花警部補からの連絡でGOLEMは彼女の超能力を知っているはずだと」
そこから玲奈は、花の超能力の特性からGOLEMと面識があること、そしてGOLEMは花が短期間勤務していた第三地区高等学校の職員である可能性が最も高いことを説明する。
「なっ、葉山委員長!?」
玲奈の説明に対して尚も食い下がっていた職員が電話口の向こう側で少し焦った様子で何者かに応対している。
玲奈が職員からの応答を待っていると、電話口の相手が若く、快活な調子の声の男性に切り替わる。
「お電話替わりました、葉山です」
「葉山委員長!?」
玲奈は突然替わった電話の相手が日月党の若手のホープ、葉山順也であることから一瞬驚き、狼狽える。
「はい、たまたまそこを通りかかったら何かお取り込み中だったようなので。僕が出た方が早いかなと思いまして」
葉山はいつもの通り愛想が良さそうに、且つ明瞭に話す。
「(この葉山委員長の登場は予想外……! だけどこれはこちらに追い風かもしれない)」
これまで長きに渡り政権を握ってきた日本陽光党体制が崩壊し、葉山順也を擁する日本月光党と成り代わった。
この政権交代には様々な見解が示されているが、日陽党の面子にベテランが増加し、政治家の醜聞、体制のマンネリ化、超能力者管理委員会の私物化といった諸問題から抱かれた国民の不信、また近年では各政党に才能ある若手が数多く輩出され、若手特有の固定観念に捉われない、柔軟な発想を持つ議員が増加していることから日月党はその旗手を託されたというのが大方の見解である。
「(葉山委員長は臨機応変な議員。彼なら丁寧に説明すれば問題ないはず)」
玲奈は葉山に対して現在の藤村、瀧の状況や第三地区高等学校の伊藤、内倉、東、窪田、浮田、門田の6人が捜査線上に浮かび上がった経緯を詳細に、しかし迅速に説明する。
葉山は玲奈の説明に対して横槍を入れることなく静かに聞いた後に口を開く。
「詳細な説明ありがとうございます! 皆さん素晴らしい働きですね!」
葉山は明るい声で警察組織に対する称賛を玲奈に告げた後に即座に話を続ける。
「良いでしょう。皆さんに必要な6名の情報について直ぐさま捜査一課にお送りできるようにします!」
「ありがとうございます」
玲奈は葉山に礼を言った後に電話口の向こう側から「葉山委員長、困ります!」といった言葉が耳に入り、玲奈は葉山に尋ねる。
「あの……大丈夫ですか?」
「えぇ、こちらにお任せ下さい! 責任は僕が持ちましょう! 僕、少しだけ偉いので」
葉山は玲奈にそう告げると玲奈は「ありがとうございます」と礼を言って両者の電話は切られる。
「葉山委員長、勝手なことをされては困ります! 申請を受けるにしても審査を通してからでないと!」
職員の男は葉山に詰問する。
「そんな事していて十二音の手がかりを逃すわけにはいかないでしょう?」
「しかし、もしもアテが外れていたらどう責任を取るおつもりですか!? 近年、個人情報に関する国民の目線は非常に手厳しいのですよ? これで6人とも無関係だった場合、どのような批判を受けることになるか……」
葉山は職員の言葉を適当に聞き流しながら該当する6名の情報を捜査一課に手配するよう計らい、その後に職員に返答する。
「先ほども言いましたが、僕が責任を負いますよ。臨機応変に対応するというのが僕のモットーですから。それに……」
葉山は自分の心臓付近を指で差しながら告げる。
「白井派にはそちらの方が都合が良いでしょう?」
職員の男は押し黙りそのままその場を立ち去る。
超能力者管理委員会で働く職員の中には未だ日陽党支持者、特に白井康介を支持しているものが多く、こうした点も葉山を始め日陽党を除いた5大政党が懸念する点でこれらを是正することも課題の1つである。
葉山は秘書の尾上と合流するとそのまま委員長室へと入室する。
––––ズズズズ……
「教エテ良カッタノカ?」
尾上から黒いサイクスが滲み、"お目付け役"が姿を現す。
「問題ないですよ。遅かれ早かれどうにかしてGOLEMさんの所には辿り着いたでしょうし」
葉山は机に置かれた書類に目を通しながら答える。
「負けることのない賭けほど楽に見られるものはないですねー」
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